岡本純子氏の世界一孤独な日本のオジサンの書評

肥満より、大気汚染より、環境ホルモンより、食品添加物より、お酒より、あなたの健康を蝕み、寿命を縮めるものがある。それは「孤独」だ。(岡本純子)


photo credit: Magdalena Roeseler via photopin (license)

心と身体を蝕む孤独を防ごう!

岡本純子氏の世界一孤独な日本のオジサンを読むとひとりぼっちのリスクを理解できます。人とのつながりを強化しないと寿命を縮めてしまうのです。

欧米のメディアでは次のような見出しで孤独に警告を与えています。
●社会的孤立が私たちを死に追いやる。(ニューヨーク・タイムズ)
●中高年の男性にとって最大の脅威は喫煙でも肥満でもない。それは孤独だ。(ボストン・グローブ)
●慢性的な孤独は現代の伝染病。(フォーチュン誌)。

日本ではあまり話題になることはありませんが、今、世界で「孤独」が精神的・肉体的健康上、最も憂慮すべき問題として取り上げられているのです。2018年1月には、イギリス政府が「孤独担当相」を作り、世間を驚かせました。「孤独は現代社会の悲しい現実であり、看過できない喫緊の課題である」とイギリスのメイ首相は述べています。

病気になる人々を観察し続けてきてわかったが 、その共通した病理 (病気の原因 )は心臓病でも 、糖尿病でもなかった 。それは孤独だった。(ビベック・マーシー)

本書に紹介されているデータを読むと「孤独」が「万病のもと」であることがわかります。恐ろしいことに孤独によって、私たちは気づかぬうちに、心と身体を蝕んでいるのです。ブリガム・ヤング大学のホルト・ランスタッド教授は2010年に148の研究、30万人以上のデータを対象とした分析を行いました。それによると社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下すると言うのです。また、孤独は、①1日たばこ15本吸うことに匹敵 ②アルコール依存症であることに匹敵 ③運動をしないことよりも高い ④肥満の2倍高いと結論づけました。2005年のオーストラリアの研究では、子供や親戚などとの関係性は長寿とはあまり関係はなく、友達が多い人の方がほとんど友達がいない人より長生きすることが明らかになりました。孤独による健康への悪影響は実に多岐にわたります。うつ病、統合失調症、薬物やアルコールの乱用といった精神的な疾患と同時に、心臓病、血管疾患、がんなど、ありとあらゆる病気のリスクを大幅に高めてしまうのです。

人のぬくもりを感じることが世界で最も少ない日本人。

著者の岡本氏は世界一孤独な国民が日本人で、この孤独が多くの日本人の健康に悪影響を与えていると指摘します。

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孤独にもっとも陥りやすいのが日本のおじさん!

都市化、核家族化などの進展とともにグローバルにこの問題は広がっているが、その中でも最も事態が深刻で、「世界一孤独な国民」、それは日本人だ。「孤独」はもはや、「国民病」として、多くの人の心身を蝕んでいる。しかし、人々や政府の関心が 急速に高まり、対策が進められる海外に比べ、人々もメタボやがん対策などには力を入れても、日本では、国もこの「万病のもと」に関心を向けることはあまりない。

中高年の男性は、女性に比べると男性、特におじさんたちはコミュニケーションが下手なためどんどん孤独になっていきます。 おじさんたちは仕事に忙殺されていくうちに、友人との交流がなくなり、家族にも邪魔者扱いされてしまいます。50を過ぎた頃には役職定年になり、仕事も取り上げられ、心を通わせる人がいない「寂しいオジサン」になってしまうのです。退職をすると肩書きと名刺も取り上げられ、存在感がなくなり、孤独な人生を送ることになるのです。

人間は「社会的動物」で、私たちは絶えず他者との関係において存在しています。私たちが幸せに生きていくためには、周りの人たちとの結びつきが欠かせません。会社に依存するのをやめ、自分の時間を有効活用し、地域や仲間とのつながりを強化しましょう。寂しいおじさんにならないためには肩書きやプライドを捨てて、コミュニケーション能力を高めるべきです。自分の世界を広げるために、今こそ働き方を変えるのです。会社以外の時間を増やし、様々なコミュニティに参加し、仲間を作ることでうつ病や早死のリスクを減らすのです。本当にやりたいことがあれば、そのための時間を作り、勉強会やイベントに参加しましょう。地域のボランティア活動を行ったり、料理教室に通って、家でパーティーを開くのも良いかもしれません。私がアドバイザーのサードプレイス・ラボでは毎月様々な分野の専門家を呼び、参加型の勉強会を開催しています。会社以外の人たちとのつながりを作ることで、多くのメンバーが笑顔になっています。この会に毎回参加することで、私はつながりの素晴らしさを実感しています。

※次回のサードプレイス・ラボは5月28日に開催します。詳細はこちらをクリックください。

まとめ

世界的には身体と心の健康を蝕む孤独のリスクが認識され始めています。日本は孤独な人が多く、特におじさんは知らず知らずのうちに孤独になっています。60歳を過ぎた時に孤独に気づいても遅いのですから、若い時から社会とのつながりを持つようにすべきです。会社オンリーの縦社会の生き方をやめ、様々なコミュニティに参加するようにしましょう。勉強会や街中でたわいのない会話を自分からすることで、新たな友人を作れます。見知らぬ人への挨拶や雑談を習慣化することで、新たなつながりを生み出せるのです。孤独にならないために、日頃から自分にできることを意識しましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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