いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学 (センディル・ムッライナタン& エルダー・シャフィール著) の書評

習慣化

欠乏は心を占拠する。飢えた被験者が食べ物のことを考えたのと同じように、人はどんな欠乏でも経験すると、それに心を奪われる。心は自動的に、いやおうなく、満たされていないニーズのほうを向いてしまう 。空腹な人の場合、そのニーズは食べ物だ。多忙な人にとっては、仕上げる必要のあるプロジェクトかもしれない。金欠の人にとっては今月の家賃かもしれないし、孤独な人にとっては話し相手かもしれない。欠乏は、持っているものがごくわずかだという不満だけにとどまらない。人の考え方を変える。人の心に居すわるのだ。

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いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学

(センディル・ムッライナタン& エルダー・シャフィール著) は、行動経済学の良書です。
読み始めると止まらなくなるほど面白く、人間の行動について学べます。

人はなぜ締め切りがあると集中できるのでしょうか?
それには、欠乏感が影響しています。
大事な目標、例えば文章を書き上げる目標に心が占拠されると
メールやおやつなど先送りできる気晴らしをすべて抑制するようになります。
しかし、トレーニングやビジネスの電話など重要なもの抑制してしまうことがあり
悪い結果をもたらす場合もあるのです。
消防士は、消化のための準備に集中し、シートベルトを締め忘れ事故死してしまうなど
欠乏が心を占拠すると、悲惨なことも起こりがちです。

一つのことに集中すると良い結果を生むこともあるし
他の事象が目に入らなくなり、トラブルを起こすこともあるのです。
忙しい時に行うマルチタスクは、結局は、よくないことなのかもしれません。
食べながら運転すれば時間を節約できますが、事故を起こしては意味がありません。
電話をしながらメールを打って、ミスを起こせば、逆に時間を浪費します。

子どもと過ごす時間をとても大事にしているかもしれないのに、急いで仕上げようとしているプロジェクトがすべてをトンネルの外に追いやってしまう。彼はあとで人生を振り返って、子どもともっと一緒に過ごさなかったことについて、深い苦悩を告白するかもしれない。これは純粋な苦悩であって、たんに社会通念に合わせているわけではない。トンネリングを起こす人は誰しも、このような落胆を感じると予想される。プロジェクトはいま仕上げなくてはならないが、子どもは明日もいる。時間やお金が欠乏しているときにそれをどう使ったかを振り返ると、きっとがっかりするはずだ。切迫する欠乏は大きくのしかかってくるので 、それに関係のない大切なことが無視される。欠乏を何度も経験すると、このように看過される物事が積み重なる。これを関心がないのだと勘ちがいしてはならない。結局、本人は後悔するのだ。

トンネリング(トンネルに入ると、トンネルに入らないものは何も見えなくなる状況)が起こると
人はその場しのぎで問題を解決しがちですが、それが新たな問題を生んでしまいます。
忙しい人はますます忙しくなり、お金のやりくりが下手な人はいつまでも悩み続けるのです。

子供と遊ぶ時間がないと悩むのなら、選択を変えることだというメッセージが響きました。
時間が欠乏しているのなら、予め時間を作り出すのです。
土曜日は子供と遊ぶ時間だと決めて、スケジュールを割り振れば
子供と過ごす時間がなかったという後悔を減らせます。
仕事がタイトになってもいいように、時間に余裕を持つことで
多くのトラブルを解決できます。
スラック(ゆるみ)あれば、トンネリングを起こさず、正しい判断ができるのです。
時間、消費などの日頃の選択を変えて余裕を持つことが
私たちの生活をよりよいものにしてくれるのです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!
   

photo credit: Silhouette of an Alarm Clock via photopin (license)

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