田中道昭氏の「ミッション」は武器になる―あなたの働き方を変える5つのレッスンの書評

プロセスへと向かうこうした変化によって、われわれが作るすべてのものは、絶え間ない変化を運命づけられる。固定した名詞の世界から、流動的な動詞の世界に移動といく。今後30年で形のある自動車や靴といった物は、手に触れることのできない動詞へと変化していくことになるだろう。プロダクトはサービスやプロセスになっていくだろう。(ケヴィン・ケリー)

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セルフリーダーシップを鍛えよう!

田中道昭氏の「ミッション」は武器になる―あなたの働き方を変える5つのレッスンを読んでいたら、大好きなケヴィン・ケリーの言葉が引用されました。田中氏は自分の行動を変えるためには動詞が重要だというのですが、その理由は後述します。まずは、田中道昭氏の最新作について簡単に説明します。田中氏はミッションステートメントの重要性をビジネスマン向けにわかりやすく解説しています。自分だけのミッションを言葉にできれば、「仕事の迷い」は一瞬で消え、今やるべきことが見えると言うのです。

多くのビジネスマンはミッションステートメントを作れと言われれば、躊躇し、課題から逃げるはずです。しかし、ここがチャンスの分かれ目です。それが幸せになるための秘訣だとわかればやろうと思う人もいるはずです。つまらぬ人生にさよならして、人生を変える武器を手に入れたければ、いますぐ本書で紹介されている5つのレッスンを実践してみましょう。
■レッスン1 強みを再発見する
■レッスン2 長期目標を考える
■レッスン3 セルフブランディング 価値観を知る
■レッスン4 ポジショニング 自分が解決すべき課題を決める
■レッスン5 セルフリーダーシップ ミッションの動詞を定める

ストレングスファインダーで自分の強みを知る、ヒーローズジャーニーでGRITを鍛える、自分の名前の意味を深掘りし、価値観を明確にする、ポジショニングによって自分らしさを追求するなど本書のメソッドを活用すると自分の人生の価値を明らかにできます。著者のマーケティングや経営学、ミッションなどの膨大な知識や体験が一冊にわかりやすく凝縮されているので、内容が腑に落ち、すぐに自分ごと化出来ます。本書を読み、ワークにトライし、アクションを起こすことで人生をワクワクなものに変えられるはずです。

動詞はさまざまな概念と重なり合い、影響を与え合いながら相互の成長を加速させていきます。自分の強みを名詞としてだけではなく動詞としてとらえることで、無限に広がっていく自分の成長や可能性を信じることができる。(田中道昭)

特に、響いたのがレッスン5の「自分のミッションの動詞を決める」ということです。Wiredのケヴィン・ケリーの言葉から田中氏は動詞の可能性・重要性を指摘します。自分の強みを動詞でとらえることで、無限に広がる可能性や成長を信じられるようになり、行動をアクティブに変えられます。

日本人はリーダーシップを取ることが苦手だと言われていますが、著者もアメリカの留学時にそれを痛感し、必死にリーダシップ論を学んだそうです。リーダーシップはグローバルリーダーシップ、ソーシャルリーダーシップ、チームリーダーシップとセルフリーダーシップの4階層に分類されます。セルフリーダーシップが全ての根底にあり、これを習得しなければなりません。その際、動詞を活用すると効果があるというのです。自分の強みをリストアップし、自らを奮い立たせる動詞を見つけるようにしましょう。

セルフリーダーシップとはつまり、自分自身をリードする方法です。さらに簡単に言えば、自分の機嫌をとる方法と言ったら近いでしょうか。自分をその気にさせ、奮い立たせて、ある目標に近づけていく。自らが自らを導いていく、というのがセルフリーダーシップです。

リーダーシップの第一歩は自分を好きになることだと田中氏は述べています。「I am OK」をアファメーションにして、自己肯定感を高めるのです。自分を好きになれない人は、他人を受け入れることができません。「I am OK,You are OK」という互いを認める関係を築くことがリーダーのつとめで、自分を愛せなければ、人間関係を良好にできません。よい結果を生み出すためには周囲の人たちの協力が必須なのです。そして多くの経営者は自己肯定感が高いという共通点があります。彼らは「You are OK」というメッセージを受け取れる人たちと強い絆を作っているのです。

ミッションこそセルフリーダーシップの中核

自分をリードするセルフリーダーシップは、結論から言えば、ミッションによって発動させるものにほかなりません。人の思考や行動の枠組みの最上位概念として、存在意義や存在理由、使命を明らかにすることが、すなわちミッションです。ミッションが明確であれば、おのずとビジョンが決まり、ビジョンが決まれば日々の行動も決まってきます。

セルフリーダーシップを発揮するためにはミッションが欠かせません。自分のミッションを持っていない人は、セルフリーダーシップを確立できず、他者に貢献するという人生の楽しみを味わえません。チームや組織でリーダーシップを保ちたければ、自らのミッションステートメントを作るべきです。その際、自分の強みを動詞で表現することで、行動に投影されます。資質の本質は、自分の強みを言い表した動詞に現れるのです。

自らのミッションステートメントを動詞で作ることでセルフリーダーシップが身につき、世の中に貢献できるようになります。それが見つかったら、田中氏の以下のフレームを活用し、ミッションステートメントを完成させましょう。〇〇をうめることで自分らしいミッションステートメントを作れるはずです。

私のミッションは(強みの)〇〇を活かし、(キャリアパス)〇〇において、(価値観)〇〇をもとに、(自分の課題)〇〇に対峙し、(やるべき動詞)〇〇することです。

ミッションが完成したら、それを自分ごと化しましょう。ミッションを身につけ、揺るぎない自信をつけるためには3つの方法があると田中氏は言います。
1、インプロビゼーションでミッションを演じる
実際に体を動かすことで思考によいう効果を与えます。インプロを実践することで変化に適応でき、ポジティブに動けるようになります。即興によるコミュニケーションを通じてセルフリーダーシップやチームワークが向上します。以前、私も立教大学大学院の田中氏の授業でインプロを体験しましたが、すぐに効果が出ることを目の当たりにしました。なりたい自分になりきって感情を込め、演じることで潜在意識にミッションを擦りこめ、自分の行動を変えられます。

2、「理想の世界観」で「社会的問題」と対峙する
「自分の対峙していきたい問題」「自分が提供したいもの」「理想の世界観」を言語化することで、世の中に貢献したくなります。大きく考え、理想となる世界を言語化することで、ミッションがさらに強力な武器になります。

3、ヒーローズ・ジャーニー
世界中の英雄物語に共通したヒーローズ・ジャーニーを自分の過去の人生で作ると本質が見えてきます。会社の肩書きや知識よりも大切なものがあることに気づけます。自分を強くするのはそういった表面的な武器ではなく、自分と自分のミッションだと思えるようになります。人としての魅力はミッションに現れ、それが多くの人を惹きつけるのです。

最後に田中先生の以下の言葉で今日のブログを終わります。

ミッションとは、自分の存在意義であり、「今ここ」に存在しているもの。遠い未来に存在しているものではなく、あなたの目の前にある仕事の中に内在しているもの。そして自分が働く目的、生きる目的でもあります。それは、誰かから与えられるものではなく、自分の中にすでにあるものを自分で見つけ出し、自分でデザインしていくものなのです。

本書を熟読することで、自分のミッションを見つけ、行動したくなるはずです。ワクワクな一冊でオススメです。

まとめ

ミッションステートメントを作成し、それを実践することで、私たちは幸せな人生を生きられるようになります。ミッションは武器になると考え、情熱を持って取り組める仕事を見つけましょう。ミッションステートメントを作ること、自分との対話を重ねることで悩みがなくなり、今ここに集中できます。ミッションステートメントを作成し、そのためのアクションを続けることが幸せになるための秘訣なのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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