ダニエル・カーネマンに学ぶ!人はなぜ判断ミスを犯すのか??

いまはあなたのシステム1(ファスト思考)が活動しているようだ。ちょっと落ち着いて、システム2(スロー思考を働かせたほうがいい。(ダニエル・カーネマン)


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スロー思考とファスト思考

私たちの脳はできるだけ楽をして
エネルギーを無駄に浪費したくないという特性があります。
そこで人間の脳はできるだけ早く判断しようとして
システム1(ファスト思考)を活用します。
しかし、このファスト思考に頼ると間違いが起こると
行動経済学者のダニエル・カーネマンファスト&スローで指摘します。

人間の脳には2つの思考モード=ファスト思考とスロー思考があります。
本来自分が主役になるべきだとスロー思考は考えていますが
多くの場面でファスト思考によって、スロー思考は脇役に追いやられます。
スロー思考は怠け者で、なかなか働かないという特徴があります。
ファスト思考は直感、今までの体験や知識に基づき
目の前の事象を判断してしまいます。

努力や自制が伴うタスクにはスロー思考が欠かせません。
直感や衝動では解決できない問題が起こると
人はスロー思考を使って、問題を論理的に解決しようとします。
しかし、私たちはスロー思考を使う場面で、直感に頼り
論理的に考えるべきところを飛躍してしまうのです。

たいていの人は、結論が正しいと感じると、それを導くに至ったと思われる論理も正しいと思い込む。たとえ実際には成り立たない論理であっても、である。つまりシステム1が絡んでいるときは、始めに結論ありきで論理はそれに従うことになる。

私たちの脳は熟考せずにシステム1に頼り、最初に結論を導きます。
直感は論理思考を排除して、自分勝手な結論で満足してしまいます。
このシステム1が頑張りすぎると私たちは失敗してしまうのです。
目の前の課題には落とし穴がある場合が多いので
安易に直感に頼らないようにしたいものです。
この特徴を理解して、直感に頼り過ぎないようにしたいと思います。

 

システム2(スロー思考)は消耗しやすい!

現在では、セルフコントロールと認知的努力は、どちらも知的作業の一形態であることが確かめられている。多くの心理学研究によれば、困難な認知的作業と誘惑に同時に直面した人は、誘惑に負ける可能性が高い。

難しいことをしている時に、私たちは誘惑に負けやすいことがわかっています。
複雑な数字を見せながらデザートを選ぶ以下の実験結果を見ると
スロー思考が消耗しやすいことがわかります。
数字を記憶することが最優先事項だと言われた人は必死にそれに集中します。
そこに力ロリーの高そうなチョコレートケーキと
あっさりしたフルーツサラダを差し出すと
チョコレートケーキを選ぶ確率が高くなることが確認されています。
システム2を使っている時に私たちは甘い誘惑に負けてしまうのです。

システム2が忙殺されているときには、システム1が行動に大きな影響力を持つようになる。そしてシステム1は甘党なのである。認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断をしやすいことも確かめられている。

脳が数字を覚えることに忙殺されることで
システム2が行動ににらみを利かせられなくなると
人は簡単に誘惑に負けてしまいます。
認知的負荷がセルフコントロールを低下させてしまうのです。

認知的負荷以外にも睡眠不足や少々の飲酒も同じような結果をもたらします。
朝型の人のセルフコントロールは、夜になると使い物にならなくなります。
人には休息が必要で、無理が失敗の原因になるのです。
また、今やっていることがうまくいくだろうかと心配しすぎると
実際に出来が悪くなることがありますが
これも余計な心配が短期記憶に負荷をかけてしまうからなのです。

セルフコントロールには注意と努力が必要です。
ロイ・バウマイスターはセルフコントロールの研究で有名ですが
システム2に困難な要求を強いる活動を続けると
セルフコントロールを消耗させることを突き止めました。
私たちはあるタスクにセルフコントロールを使ってしまうと
もうほかのことに集中したくなくなるのです。
難しい作業を続けた時に疲労と空腹が重なると
私たちの判断は間違いを犯します。

本書には有名なイスラエルの仮釈放審査の事例が紹介されていました。
審査員は休憩直後に仮釈放の許可をもっとも出し
休憩直前にはほとんど許可を出さなかったのです。
疲れて空腹になった状態で審査をすると申請は却下されます。
このようにシステム2は消耗しますから
大事な判断をするためには、自分が最高な状態でいる時間帯を選ぶべきです。

 

まとめ

私たちは直感(システム1)に頼りがちです。
脳は楽をするためについつい安易な回答を導きます。
そこには多くの落とし穴があるとダニエル・カーネマンは指摘します。
ファスト思考は主観的に結論を導き出すので、注意しなければなりません。
また、スロー思考(システム2)を使いすぎると
脳は消耗し、間違った選択をしがちです
本書の豊富な事例が私たちの脳の間違いを明らかにしています。
2つのシステムの特徴を理解し、成功する確率を高めましょう

今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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参考図書 ダニエル・カーネマンファスト&スロー

        

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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