熱狂顧客のつくり方の書評 自分を深堀りすることから始めてみよう!

ソーシャルおじさんのメンバーでもある島青志さんの熱狂顧客のつくり方が面白いです。
マーケティングを駆使したインターネットの集客テクニックでは
短期的な顧客をつくれても、長期でつきあえる顧客はつくりにくくなっています。
どうしたら、よい顧客を集客できるのでしょうか?
この問いが島さんの課題になっていました。

人を集めることを考え続けた島さんが、この答えを見つけたのは
2011年3月11日の東日本大震災がきっかけでした。
被災地に自発的に集まった多くのボランティアの活動に参加することで
人を集めるのではなく、人が熱狂的に集まる場所(会社、地域、出来事)を
つくればよいのだと気付いたそうです。
想いを同じくする仲間=熱狂顧客をつくれれば
集客そして利益創造も可能だと島さんは言います。

そして、この熱狂顧客をつくるには二つの秘訣があると紹介されています。
一つは深い穴を掘ること!そして、もう一つがその穴を広げることなのです。
深い穴を掘れとは、自分自身がやっていることを徹底的に深く見つめることです。
提供できる価値が他の人と同じならば、深堀りが足りていないのです。
その場合は自分自身を再度、追求する必要があります。

そして、深堀りができたならば、次には穴を広げることです。
自分たちの資産を時代の変化に合わせて広げれば
顧客がその価値を見つけ、集まってきてくれるのです。
Appleの深堀りや富士フィルムの穴を広げる事例が本書では紹介されていますので
興味のある方は本書熱狂顧客のつくり方の事例をお読みください。

また、島さんが主宰する「ウェブ心理塾」も2012年に
以下のコアバリューを作ってからは共感が生まれ、塾の退会者が減ったそうです。
ウェブ心理塾のコアバリュー
一緒に成長する仲間
応援し、応援される関係
自分から学ぼうという姿勢 
利他の精神
そして、このウェブ心理塾のコアバリューも
あのザッポス(Zappos)のコアバリュー経営を参考に作られているのです。

多くの経営者はザッポスから共感経営を学んでいます。
島さんもラスベガスのザッポスを見学することで、熱狂社員の歓迎に感動し
自らがファンになり、ザッポスを褒め続けています。
熱狂顧客を作るのはまず熱狂社員をつくることが大事で
日本のブラック企業とは正反対の経営をし
社員を会社のファンにすれば良いのです。

実際、島さんは帰国時のセミナーでもザッポスや
ザッポスの社員について熱く語っていました。
そして、本書熱狂顧客のつくり方でもザッポスの共感経営に
多くのページを割き、ザッポスの応援を1人のファンとして行っているのです。

以下本書から熱狂社員について引用します。
熱狂顧客をつくる秘訣は、熱狂社員、つまり会社や事業に愛情や共感を感じ、やりがいを持って仕事を行う社員を集めることです。もしあなたが個人事業主や小規模な事業経営者であれば、そういうスタッフやパートナーをつくることです。つまり熱狂顧客を集めるためには熱狂社員(スタッフやパートナー)を集めればよい、ということになります。そしてザッポスのコールセンターや社内ツアーのように、熱狂社員と触れ合う場をつくる。そうすることで白然と熱狂的な顧客も集まってくるのです。

熱狂社員をつくり、彼らとコミュンケーションする場を作れば
ファンが自然と集まってくるのです。
本書では、被災地の石巻や新興エリアの柏の葉のコミュニティが紹介されています。
熱狂的な人による熱狂的なコミュニティが会社や町に作られれば
人がそこに集まり、集客ができるようになるのです。

今後の人口減少社会という課題も実は、人が自分自身の価値を深堀りし
魅力を伝えれば自ずと解決できると本書は教えてくれています。
特に石巻の小泉瑛一さんの以下のコメントは力強く私の心に響きました。

コミュニティの希薄化とか高齢化といった、いままで少しづつ日本を覆いだした諸問題が、震災によって、いきなり向き合わざるを得ないものになってしまったからだです。逆の言い方をすれば、東北で復興活動や街づくりに取り組むことは、これからの日本の課題に取り組むことと同じことになるのだと思っています。

本書のザッポス、石巻、柏の葉の3つのケーススタディが示す通り
熱狂顧客をつくるためには、自分たちの想いを伝えることがスタートラインになるのです。

チップ・コンリーザ・ピーク理論についても本書では触れられていますが
「自分の人生の自己実現する場としてビジネスを捉えられるか?」がキーになります。
まずは、自分の想いを徹底的に深堀りし、仲間に伝えることがポイントになります。
人生を変えるほどの幸せ体験を味わうという高度な欲求体験=ピーク体験ができ
そして、それを顧客に届けられれば、自ずとファンを集めることが可能になるのです。

顧客と熱く触れ合える会社やコミュニティをつくれれば
自然にファンが集まってくるというチップ・コンリーやザッポスの考え方には共感します。
正にザッポスはDeliver WOW Through Serviceという幸せ体験を通じて
顧客満足を図っているのです。

本書を読みながら、集客とは人間力を鍛えることと同義だと感じていたのですが
239pの「たった一人でも世界は変えられる」として
島さんはそれについて強力なメッセージを発信していました。(238P〜239P引用)

想いが人を呼び、その共通の想いを持った小さな集団が、また少しずつ雪だるまのように大きくなり、最後は雪崩を起こすほどの大きなものになる。雪崩を起こす雪も、小さな小さな氷の結晶です。私たちも、小さな結晶のような存在にすぎないかもしれません。しかし、ひとりひとりの心に存在する、魂や想いは、誰にも取って代わることができない、この世でたった一つの存在ではないでしょうか。まず、あなたの想いをたったひとりでもいいですから届けてみてください。そして相手の想いにも耳を傾けてみてください。そうやって集まる人の環こそが、あなたの想いを表現する「場」であり、それはやがて世界を変えることにもなるのです。

自分の深堀りとソーシャリアルのコミュニケーションで
世界を本当に変えることができるかもしれません。
2014年に変化の一歩を踏み出したい方に本書熱狂顧客のつくり方はお薦めです。

アプリそうけん(スマホのアプリ紹介)はこちらから
キーマンズネットのFB記事連載です。(4月22日更新)

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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