社員に創業の志やミッションの共有が必要な理由。

中長期の「信頼」を崩すような短期施策は、まったくナンセンスだ。そういう「中長期的にファンを作れず、ファンががっかりしてしまいかねない施策」は、逆効果なのですぐやめよう。もっと、ブランドや商品の価値を支持し愛してくれているファンの目を意識しよう。売上の大半を支えてくれているファンの「信頼」を考えよう。施策をひとつひとつ見直して、きちんと手間をかけ、誠実にアプローチすることを基本にしよう。(佐藤尚之)


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企業は顧客からの信頼をもっと意識しよう!

インターネットやテクノロジーが進化することで、企業からのターゲティング広告の精度が上がっています。企業側は自分たちの都合でリタゲ広告を仕掛けてきますが、顧客側から見るとこれはあまり気持ちが良いものではありません。適度な広告なら効果があるのでしょうが、サイトを開くたびにその企業の広告を見ると、そのブランドンに対するマインドが悪化します。クリックした企業の広告を週に何度も見るたびに、私はその企業を応援したくなくなります。

佐藤尚之氏も書籍ファンベースの中でお試しサービスに置ける嫌な体験を以下のように語っています。自動更新や解約のしにくさが企業への反感を招き、ファンをがっかりさせてしまうのです。コミュニケーションをデザイするときにも「誠実」がキーワードになるのです。

あるサービスのお試しプラン(1カ月無料)に申し込んで使ったのである。そしたら本契約は自動更新だった上に、無料期間が終わる前に通知も来ない。だからそのまま有料プランに移行してしまった。それって常識的に考えて、騙しに近くないですか?いや、わかるんです。そうやって離脱者を減らそうとしてるんですよね?「そういうもんだ」と慣習的にはわかるし、確かに申し込み時に(小さく)書いてあった。でも、それは誠実なやり方なのか、ゼロから考え直してみてほしい。こっちは「お試し」なのだ。いかがでしたか、って終了前に聞いてくるのが当たり前だ。しかも、いざ解約しようと思ったら、解約ページが見つからない!見つからないようにとても面倒にサイト設計されている。奥の奥の奥にこっそり解約ページへのリンクがあったりする。こんなことを、一流企業と呼ばれているような会社がやっている。そしてそれは、プログやSNSなどに怒りの声として晒されている。

本当に色々なサービスが解約のページを目立たないようにしています。これがユーザーから嫌われ、ソーシャルメディアで叩かれて、ファン離れを起こしているのです。企業担当者は広告会社の言いなりになるのをやめ、顧客視点で自分が実際に登録する気持ちになって、ページを設計した方がよいと思います。ネットに広告費をかけた結果、ファンに逃げられるようなコミュニケーションでは意味がありません。

企業が信頼を失うような活動を続けていると従業員もその企業への愛着を失ってしまいます。従業員が自分の会社を好きにならなければ、誰がファンになってくれるのでしょうか?

社員に信頼される会社を作ろう!

社員が自分の企業を信頼し、誇りを持って働いていることは、社外のファンの信頼に直結する。自分の企業を信頼してない社員がたくさん働いている企業を、社外の誰が信頼するだろうか。

PR会社のエデルマンの調査によると日本人は自分が働いている企業をもっとも信頼していないそうです。メキシコやコロンビアの半分以下、アメリカやドイツに比べても数字は見劣りしています。日本は悲しいことに従業員満足度がもっとも低い国なのです。社員が自社のネガティブな情報を出し続けたらどうなるのでしょうか?社員の1割が社外で愚痴を言ったとしても、彼らの言葉がリアルな情報として拡散していきます。ソーシャルメディアや口コミが広がることでファンが離れてしまうのです。特に地域を拠点にしている企業にとっては致命的だと佐藤氏は指摘します。地縁・血縁を通じてあっという間に悪い噂が広がってしまいます。

しかし、逆説的に考えれば、社員が自社に愛着を持ってくれさえすれば、その企業は顧客に選ばれるようになるわけですから、従業員に自社を好きになってもらうべきです。社外に信頼されたければ、まずは社員の信頼を勝ち取らなければなりません。

社外で信頼されたかったら、社内で社員に信頼されないといけない。社内=社外なのであれば、社内の共感=社外の共感である。社内の愛着=社外の愛着である。そして、社内の信頼=社外の信頼である。社員たちの感情が、そのまま外出ていくと思ったほうがいい。

社員が自社を信頼するためには、ミッションの共有が必要です。ファンの多いスターバックスは40時間に及ぶ独自研修で、ミッションを共有しています。この研修のおかげで、アルバイトを含めた全従業員にミッションが浸透し、スターバックスは多くのファンから支持されています。

全員が同じ方向を見て、生活者の課題を解決していくことが社員の共感、愛着、信頼に直結します。自社はちゃんとしているという思いを育むインナーコミュニケーションが社員と会社の距離を縮めてくれます。創業の志やミッションを深く共有し、顧客に貢献する社員が増えれば、自社に誇りを持てるようになります。経営者は会社の良い部分(誠実に顧客のために活動している)を社員に見せる努力を続ける必要があります。

まとめ

顧客に信頼されないコミュニケーションを続けていると、ファンが離れて行きます。顧客に貢献しているという意識を持ってもらうために、創業に志やミッションを共有しましょう。社員が自社に愛着を持つことで、企業がより強くなり、ファンに応援されるようになります。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

      

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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