田中道昭氏の人と組織 リーダーシップの経営学の書評

強い組織、生産的な組織にするために必要なことは、明快なミッション、ビジョン、バリュー、戦略です。中でも、もっとも根本であるミッションを明確にすることが、すべてにおける基本です。(田中道昭)


photo credit: jurvetson Jeff Bezos via photopin (license)

ミッションなきリーダーは生き残れない

先日、立教大学大学院教授の田中道昭氏の公開授業を受講しました。
インプロシンキングとロジカルシンキングの2つのアプローチがなければ
リーダーは組織を上手に運営できないと指摘します。
左脳と右脳の両方を活用しなければ
顧客に価値を提供したり、共感を得られないため
企業は成功を手に入れられなくなっています。
田中氏はミッションやリーダーシップのない企業は
顧客から支持されなくなっていると言います。

公開授業の中でアマゾンとアリババの強みを田中氏から教えてもらいました。
アマゾンやアリババなどの成功企業は明確なミッションを社員や世の中に提示し
強力なリーダーシップでスピーディーな経営を行なっています。
ジェフ・ベゾスやアリババのジャック・マーに関する
田中氏の分析は緻密で、彼らの成功の秘訣を理解できました。

今回、田中先生のフレームワーク思考の秘密を知りたくなり
人と組織 リーダーシップの経営学を読みましたが
本書を読むことで現代にリーダーに必要なものが見えました。
以下、本書のエッセンスを紹介していきます。

ジェフ・ベゾスはアマゾンのミッションを顧客第一主義とし
次のようなメッセージを残しています。

「世界一の顧客志向の会社」になることだ。他社にAmazonをみてもらい、標準をかえることだ。競合をみるのではなく、顧客至上主義として我々を基準にしてほしい。(ジェフ・ベゾス)

ミッションとは企業が持つ社会的な使命です。
企業の役割が明確でなければ、社員はよの世の中への貢献を考えられません。
逆に社員一人ひとりがミッションを理解し、それに賛同することで
社員がモチベーションを持ち、積極的に行動できるようになります。
また、ミッションを明確にすることで会社の目標が具体的になります。
ビジョンや企業のバリューを明らかにすることで
社員は世の中への貢献をはじめ、働くことに喜びを感じます。

田中氏はミッションのある会社は元気のいい社員が多いと言います。
使命感があるため挨拶や笑顔が素晴らしく、会社にエネルギーが生まれるのです。

会社のミッションや使命感に共感し、自ら主体的に仕事をしていることが多いのですが、それはミッションや使命感を頭や理性で理解しているだけでなく、心の底から自分の身体感覚のレベルから共感しているからできるのです。

田中氏の授業でも挨拶を重視しています。
感情を込めた挨拶を大きな声でなんども繰り返し
授業の雰囲気をよく、受講生のコミュニケーションをよくします。
実はアメリカのMBAでもリーダーはコミュ二ケーション力がなければ
チームがまとめられないと考え、授業のスタイルを変えています。
コミュニケーションの技術を高められるように
インタラクティブな授業が行われているのです。
そこで意識されているのが、インプロ(即興性)です。

田中氏の授業ではボケとツッコミをフレームワーク化することで
誰もがすぐに漫才のスキルを磨けます。
目の前の相手を受け入れ、共感する技術を学ぶことで
いつの間にかリーダー力を身につけられるように設計されてます。
相手の話を傾聴し、共感することで
相手はマズローの「安全・安心の欲求」を満たせます。
自分の存在を認めてもらうことで安心感が得られ
初めて相手は心を開き、こちらの気持ちや考えを理解できるのです。
リーダーは部下の気持ちを理解し、彼らの力を最大化することが仕事なのです。

社員の気持ちを理解せず、安心感を与えることのない経営をしているうちは、社員の身体感覚からの共感も、真のモチベーションも生まれません。このような人間の心の仕組みが分かっていること、つまり「人への理解」こそが、人を動かす最大のポイントだと最近っくづく感じるようになりました。人が意識レベルや無意識レベルで何を望み、何を避けようとしているのかを理解する。それはすなわち人間というものに対する深い洞察と、さらに言えば「人間愛」が必要だということになります。

経営は人であり、心理の深い洞察がなければ行えません。
ミッションを持った、人間力のあるリーダーがいなければ
会社は現代の厳しい競争社会を生き残れなくなっています。
社員や顧客の共感を得られない組織は
ソーシャルメディア時代には評価されず、存在価値がなくなります。

 

あなたの会社を強くするホワイトオーシャン戦略

ホワイトオーシャン戦略とはあなたの会社がすでに満在的に持っているマーケットや顧客に対してあなたの会社がすでに潜在的に持っている強みを発揮して売上・利益を上げる方法

また企業はホワイトオーシャン戦略を取ることで成長できると田中氏は言います。
ホワイトオーシャンとは田中氏の造語ですが
会社がすでに持っているマーケットシェアや願客を強みを明らかにすることで
今何をすべきかが明確になるのです。
まず、経営者は自社の強みを明らかにし、それを磨くべきです。

このホワイトオーシャン戦略はコストもかかりませんし、今すぐ始められます。
自分の気持ちや組織のメンバーの気持ちを
ポジティブにできるというメリットもあります。

自社の強みの再発見から始めるので、基本姿勢として前向きであることが大きな特徴です。自分の悪いところや足りないところを補うより、自分の強み、長所を仲ばすことの方がモチベーションが高まりやすいことは多くの人が体験的に知っていると思います。ホワイトオーシャン戦略は、自己を肯定する姿勢が根本にあるので、取りかかる際の一人ひとりのモチベーションが違うのです。

ホワイトオーシャン戦略の手法を用いると
積極的な気持ちが生まれ、変革や改善のために
目の前の課題をすぐにやりたくなります。
行動が伴うため、結果も出やすく
組織の雰囲気がどんどんよくなります。

ミッションのある組織にはリーダーシップがあり
メンバーそれぞれの力を引き出せるようになります。
社員の強みをホワイトオーシャン戦略で引き出すことができれば
組織の力を一気に高められます。
リーダーには人を思いやる人間力が不可欠で
愛がなければダメだという田中氏の言葉が響きました。

まとめ

成長する企業にはミッションがあります。
リーダーはミッションを明確にし、社員の力を引き出すべきです。
社員一人ひとりがミッションを理解し、それに賛同することで
社員個々のモチベーションを高めることができます。
同時にホワイトオーシャン戦略で社員の強みをリーダーを理解し
それを組み合わせることで、企業は成長できるようになります。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

 

      

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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