髙田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていくの書評

習慣化

是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。(世阿弥)


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初心とは何か?

日経新聞の私の履歴書を読むことで、髙田明氏に興味をもち、髙田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていくを読了しました。その中で髙田氏は世阿弥の初心忘るべからずという有名な言葉を誤解してはいけないと述べています。修業を始めた頃の芸の未熟さを忘れないことは当然ですが、年を重ね経験を積んでも、刻々に味わう芸の難しさを忘れてはならないのです。ベテランになり、老年を迎えたときも老年の初心があり、それを決して忘れてはいけないのです。世阿弥は、20代には20代の、30代には30代の初心があると説いています。

人生のどのタイミングでも「その年ごろならでは」の初心が常にあり、中身はどんどん変化していくものだと私は考えています。その都度、「初心=今の自分の未熟さ」を心に留めていけば、成長の階段をいくつになっても上がっていけると思います。私は最近、特に「老後の初心」を大事に思うようになりました。(髙田明)

髙田氏はその時々で人は異なる役割を与えられていると言います。新しい役割を担ったなら、どんなにプロフェッショナルでも初心者の気持ちを忘れてはいけません。芸を磨けば磨くほど、自分の未熟さが見えてきます。私たちは何歳になっても、成長の余地があるのです。向上心を捨てずに、高みを目指すために、私たは初心を大切にすべきなのです

世阿弥は「初心を忘るれば初心へかへる」という言葉を残しています。自分が未熟だったことを忘れたならば、人は元の状態に逆戻りしてしまうというのです。自分のポジションに慢心すれば、成長は止まり、その瞬間自らの魅力を失ってしまいます。

人生100年時代の今こそ、世阿弥が示す「老後の初心」を心に留めておくといいのかもしれません。とかく人間は年齢を重ねるにつれ、自分は完成していると思い、横着になったり、謙虚さがなくなったりするものです。私もそうだし、会社という組織もそう。

毎日、初心を発見するつもりで生き、初心を積み重ねることが自分の成長につながるのです。日々の体験、さまざまな人や書物などとの出会いを通じて、人の思考は変わっていきます。その結果、初心もどんどん変わっていき、自分のレベルを高めてくれるのです。多くの視点を取り入れ、知識や体験を吸収し、昨日の自分を超えていきましょう。

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うまくいかないときこそ今にフォーカスする!

また、時分にも恐るべし。去年盛りあらば、今年は花なかるべきことを知るべし。時の間にも、男時・女時とてあるべし。いかにすれども、能にも、よき時あれば、かならず悪きことまたあるべし。これ、カなき因果なり。

男時とは、勝負事において自分のほうに勢いがあるとき、女時とは相手に勢いがあるときのことを言います。世阿弥は、この男時、女時の時流は努力ではどうにもならない宿命だと捉えました。どんなに懸命に稽古しても、うまくいかないときはいかないのです。そして、人の気ほど移ろいやすいものはありません。どれほど一所懸命にやっても、評価されないことがあります。よい時もあれば悪い時もあるとはよく言ったもので、いつもベストな状態を保てるわけではありません。観阿弥、世阿弥の親子は室町時代の8代将軍の足利義満から強力なサポートを受けていましたが、義満の死とともに不遇の時代を迎え、世阿弥は晩年、なんと佐渡へ流されています。このように自分の努力ではどうしようもないことが世の中にはあります。自分ではどうしようもないことなら、それを受け入れるしかありません。物事にはタイミングがあると考え、何かが変わるのを待つことが大切です。

待っていれば多くの場合、転機が訪れます。チャンスと言ってもいい。私の経験を振り返ってみても、「もう駄目かもしれない」というピンチを乗り越えた後ほど、必ずよい風が吹きました。男時に果敢に攻める。女時はじっと耐えしのび、やがて来る男時に飛躍するための英気を養う。仕事にせよ何にせよ、心に無用なさざ波を立てずに生きていく秘訣はこの一言に尽きると思います。

人生にはうまくいかないときがあると考え、我慢しながら、今にフォーカスするとよいと髙田氏は言います。過去でも未来でもない、今というときを一生懸命に生きるとやがて結果がついてきます。今に200%、300%のエネルギーを注ぐことで、明日が変わり、明日が変われば未来が変わるのです。

まとめ

世阿弥はいくつになっても初心を忘れるべきではないと指摘します。日々の体験を大事にし、初心を忘れずに今自分ができることに集中しましょう。長い人生には良いときも悪いときもあり、ツキは刻々と変わります。女時(よくないときには)はエネルギーを蓄積し、男時に変わる瞬間を見計らって攻勢に移ることで、運を高めることができます。

    

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