ライオンキングも反対者を味方にすることで成功を手に入れた!

人間関係は独立した2本の軸でとらえる必要があるらしい。つまり一本は、その人との関係がいかにプラスなものであるかという軸で、もう一本は、その関係がいかにマイナスなものであるかという軸だ。そして、純粋にプラスの関係と、まったくもってマイナスな関係のほかに、プラスでありマイナスでもある関係というものもある。心理学者はこのような関係を「両価的な関係」と呼ぶ。(アダム・グラント)


photo credit: wallyg Disney World: Animal Kingdom – Festival of the Lion King via photopin (license)

嫌な相手に親切にされるとストレスがたまる!

チャレンジをしたり、壁を乗り越える時に
人は誰を味方にすればよいのでしょうか?
ベンチャーを起業したり、困難に巻き込まれた時に
人は自分の仲良しを頼りにしますが、それは正しいことなのでしょうか?
アダム・グラントORIGINALSにそのヒントが紹介されていました。

ミネソタ大学の経営管理学教授であるミシエル・ダフィー
警察官を対象にした研究が参考になります。
ダフィーは警察官がもっとも親しい同僚に意地悪をされた頻度と
協力された頻度、そしてストレスレベルや欠勤日数を調査しました。
マイナスな人間関係はストレスになるのは当たり前ですが
もっとも近しい同僚から邪険にあつかわれたと感じると
人は落ち込み、仕事に集中できなくなります。
勤務態度にも変化が起き、欠勤が増えるなど問題を抱えました。

では、嫌いな同僚が、ときには協力的だったらどうなるのでしょうか?
結果はよくなるどころか悪くなってしまったのです。
同一人物に意地悪くされたり、協力されたりすることで
意地悪をされるだけのときよりも、混乱するのです。
それが仕事に悪影響を及ぼし、欠勤が増えてしまいました。

明らかにマイナスな関係は不快ですが、相手の対応は予想がつきます。
つまり、ある同僚がつねに意地悪な存在であれば
距離をとり、最悪の場合を想定してつき合うことができます。
しかし両価的な関係となると、いつも注意を腹話なけければなりません、
態度が良くない人とのつき合いは、感情的なエネルギーを消耗し
うまく対処するための方策がより多く必要となるのです。

また、心理学者のバート・ウチノの研究を読むと驚きます。
両価的な関係はマイナスな関係よりも不健康だったのです。
嫌な相手に親切にされたり、トラブルを起こされることが
体にも悪影響を及ぼすことがわかりました。
ある研究によると、両価的な関係が多いほどストレスを感じたり
うつになったり、人生に不満を感じたりする割合が高くなるそうです。

成功したければ、敵を味方にする!

では、私たちは誰を味方にすればよいのでしょうか?
アダム・グラントはそもそもの仲間ではなく
敵を味方に変えるべきだと言います。

現状を打破しようというときに、人は敵を無視することがよくある。変化に抵抗している人がいたとしたら、その人に時間を費やすことはムダだ。その代わり、すでに協力してくれている人とのつながりを強めることに力を入れたほうがいい、と思うのであろう。

ずっと私たちに協力的だった人たちは、実は最高の味方にはなりません。
最高の味方になるのは、はじめは反対していたが
しだいに味方になってくれた人たちなのです。

エリオット・アロンソンの研究結果をアダムは紹介します。
人は尊敬の度合いよりも、尊敬を得ることや失うことに対してより敏感です。
自分にいつも協力的である人に対しては
それが当たり前だと考え、その人たちを軽視してしまいます。
しかし最初はライバルだった人が、熱心な協力者になった場合は
その人が本当の支援者であると考え、好意を持ちます。

当初は自分に対して否定的な感情を抱いていた人がしだいに肯定的になっていくほうが、つねに肯定的な感情をもち続けていた人より価値があるものだと感じる。(エリオット・アロンソン)

また、敵だった人が味方になると彼らもあなたに好意を感じます。
相手は、あなたを好きになるためにマイナス感情を克服します。
そして、ポジティブな関係を維持しようと努力を続けます。

そして、元アンチがあなたのビジネスを加速してくれる存在になるのです。
反対者がよき理解者に変わることで
他の反対者たちへの説得がうまくいくようになります。

元アンチは、抵抗する人や傍観者の疑う気持ちや不安がわかるから、説得力に長けている。また、信頼のおける情報源でもある。

最初は反対していた人を味方につけることで
自分たちのアイデアや活動が評価されるものだと証明され
元アンチが周りの反対者を切り崩してくれるのです。

本書の中には映画「ライオンキング」が
当初はお蔵入りになりそうだった話が書かれていますが
白雪姫などとは違った新しい物語にディズニーの経営層は反対します。
監督のロブ・ミンコフは最終的にオスカーを受賞し
興行的にも大成功をおさめますが、当初は彼も苦しんだのです。
ライオンキングのような独創的なアイデアは
既存のものとは異なるために、なかなか理解されません。

最終会議の際に、経営陣やプロデューサーが
「この作品はリア王か?」「ハムレットか?」と
シェークスピアをたとえに質問してくれたおかげで
彼はチャンスを引き寄せたのです。
偶然、彼はリア王を数日前に再読していたたために
上手に作品の説明ができました。
「シェークスピアか?」という反対者の質問が
「ライオン版のハムレットだ」というミンコフの発言を引き出しました。
ここから会議はうまくいき
その後のライオンキングの成功ストーリーが始まったのです。

まとめ

事業を成功させたければ、反対者を意識しましょう。
彼らを自分の味方につけることで、ストレスを減らせます。
また、元反対者の応援は強力で、周りの人の説得材料にもなります。
素晴らしい人物が反対者だったなら
それをチャンスだと捉え、彼らを味方にすることを考えるのです。
元アンチが真の味方になることで、スムーズにことが運ぶようになります。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

     

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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