スターバックスが成功した46のルール。スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?の書評。

私たちは空腹を満たす仕事をしているのではない。 魂を満たす仕事をしているのだ。
(スターバックス ハワード・シュルツ) 
スターバックスは、私たちにとって、最も身近なブランドの一つになっています。
美味しいコーヒーと居心地のよい空間、スタッフの笑顔あふれるサービスなど
スターバックスを思い浮かべるとき、多くの人は私と同じように
ブランドでのエクスペリエンス(体験)を思い出すのではないのでしょうか?
短期間でアメリカ、日本、そして世界中の人々をスターバックスの虜にさせた
ブランド戦略とはいったい何だったのでしょうか?

スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?
読むと、スターバックスの強さが一目瞭然でわかります。
他のブランドではなかなか体験できない「人々に奉仕する」という精神が
スターバックスの社員には備わっていて、その奉仕を通じた顧客の体験が
顧客とスターバックスをどんどん繋いでいくのです。

世界中の人々のコーヒーに対する考え方を変え
コーヒーは楽しむものだと言う目標を通して

スターバックスは、日々私たちの生活をより良くしてくれているのです。
アメリカでも日本でもシンガポールでもいつでも私たちはスターバックスに行けば
優良顧客として、美味しいコーヒーをリラックスしながら楽しめるのです。

スターバックスは世界を変えた。 スターバックスは時代を先取る企業という立場を築いたが、それ以上に意義深いのは、米国の人々、そして世界中の人々のコーヒーに対する考え方を、コーヒーは楽しむものだというものに変えるという途方もない目標を達成したことだ。スターバックスには世界を変えるという使命があった。ただ物を売って儲けるのではなく、ささやかではあるが有意義なやり方で人々の生活に潤いを与えたかった。この「人々に奉仕する」という精神が、スターバックスの成功の要なのである。ひとつのブランドとして、スターバックスは現代のマーケティングの幅を広げた。不特定多数に訴える、従来どおりのマスマーケティングを捨て、1店舗で一杯のドリンクを飲む顧客ごとに、心の通った永続的な関係を築くことに焦点をあてたのである。 


このスターバックスへのブランドへの共通認識、共感をスターバックスは
テレビCMなどを使わずに、地道な口コミで獲得していくのです。
その際、重要になってくるのが人との関わりです。
彼らはスターバックスと顧客とのコンタクトポイントを武器にしているのです。

テレビCMよりも重要なマーケティング①店舗での体験

お客様が体験するスターバックス体験の一つひとつが事業のマーケティングにつながった。ロゴの入った白いカップで出されるコーヒー。お客様とバリスタの交流。快適な椅子。店内の色づかい(コーヒーにまつわる4つのストーリーがあり、それぞれにテーマカラーがある。

スターバックスのマグカップやソファー、居心地のよい空間は
私にとっては、脳を切り替えるスペースになっています。
スターバックスの多くの店舗では電源やWi-Fiなど書く環境が完備されています。
毎日のブログ更新やノマドでの執筆、メールのチェックは
スタバでというのが、私の中では当たり前の選択になっています。

スタバに集う仲間の視線が私の書くモチベーションになっているので
どんどんアウトプットができるのです。
人との待ち合わせやミーティングでもスタバを選びますから
私はいつのまにかスタバの伝道師(エバンジェリスト)になっているのです。
一円のお金も貰っていないのにも関わらず
日本に彼らが進出して以来、スタバの良さをPRし続けているのです。
私のようなファンが世界中に数多くいることがスタバの強みなのです。

店内で流れる音楽。温かく迎えてくれるコーヒーの香り。そしてスターバックスの「ひととき」を味わうときのお客様の感性。この戦略は成功した。店舗とブランドのマーケティングに広告活動は関係ない。細部へのこだわりがマーケティングになる。ドリンクの注文の仕方、トイレの清潔さ、ラテの泡状のミルクにかかったキャラメルのトッピングの形状など、どんなささいなことにも気を配ることがテレビCMよりもプラスの宣伝効果があるとスターバックスは学んだ。それに、商品はどこよりもすぐれていた。

店舗の雰囲気やコーヒーの品質、トッピングの形状など
些細なことにまで気配りすることが、人々の共感を呼び、信頼を獲得するのです。
そして、それが、テレビCM以上の価値があるとスターバックスは信じています。
スタバは店舗でのエクスペリエンスのクオリティを高めることで
他のコーヒーチェーンとは全く違う存在になってるのです。

テレビCMよりも重要なマーケティング②お客様とのかかわり

スターバックスは評判になり地理的にも拡大していったが、それはもっと大勢の人に味わってもらいたいという気持ちからだった。その気持ちは気前のいいテイスティングサービスという形になってあらわれた。テイスティングサービスは販売促進というよりも、商品を分かってもらうことが目的である。無料でコーヒーを提供することで、深煎りコーヒーに対する情熱、商品と商品をつくるスキルに対する誇りを分かち合っているのだ。覚えやすいCMソングやコミカルなCMではなく、お客様はスターバックスを直に体験するのだ。

テレビCMよりも顧客との関わりの方が遥かに重要である
スターバックスは私たちに教えてくれています。
よい体験をすれば、Facebookで写真をアップして
彼らのプロモーションを手伝うファンが世界中に多く存在しています。
テイスティングやサンプリングは既存顧客を結びつけ
ソーシャルメディアの拡散で新たなユーザーを獲得したり
再来店のキッカケを既存ユーザーに与えているのです。
これほど強いコミュニケーションはありませんね。

とはいえ、1998年の春、スターバックスはフラペチーノを広めようとテレビCMを使った。だが、すぐにCMを引き上げた。効果がなかなか実感できなかったからである。店舗で商品のテイスティングを振る舞ったときは、お客様が飲んでいる表情や、こぼれる笑顔から、その効果についてバリスタが判断できた。ティスティングは信頼できる、個々のふれあいがすべてだという信念のもと、スターバックスはテレビCMをやめ、ティスティングの提供をつづけることで来店するお客様との交流を深め、売り上げを伸ばしていった。

失敗を通じてスターバックスは絶えず成長しています。
ユーザとのふれあいはローコストの店舗では実現できません。
人との関わりを演出できるバリスタと高級なコーヒーを
持っているスタバだからこそ、テレビCMに頼る必要がないのです。

テレビCMよりも重要なマーケティング③地域とのかかわり

スターバックスにとって口コミによる宣伝はなくてはならないものなので、店内でのスターバックス体験以外にも、地道なマーケティング活動を展開している。例えば、各店舗の地域で行われるチャリティ活動に協力し、スコーンやドーナツなどを奇付してチャリティの宣伝や売上に貢献している。また何年も前から、ユタ州パークシティで開催されるサンダンス映画祭の舞台裏にエスプレッソバーを設置している。こうした活動はそれほど注目を集めないが、将来的に注目されると見越してのことだ。

スターバックスは個人や地域に向けた広告しかやらないので
無駄な広告費が削減できるのです。
意味のない広告よりも遥かに社会貢献の方が価値があります。
私たちは地域への社会貢献をしているスターバックスを
すばらしいブランドだと思い、ますます応援したくなるのです。

最近は、新商品をビルボードと呼ばれる大型屋外広告に表示したり、ラジオCMを流したりといった一般的な広告活動も行うようになったが、あくまでも特定の地域向けのもので、全国的に展開するものではない。スターバックスの広告活動はわ地域や個人に向けたものに限定されている。あくまで事業を通じてマーケティングに全力を注いでいる。


熱い思いを伝道せよ 
スターバックスは顧客を巻込むことにも長けています。
コーヒーをスターバックスで学ぶことで、バリスタとの交流も進みますし
その体験によって、スターバックスが自分ゴト化され
多くの人たちがスタバのファンになっていくのです。
当然、それらの体験はブログやソーシャルメディアでシェアされるはずですから
どんどんファンが増加していく、プラスのスパイラル効果かあります。

そしてスターバックスの場合、この豆からカップ一杯のコーヒーになるまでのストーリーを、商品パッケージやパンフレット、店内ポスターに表示するだけにとどまらない。コーヒーセミナーを開くのである。特に、新しい市場に参入した当初は必ず実施する。 このセミナーでは、十分に教育を受け、熱い情熱をもった「コーヒーを伝えるスペシャリスト」がさまざまなコーヒーの品種について講義し、コーヒーに合う果物やチーズ、チョコレートについて提案する。スターバックスは、ワイン醸造業者がワインに情熱を注ぐようにコーヒーに情熱を注ぎ、その熱い思いを消費者と分かち合うのだ。まだ、国内、いや地域的にもまだたいして知られていない時期に、デンバーの公立図書館で開催したコーヒーセミナーには、100人を超える人々がスターバックスからコーヒーを学ぼうと参加した。単なる客ではなく、真のファンを惹きつけるとは、まさにこのことである。

コーヒー好きが集まるスターバックスでは
バリスタ以外の従業員、スタッフ全員がコーヒーに強くなっていくのです。
企業が自社製品に愛着を持っている会社ほど強いものはありません。
スタバの店舗にはいつもよい気が流れているのですが
スタバ愛のある社員や顧客が集まることで
スターバックスはより魅力的になっているのです。
この人を惹き付けるパワーによって
スターバックスはより強いブランドになっていくのです。

「コーヒーを伝えるスペシャリスト」たちースターバックスの「コーヒーの伝道者(エバンジェリスト)たち」は、消費者をコーヒーに夢中にさせるだけではない。スターバックスで働くバリスタのコーヒーに対する思いをさらに熱くさせる。それに、各店舗にいるバリスタを介在して、バリスタ以外の従業員も教育し、コーヒーのスペシャリストとして育てている。 企業が自社製品に愛着をもっているなら、そこには、人を惹きつけてやまない魅力と、素直に素晴らしいと感じて興味をもてるような理由があるはずだ。

「ありのままを伝える」マーケティングか、「話をつくっている」マーケティングか 

残念ながら、マーケティングプログラムをつくるとなると、商品が素晴らしい理由をこしらえようとする輩がいまだに大勢いる。痛ましいほどに粗末な現実を大げさに表現するという乱暴で注目を集めたいがためだけの突飛な宣伝をひたすらひねりだす。こんなことをするマーケティング担当者は消費者をつまらない、無個性の集団のように扱って 「ありのままを伝える」マーケティングか、「話をつくっている」マーケティングかを見極める確実な方法は、消費者の声を聞くことだ。インターネット上での評判はどんなものか。地方紙はどう言っているか。週末のバーベキューに集まった友人たちはなんと言っているか。「ありのままを伝える」マーケティングなら、消費者はその企業の商品やサービスについて話す。だが、話をつくっているなら、消費者はその企業のCMについて話す。

企業がCMで商品を過剰に演出しても
ソーシャルメディアやネットがその偽善をすぐに見抜く時代ですから
スターバックスのように、真摯なマーケティングをするほうが遥かに価値があります。
ありまのままを伝えられる企業こそが
ソーシャルメディア時代に共感される強い企業だと思います。
CMがいくら話題になっても意味はないのです。
「話をつくっている」マーケティングはユーザーから見透かされることに
多くの経営者もそろそろ気づいてもよいタイミングかもしれません。

スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?
には、上記以外にもスターバックスブランドを強くした46のルールが
惜しみなく紹介されています。
ファンマーケティングに興味のある方にはお薦めの一冊です。

紙の書籍の4冊目の新刊ソーシャルメディアを武器にするための10カ条でも
マーケティングやブランディングについて書かせていただいています。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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