不安が力になる ─日本社会の希望(ジョン・キム著)の書評

多くの日本人はこの失われた20年で自信をなくし
未来に漠然とした不安を抱いています。
不安が力になる ─日本社会の希望(ジョン・キム著)
そんな日本人に対して、不安がる必要はないという考え方を提示しています。
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このままでは日本は沈む一方だと悲観しつつも、この時代の変化にどう反応していいのかわからず、自分なりの幸せを見いだせない人もいる。多くの中高年世代は、今の日本で生きることを「幸せではない」と感じているかもしれない。特に、猛烈な企業戦士だった方ならなおさらだ。高度経済成長期の成功を体験した世代ほど、適応能力は落ちていく。そして、この先の未来に対する不安レベルは高くなる。しかし、今の日本は、世界の中でもかなり幸せな国だと私は思う。どこの国でもいいが、海外に長期間滞在していた人とは、この気持ちが共有できるに違いない。海外に滞在すると日本のすばらしさを痛感する。

日本人が日本に不安や不満を感じている中、多くの外国人が日本を訪れています。
実際、円安の影響があるにしろ、世界中の人々が日本での観光を楽しんでいるのです。
中国、韓国、台湾にとどまらず、東南アジアからの渡航者も増え
街並みやファッション、食事だけでなく、ゴミの少なさなど
日本人の倫理観に感動し、その情報をソーシャルメディアでシェアしています。
海外に比べれば、日本は安心で快適でハッピーな理想郷なのです。

以前、会話をしたアメリカ人は日本人は、おかしい!
今の現状に悲観的すぎると私に教えてくれました。
本当に不況であるならば、ホームレスが街にもっとたくさんいるはずだし
外国であれば、食事を食べられない人が続出すると言うのです。
確かに、今の日本は食事も充実し、物も溢れていますから
必要以上にネガティブに考える必要はないのかもしれません。

日本は不景気だからといって、町が荒廃することはあまりない。繁華街などを別にすれば、ゴミなどもあまり落ちていない。どこの店でも基本的に水準の高いサービスが受けられる。外国と比較すれば、ずっと清潔で、快適で、安心な社会が実現しているのである。世界の中で相対化すると、今の日本は非常に豊かな国なのだ。しかし、相対化する視点があまりないので、日本人は悲観的になる。国内で視点が完結しがちだからだ。

ジョン・キム氏が言うように、多くの日本人は相対評価ができません。
日本という島国から出たことのない日本人は、画一的なメディアに煽られて
自分で考えることを放棄しているのかもしれません。
視点が画一で、自分の頭で考えないのは、致命的です。
外国人の視点に立つと、日本は素晴らしい国なのですから
その良さをもっともっと認めましょう。
こう思考することで、私たちはこの日本に生まれたことに
感謝できるようになります。
世界中で最も豊かな国のひとつ、それも平和な国、日本に生まれたことに
もっともっと、私たちは価値を見出すべきなのです。
21世紀の日本に生まれた時点で
世界中の多くの人よりも、幸せを謳歌できるのですから。

かつては、物質的な欲求を追求せざるを得ない時代があった。それは、いい悪いではなく、生活するために必要だったのだ。家庭を支える働き手の父親は、一定の生活レベルを維持するため住宅や家電、車などを手に入れる財力が求められていた。しかし、社会全体の生活水準が上がってくると、欲求を調整することで、必死に働かなくともある程度の生活ができるようになる。そうすると人々は、物質以外の面で幸福を満たすことができるのではないかと気づく。かつては画一的だった幸福に対する価値観が、多元化していくのだ。

かつての日本は物質的に満足することが幸せの条件でした。
しかし、物が日本人全体に行き渡った今では、幸せの基準も変わってきています。
物では幸せを感じらえない時代には、精神的な幸せを自ら作り出さないと
いつまでたっても、幸せにはなれないのです。
また、物で満足する幸せは長続きはしません。
物質的な幸せを求めていては、際限がなく
いつまでたても幸せにはなれないのです。
今ここにある幸せに気づきましょう。
自らの価値観で世の中を見れば、自分の幸せが見つかるはずです。

日本全体において、自分のアイデンティティを自分で持たず、他との関係性に委ねている人は多い。それは非常に不安定な状態だ。時代の常識が変化するだけで個人は不安がつのる。

日本人は企業にいると個人ではなく、企業の仮面をかぶってしまいます。
自己のアィデンティを持たすに生きてきたために
企業の肩書きを使えなくなると途端に不安になります。
もはや、企業に頼れる時代ではなくなっているわけですから
自分のやりたいことを明確にし、アウトプットすることで
自分に共感してくれる仲間をどんどん見つけましょう。
企業以外のコミュニティに参加することで
自分の夢が実現したり、やりたいことが見つかるようになり
やがては、自分らしく生きられるようになるのです。

そんな不安に振り回されないために、個人は人生に対する責任を自分で持たなければいけない。自己認識は、他者の目や所属、社会的な役割によって規定されるものではない。自分自身が、ありのままの自分を見つめなおし、自分と向き合う努力をしなければ、正しい自己認識にはたどり着けないのだ。

まずは、自分が楽しいことをやってみましょう。
それが楽しめれば、自分の好きなこと、やりたいことが見つかるはずです。
自分の脳の中を紙に書き出すなどして、自分と向き合う努力を始めることで
自分のアイデンティティを見つけられるようになります。
自ら決断すれば、不安を軽減できますし、未来を楽しくできるはずです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

   

photo credit: Big Sur Love via photopin (license)

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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