藤原和博氏の10年後、君に仕事はあるのか?―未来を生きるための「雇われる力」の書評

ネットワークが広がれば広がるほど、AIが高度化すればするほど、人間がより人間らしくなるはずだと。人間は、人間じゃなきゃできない仕事をするようになり、人間本来の知恵と力が生きてくるだろう、と。(藤原和博)

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ダイヤモンド社様から大好きな藤原和博氏の新刊を献本いただきました。
10年後、君に仕事はあるのか?―未来を生きるための「雇われる力」というタイトルで
私たちの子供世代のために書かれた未来の働き方論です。
今からちょうど10年前にiPhonehがアメリカでリリースされました。
日本はガラケー全盛時代で、FacebookやTwitterもほとんど使われていませんでした。
当時の私たちは繋がらない時代を生きていたのですが
この10年でライフスタイルは激変しました。
iPhoneでソーシャルメディアやネットに絶えず繋がり
人とコミュニケーションすることが当たり前になりました、
写真や動画をアップしたり、VRなどで様々なことを体験できるようになったのです。
わずか10年の間に私たちの生き方や働き方は大きく変わりましたが
これからの10年で世の中は今まで以上に変化するはずです。

当然、AIやロボティックスによって働き方も変わり、消滅する仕事も出てくるはずです。
多くの事務系の仕事がなくなると予測されていますが
それは、単純な仕事だけにとどまらず、かなり複雑な仕事も
AIやロボットに置き換わっていくはずです。
ここで悲観的になると未来は暗くなりますが、冒頭の藤原氏の言葉にヒントがあるはずです。
リンダ・グラットンLIFE SHIFT(ライフ・シフト)で指摘しているように
AIやロボティックスに置き換えられないクリエイティブな仕事に可能性があるのです。
クリエイティブ力を鍛えることが必須なら、私たちは多様な体験を積むべきです。

また、長寿によって働く期間も長くなるはずですから、今まで以上に学ぶ姿勢が重要になります。
変化に対応するためには、新たな技術や知識をインプットし
自分の頭で考える必要があります。
変化に対応できる基礎学力は当然として
コミュニケーション力やあきらめない力を養うことも大事です。
2020年以降日本が安泰でいられる保証はなくなっています。
トランプ大統領の登場で多くのリスクが顕在化する中で
今までの常識が通用しなくなっています。
私たちの子供たちは激変が予想される世界の中で
生き抜く力を身につけなければならないのです。

AI時代を生き抜くためには、情報処理能力や情報編集力も必要になります。
グローバル化とITの進化によって、日本の過去の常識は通用しなくなっています。
右へならへの発想でおとなしく生きていては、自分の首を絞めてしまいます。
私たちの子供世代はロールモデルがない中、自分の力で生きていかねばなりません。
多様で正解がない時代を生き抜くためには、知識だけではなく
マルチな視点で思考し、自分の意見を的確に表現する必要があります。
国境がなくなる中で世界中の人たちとコラボや競争する中で
問題解決能力とコミュニケーション能力が欠かせないスキルになることがわかります。

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10年後、君に仕事はあるのか? [ 藤原 和博 ]
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本書の中では、「走れメロス」をテーマに、日本の教育の問題点が炙り出されています。
選択問題が子供達の考える力をスポイルし、仮説思考の芽を摘んでしまっているのです。
大人が仮説を与えるのではなく子供達が仮説を自ら考え
何が正しいのか?をマルチな視点で検証する教育をしないと今後は危ないですね。
正解のない時代は、現状に疑問を持ったり、多様なアイデアを生み出す力が必要になります。
藤原氏が指摘するように、遊びの中から答えを見つけられるスキルを
子供達に身につけさせたいですね。

藤原氏は以下の5つのリテラシーがあれば、グローバル時代を生き残れると言います。

1、コミュニケーション・リテラシー
2、ロジカル・シンキング・リテラシー
3、シミレーション・リテラシー
4、ロールプレイ・リテラシー
5、プレゼンテーション・リテラシー

本書を読んでいて、ますますインプットとアウトプットが重要になることがわかりました。
これらのリテラシーはゲームや体を使った遊びによって養えます。
物事の繋がりから豊かなイマジネーションを育むためには
人とのコミュニケーションや遊びの要素が欠かせないのです。
左脳だけでなく右脳的アプローチが人間力を生み出すのです。
(10歳までの遊びが発想を豊かにすると藤原氏は指摘しています。)

また、ジグソーパズル型学力から、レゴ型学力に評価軸を変えるべ気という考え方に共感しました。
パズルを埋めるながら一つの正解を追い求めるのではく
レゴのようなクリエイティブな発想ができる人材を増やすべきです。
仮説をいくつも作り、積極的に仕掛ける人たちがもっと増えれば
日本の閉塞状況も意外と簡単に打破できるかもしれません。

インプットした知識や体験を自分ごと化(編集)し
アウトプットすることで、自分らしさを表現できるようになります。
相手からフィードバックをもらいながら、自分を成長させ
ネットとリアルで存在感を示すことで、自分が働く場所が見つけられるはずです。

AIやロボティックスに駆逐されない新しいタイプの仕事場を
自ら生み出せるような子供たちを私たちは育てる必要があります。
日本の教育界の変化を期待すると同時に
10代の子供の親としての責任を痛感しました。
悲観論が渦巻く中、10代の子供とその親の発想を変える良書だと思います。
ぜひ、ご一読ください。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。
藤原和博氏の書評はこちらから

      

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photo credit: mtlvi Startup Open House 2016 #SOH2016 via photopin (license)

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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