徳本昌大の書評ブログ!毎日90秒でワクワクな人生をつくる https://tokumoto.jp 書評家・ビジネスプロデューサー徳本昌大のブログ 断酒と読書とブログで人生を変えたビジネスプロデューサー Wed, 27 Mar 2024 20:52:54 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 https://tokumoto.jp/wd/wp-content/uploads/2018/09/cropped-favi7-32x32.png 徳本昌大の書評ブログ!毎日90秒でワクワクな人生をつくる https://tokumoto.jp 32 32 場から未来を描き出す――対話を育む「スクライビング」5つの実践(ケルビー・バード)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46720/ https://tokumoto.jp/2024/03/46720/#respond Wed, 27 Mar 2024 20:52:54 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46720 person typing by Apple Pencil on iPad in a room

場から未来を描き出す――対話を育む「スクライビング」5つの実践
ケルビー・バード
英治出版

場から未来を描き出す(ケルビー・バード)の要約

自分自身を信じることとメンバーとの信頼関係を築くことは、集団のエネルギーを引き出し、正しい解答に近づくために重要です。まだ形になっていない考えがスクライビングによって視覚化されることによって、人々は内省を深め、自らが主体となる意識を高めます。結果、新しい洞察、ビジョン、そして未来を生み出せます。

スクライビングとは何か?

私たちは共感するために、そして描くために、聴きます。(ケルビー・バード)

アーティストであり、世界的に認められているスクライビングの実践者のケルビー・バードは、対話を深めるための実践的アプローチを探求しています。この本は、単に言葉を交わすだけではなく、描画を通じて対話を促進し、共に未来を構想する方法を提案しています。

ここで紹介されている「スクライビング」という技術は、参加者が自分の考えや感情を絵や図に表現することで、より深いレベルのコミュニケーションを実現する方法です。スクライビングは、複雑なアイデアや感情を視覚化し、それによって具体的に理解を深めるのに特に有効です。

この本では、スクライビングを実践する具体的な方法や手順も詳細に説明されており、どのレベルの経験者にも有益な情報が含まれています。ケルビー・バードによるこのアプローチは、対話をより深め、共感を生み出す新たな方法を提供します。参加者が自らの考えや感情を視覚化し、共有することにより、より有意義なコミュニケーションが促されることが期待されます。

「スクライビング」という動作は、可視化する行為です。アーティストが、人々の話していることを言葉と絵で配置していき、話している人たちは、ひとつの描写ができあがっていく過程を目の当たりにすることができます。そしてその描写が、話している内容をつなぎ、洞察を与え、意思決定に手助けをします。

「スクライビング」とは、会話や議論を視覚化する技術です。この方法では、アーティストが現場で言葉やイラストを用いて、人々が話している内容を図や絵で表現します。これにより、参加者は自分たちの考えや感情がどう共有され、結び付いているかを直感的に理解することができます。

このプロセスを通して、参加者は自分の意見が尊重されていると感じ、集団全体で共通の理解を築くことができます。スクライビングによって視覚化された情報は、議論を円滑に進め、複雑な問題を整理しやすくするため、意思決定や問題解決の過程で重要な役割を果たします。

また、この手法は参加者が議論の流れを追いやすくし、具体的な方向性を定めるのに役立ちます。 スクライビングは、単なる描画やメモ取り以上のものとされています。この手法を用いることで、言葉だけでは伝えきれない情報や感情を共有し、対話や共創を促進することができます。

特に著者が実践する「生成的スクライビング」と呼ばれる手法では、その場のエネルギーや可能性を感じ取り、参加者がまだ言葉にできていない内容を形にします。アーティストは、場のエネルギーに調和し、意識を広げながら、生態系全体を考慮して描きます。

これにより、社会的な場に新しい現実が現れるのを助け、参加者は自分たちが属するシステム全体をより深く理解することができます。

スクライビングによって生み出される関係性は参加型で、互いに影響し合い、共に創造するものです。この相互作用を通じて、参加者は自分たちの対話がもたらすシステムの文脈を超えた新しい理解へと導かれます。この方法は、単に情報を交換するだけでなく、相互理解を深め、共同の未来を描く上で重要な役割を果たします。

スクライビング=参加型のソーシャル・アート

スクライビングは本質的には参加型のソーシャル・アートです。

スクライビングはソーシャル・アートの形態として、集団の中で行われる対話的な創作活動です。このプロセスでは、アーティストが会場でリアルタイムに言葉やイラストを用い、参加者たちの会話や議論を視覚的に表現します。このやり取りは公開され、その場の人々の目に触れ、フィードバックによって形を変えていきます。

複数の人々の参加が必要であり、個々人の声や視点が共鳴し合いながら、有機的に展開していきます。 この方法では、アートの創造は一人のアーティストだけのものではなく、多くの参加者のインプットによって成り立っています。参加者は自分たちの言葉や感情がどのように共有され、繋がっているのかを視覚的に確認することができ、それによって相互理解を深めます。

スクライビングを通じて、参加者は自分の考えや意見が価値を持っていると感じることができます。これは、グループ全体としての共通の理解を形成するのを助け、議論を進めやすくします。この視覚化プロセスは、複雑な問題を整理しやすくするとともに、より効果的なコミュニケーションと協力を促進します。

スクライビングによって、参加者は自身の考えが尊重され、共有されることを感じ、グループ全体としての共通の理解を深めることができます。さらに、可視化された情報は議論をスムーズに進行させ、複雑な問題を整理しやすくする役割も果たします。

スクライビングには「開かれた思考」「開かれた心」「開かれた意志」という3つの重要な能力が求められます。開かれた思考は、新しいアイデアや視点に対して好奇心を持ち、常に学び続ける姿勢を意味します。開かれた心は、他者の意見や感情に共感し、思いやりを持って受け入れることを指します。最後に、開かれた意志は、新しい挑戦に果敢に取り組み、自らの考えやビジョンを表現する勇気を持つことです。

これらの能力をバランスよく持つことで、スクライビングを通じて豊かな対話や革新的なアイデアを生み出すことができます。私たち全員がこれらの能力を育て、スクライビングを通じてより明るい未来を共に描くことができれば、社会全体がより豊かで理解し合う場へと進化していくでしょう。

マサチューセッツ工科大学のオットー・シャーマー博士が提唱したU理論は、問題解決のための独自のアプローチを提案するプロセスであり、スクライビングはこの理論の理解を深める手段として活用されます。

スクライビングでは、自分自身の在り方を整えることが、問題解決の出発点とされています。技術や方法論も重要ですが、描く際の心構えや表現の姿勢がそれらよりもさらに重要とされています。

スクライビングは、存在する(在る)、一体化する(融合する)、認識する(捉える)、理解する(知る)、表現する(描く)の5つのステップに基づいています。それぞれのステップは、問題解決や創造的な対話において本質的で興味深い要素を持っています。

時間が経過するにつれ、集団が変化の意思を示すようになったら、彼らがビジョンのレベルを上げ、更新された今の現実に気づくのを助けることができます。集団がどこから来てどこをめざしているかにリズムを合わせることにより、私たちはその道筋を可視化します。そして、選択のための状況を整えることができるのです。

自分自身を信じることと、参加しているメンバーとの信頼関係を築くことは、集団のエネルギーを引き出し、正しい解答に近づくために重要です。まだ形になっていない考えがスクライビングによって、視覚化されることによって、人々は内省を深め、自らが主体となる意識を高めます。これにより、新しい洞察、ビジョン、そして未来が生まれるのです。


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12000冊のビジネス書を読んで試した経営コンサルが 名著100冊から「すごい時間のつかい方」を抜き出して1冊にまとめました(大杉潤)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46754/ https://tokumoto.jp/2024/03/46754/#respond Tue, 26 Mar 2024 21:48:55 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46754 clear hour glass with brown frame

12000冊のビジネス書を読んで試した経営コンサルが 名著100冊から「すごい時間のつかい方」を抜き出して1冊にまとめました
大杉潤
WAVE出版


 

名著100冊から「すごい時間のつかい方」を抜き出して1冊にまとめました(大杉潤)の要約

人生の後半戦において「時間」は最も貴重な資源となります。50代に差し掛かると、自分の人生をどのように意義深く過ごすかを考えることが重要です。それは、心から望むことに時間を割り当て、自身の幸福と満足を追求することを意味します。50代からは時間を味方にして、自分にとって本当に価値のある活動に集中しましょう。

創造リテラシーと金融リテラシーが重要な理由

「お金」よりも「時間」の方がずっと大切だ。(大杉潤)

ビジネス書籍の書評の第一人者の大杉潤氏から本書を献本いただいたので、早速レビューしたいと思います。大杉氏は、経験豊富な経営コンサルタントで、12000冊のビジネス書から得た知識を基に本書をまとめました。この本は、時間管理と効率的な仕事の進め方に関する実用的なアドバイスを提供しており、ビジネスパーソンや経営者に向けた貴重なガイドとなっています。

このブログでもお馴染みのビジネス本の名著が取り上げられており、時間管理に苦戦しているビジネスパーソンにとって有益な内容になっています。厳選された100冊の名著から得た大杉氏の知見は、読者に時間を効果的に利用するための貴重なアドバイスを提供し、ビジネスでの成功への道を開いてくれるはずです。本書を通じて、読者は時間の重要性を理解し、限られた時間を最大限に活かす方法を身につけることができます。

本書のテーマは以下の6つになります。
▪️仕事のキホン
▪️ワークライフバランス
▪️マインドセット
▪️キャリア形成
▪️幸せの実現
▪️ライフシフト

今日は大杉氏が選んだ100冊の中から、私がまだ読めていない2冊をピックアップしました。まず、タイムノットイズマネー(古川純)を取り上げます。

古川氏によると、新しいアイデアやソリューションを生み出す力である「創造リテラシー」と、資産を増やし適切に管理することで生活の選択肢を広げる「金融リテラシー」は、どちらも現代生活において欠かせないスキルだと言います。 この2つのスキルを養うためには、「読書」「行動」「思考」の3つが必要であると古川氏は指摘しています。

具体的には、読書などのインプットにより、新たな知識を得、行動に移しながら深く思考することが重要です。この「考動」を実生活に取り入れることで、時間を有効活用できるようになります。 

実際、私もこれら2つのリテラシーを身につけることで、時間を有効に使えるようになり、充実した人生を送ることができるようになったので、古川氏の考えに共感を覚えました。

「相転移」で人生の後半戦をデザインしよう!

人生は図で考える 後半生の時間を最大化する思考法 (平井孝志)の「相転移」という考え方にも共感を覚えました。この書籍は、人生の後半期をいかに戦略的かつ有意義に過ごすかを、経営戦略の視点から解き明かしています。著者は、人生をただ時間が過ぎるものではなく、計画的に管理し構築するべきものと捉えることを提案しています。

具体的な戦略として、残りの人生を最大限に活用し、満足のいく後半生を過ごすために、時間の管理や使い方に焦点を当てたアプローチを紹介しています。 著者の平井氏によれば、人生は「構築期」の前半生と「統合期」の後半生の2つのフェーズに分けられます。

50歳を境に、自己実現と経験の深化に重点を置く後半生にシフトし、これまで築き上げた価値を深め、享受する時期が始まります。 これは人生における「相転移」の時期とされ、人生の質を変化させ、より充実したものへと導くための重要な転機です。本書では、この重要な転機をどのように迎え、自分自身の人生を積極的に形成していくかについて、具体的かつ実践的なアドバイスが提供されています。

例えば、「やるべき事」ではなく「やりたい事」に時間を配分する「ストラテジー思考」や自分の強みを人生の指針とするパーソナル・アンカー思考によって、私の50歳からの人生後半戦はうまくいくようになったので、ぜひ、ミドル世代の人は平井氏のアドバイスを参考にしてください。

人生の後半では、「時間」が最も大切な資源となります。50代になると、人生をどう有意義に過ごすかを考えることが大切になります。これは、自分が本当に望む活動に時間を使い、幸福と満足を求めることを意味します。

この時期は、自分にとって重要な活動に集中する絶好のチャンスです。平井氏の戦略的思考は、人生の後半をより充実したものにするための指針となります。

今回、大杉氏のお陰で、新たな書籍に出会う機会を得ました。また、大杉氏の異なる視点から、以前に読んだ本に対する新しい理解を深めることができました。

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あきらめない力がイノベーションに重要な理由。 https://tokumoto.jp/2024/03/46703/ https://tokumoto.jp/2024/03/46703/#respond Mon, 25 Mar 2024 22:40:06 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46703 person raising right hand under blue sky during daytime

イノベーションは日々の仕事のなかに――価値ある変化のしかけ方
パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ
英治出版

イノベーションは日々の仕事のなかにの要約

イノベーションには粘り強さ=あきらめない力が欠かせません。イノベーションの設計者は、困難な課題に直面してもあきらめず、挑戦を続ける環境を整えるべきです。部下の内因性と外因性のモチベーションのバランスを取りながら、粘り強く取り組む姿勢が、最終的に成功へと導くのです。

あきらめない力がイノベーションに重要な理由

世界には、才能に恵まれた人があふれるほどいる。ところが明らかに才能があっても、真に重要な何かを成し遂げる人は限られている。(パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ)

著者らはイノベーションを起こすフレームワークを明らかにしました。このフレームワークは、リーダーが部下に実践させることで、組織文化を変革し、イノベーションを促進することができます。

具体的には、「フォーカス」「つながる」「ひねる」「選ぶ」「ひそかに進める」の5つの行動に加えて、「あきらめない」という追加行動が提案されています。この「5つの行動+1」のフレームワークを通じて、部下たちは問題に集中し、関係性を築き、アイデアを転換し、選択を行い、静かに進捗を重ねることが求められます。この過程を通じて、組織は従来のやり方にとらわれず、新しいアプローチや発想を取り入れることができます。

実際、19世紀に政治家および詩人として活躍したロバート・ブルワー=リットンは、この「あきらめない」精神の価値を強調しています。彼は、過去の顕著なイノベーターたちを研究する中で、才能と成功の直接的な関連性を疑問視しました。彼の研究は、才能が豊富にあっても、それが実際に大きな成果に結びつくのは一部の人々に限られていることを示したのです。

リットンは、成功の鍵となる要素が知識の量や生まれながらの才能ではなく、「粘り強さ」にあると見出しました。歴史上、名を残す偉大な人々の共通点は、「あきらめない」という姿勢です。これらの人物は、逆境に直面しても決して屈することなく、他の多くの人があきらめてより楽な道を求める中でも、自らが信じる道を堅持し続けました。

このような不屈の精神は、彼らを成功に導く主要な力となったと、ブルワー=リットンは述べています。この教訓は、今日のイノベーションを追求する組織にとっても、非常に価値があるものです。

この粘り強さは、イノベーションを生み出す設計者にとって欠かせない要素です。著者らはあきらめないための2つのアプローチを明らかにしています。
①イノベーションの旅を愛する
内因性モチベーションの活用

②ゴールを見定める
外因性の報賞を軽んじない

粘り強さを養う2つのアプローチ

①イノベーションの旅を愛する
イノベーションのための環境整備は、新しい道を開く作業に似ています。リーダーは、部下たちが創造性を発揮しやすい環境を構築することで、彼らの創造的な旅路を歩みやすくします。しかしながら、環境を整えることができても、その道には必ず克服すべき障害が存在します。最終的に、創造的な道を選択し、そこから逸脱しない責任は個々の部下のやる気に左右されます。

この点で、個々人のモチベーションが非常に重要になってくるのです。 「選択アーキテクチャー」は、外的な要素として人々の行動に影響を与えますが、一方で「モチベーション」は、個人が行動を起こす内的な原動力と考えられています。歴史を通じて、モチベーションは内因性と外因性の2つに分類されてきました。

内因性モチベーションは、外部からの報酬や認知ではなく、自らの内なる欲求ややりがいを追求する状態を指します。例えば、好きな趣味を楽しむことや、自分の成長や学びを重視することが内因性モチベーションの一例です。このようなモチベーションは、人々が自己実現や満足を追求する際に重要な役割を果たします。

特に職場においては、内因性モチベーションを持つ従業員は、自主性や創造性が高まり、業務に対する意欲も向上します。仕事に対する情熱ややりがいを持つことで、成果を上げるために積極的に取り組む姿勢が養われます。そのため、組織が内因性モチベーションを促進し、従業員が楽しみながら仕事に取り組める環境を整備することは、生産性向上やイノベーションの促進につながるでしょう。

②ゴールを見定める
外因性モチベーションは、活動自体に魅力を感じなくても、金銭や昇進などの目的を達成したいという欲求から生まれます。 イノベーションを進めるうえで、内因性モチベーションだけでなく、外因性モチベーション、つまりボーナスや昇進などの実質的な「報酬」の存在も重要な役割を担います。

創造的な旅を進む中で、人々は内在する喜びを感じ取ることができますが、その背後にある外因性の報酬は、イノベーターを現実世界へとしっかりとつなぎ止めてくれます。 また、経験豊かな従業員であれば、未知の道を歩む際にも迷うことなく進むことが期待されます。

しかし、もし彼らが途中で、失敗に終わった先人たちの失敗の痕跡を目の当たりにした場合、新しいアイデアをあきらめ、既存の方法へと戻ってしまう可能性があります。それに対して、成功したイノベーターへの報酬が明確に設定され、失敗した場合でも重大なペナルティが存在しないことが明示されていれば、従業員は創造的な道を選ぶことをより積極的に検討し、日々のイノベーションに向けて努力を重ねることになるでしょう。

このように、外因性モチベーションは、創造性を促す環境の構築において、内因性モチベーションと並ぶ重要な要素となります。

粘り強さは、イノベーションを生み出す設計者にとって欠かせない要素です。この強靭な精神は、イノベーションの過程を楽しむという内因性モチベーションの活用を促します。設計者は、イノベーションの旅そのものを愛し、探求と学習の過程で自己実現を図ることが大切です。

また、明確なゴールの設定も重要です。外因性の報酬を全く無視することなく、目標を達成することで得られる報酬を意識することも、モチベーションを高め、粘り強く取り組むための鍵となります。この外因性の報酬が、適切な目標設定と相まって、イノベーションを推進する動力となるのです。

イノベーションには粘り強さ=あきらめない力が欠かせません。イノベーションの設計者は、困難な課題に直面してもあきらめず、挑戦を続ける環境を整えるべきです。部下の内因性と外因性のモチベーションのバランスを取りながら、粘り強く取り組む姿勢が、最終的に成功へと導くのです。

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イノベーションを起こすための3つのつながりとは?イノベーションは日々の仕事のなかにの書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46695/ https://tokumoto.jp/2024/03/46695/#respond Sun, 24 Mar 2024 21:28:07 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46695 people eating inside of cafeteria during daytime

イノベーションは日々の仕事のなかに――価値ある変化のしかけ方
パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ
英治出版

イノベーションは日々の仕事のなかにの要約

同僚や既存の顧客とのつながりを深めることで、新しいアイデアを生み出すことができます。しかし、情報源は外にもあります。新しくて興味深いアイデアを発見するためには、今まで接点のなかった未知なる分野に目を向けることです。関連性がないような新しい領域に部下が触れることで、斬新なアイデアが生まれるようになります。

イノベーションに必要なインサイト創出の場とは?

大切なのは、イノベーションを追求しようとする企業が偶然ではなく意図的に創造性を発揮し、創造空間を継続利用することだ。「インサイト創出の場」のーつとして、企業は積極的に、創造空間を職場内に設けなければならないのである。(パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ)

イノベーションは企業の進化と発展にとって不可欠な要素です。これを実現するためには、創造性が生まれ育つ環境、すなわち「創造空間」の確保が必要です。この空間は、新しいアイデアや洞察を育むための肥沃な土壌となります。

イノベーションのプロセスは、世界中に散らばる知識や経験といったパズルのピースを組み合わせることに喩えることができます。これらは書籍、報告書、他の資料、または人々の頭の中に存在する情報から集められます。

例えば、車輪付きスーツケースの開発は、バーナード・サドウによる洞察から始まりました。彼は、空港での人々のペインを観察し、彼らの負担を軽減するために、1972年にイノベーティブな製品(車輪付きのスーツケース)を市場に投入しました。彼のアイデアは、旅行者の移動を容易にしました。

その後、ロバート・プラスはこのコンセプトを進化させ、1987年により使いやすいスーツケースを発明しました。彼はスーツケースを横向き配置に配置し、伸縮ハンドルを導入しました。この「ロールアップロード」は航空業界で大成功を収め、旅行体験を一新しました。

これらの例は、異なる要素の組み合わせと創造的思考がいかにして新たな価値を生み出すかを示しています。要素(かばん)と要素(車輪)と要素(ハンドル)を組み合わせることで、2人は旅行者の移動の際のペインを取り除き、顧客体験を高めました。

イノベーションは、さまざまな知識やアイデアの融合によって実現されます。 そのため、企業がイノベーションを促進するには、従業員が他者とつながり、コラボレーションを行える環境の提供が重要です。

これには、開放的で協力的な企業文化の構築、イノベーションを支持するリーダーシップの展開が必要です。創造性を育むことで、企業は競争上の優位性を築き、持続可能な成長を実現することができます。

イノベーションを起こすためには、リーダーは以下の3つのつながりを生み出すべきだと述べています。
①従業員と顧客のつながり
②従業員同士のつながり 部下と同僚のつながり
③部下と関連性のない未知とのつがなり 外部(異業種)とのつながり

イノベーションを起こすための3つのつながりとは?

①従業員と顧客のつながり
まずは、従業員と顧客との間のつながりを深めることから始めましょう。顧客の課題を把握し、それに沿った商品やサービスを開発するようにします。顧客と密接にコミュニケーションを取り、顧客のペインを見つけることで、ビジネスの可能性が広がります。時には顧客を自社に招き、違ったアプローチで顧客の本音を聴き出すことも有効です。

②従業員同士のつながり 部下と同僚のつながり
次に、従業員同士のつながりに焦点を当てます。チーム内で積極的に協力し、アイデアを共有することで、新たな視点や方法論が浮かび上がることでしょう。同僚と積極的に意見を交換し、互いにフィードバックを提供することで、さらに価値あるインサイトを導き出すことが可能です。

会議に異なる部門のメンバーを招くことで、新たな相互作用が生まれます。形式にとらわれなければ、もっと気軽なやり取りが可能になり、アイデアの可能性が広がります。例えば、他部門の人と毎月一回、非公式なランチミーティングを設定することで、新しい視点や情報を共有するチャンスが増えます。

同僚と既存顧客は、新たなインサイトを容易に得られる大切な情報源だ。しかし情報源はほかにもある。最も興味深いアイデアを見いだすには、まったく接点のなかった無関係な世界で、欠けたパズルのピースを探さなければならない場合もある。関連性のない新たな世界と部下を定期的につなげることで、彼らに多くのピースを集めさせ、そのなかから真に独創的なインサイトを見いだすことが可能になる。

③部下と関連性のない未知とのつがなり 外部(異業種)とのつながり
最後に、従業員とそれまで関わりのなかった新しい分野や異業種とのつながりを探求します。異なる業界や専門分野の人々と接触し、彼らから新しいアイデアや刺激を受けることで、目新しいインサイトを得ることができます。

SNSのつながりやインターネットの情報を活用することも有効です。私はアイデアを得るため、Facebookのメッセンジャーで様々な専門家とミーティングを設定します。外部に多様なアンテナを立てることで、アイデアに必要な要素や新しい組み合わせが見つかります。

日々、読書を通じて得た知識をブログに書き出すことで、新たな人々との出会いが増えてきました。経営者、教授、マーケティングの専門家、起業家など、多様な背景を持つ人々からの助言を受けることにより、私のアイデアの範囲と質が大きく向上したことは間違いありません。このプロセスは、思考の深化と同時に、私のネットワークの拡大にも貢献しています。

これらのつながりを重視し、創造空間を広げることにより、「インサイト創出の場」を形成することができます。チーム全員での協力や異なる分野との連携を促進することにより、新たな価値を生み出し、ビジネスの持続的な成長を実現できるでしょう。

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イノベーションは日々の仕事のなかに――価値ある変化のしかけ方(パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46676/ https://tokumoto.jp/2024/03/46676/#respond Sat, 23 Mar 2024 21:27:44 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46676 yellow and white round plastic

イノベーションは日々の仕事のなかに――価値ある変化のしかけ方
パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ
英治出版

イノベーションは日々の仕事のなかにの要約

リーダーは、「フォーカス」「つながる」「ひねる」「選ぶ」「ひそかに進める」の5つの行動と、追加行動としての「あきらめない」という「5つの行動+1」のフレームワークを部下に実践させましょう。このイノベーション・エコシステムを採用することで、組織文化を一新し、イノベーションを前進させることができます。

リーダーにとってのイノベーションとは何か?

[イノベーション] 昨日までとは違う行動によって、成果を生むこと
[イノベーションの設計者] 他者がイノベーションを起こすのを支援する人(パディ・ミラー, トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ)

イノベーションは、従来の考えを超えた新たな行動から成果を生み出すプロセスです。このプロセスにおいて、リーダーは直接イノベーションを実施するよりも、むしろ部下が日々の仕事の中で新しいアプローチを試みやすい環境を整えることが重要です。

このため、リーダーには「イノベーションの設計者」という役割が求められます。この役割には、チームメンバーが新しいアイデアを考え、実現するためのサポートを提供することが含まれます。

イノベーションを推進するためには、リーダーが戦略的な目標を明確にし、これをチームと共有することが不可欠です。明確な方向性を示すことで、チーム全体が目標に向かって団結し、イノベーションへの取り組みを促進することができます。

以下の3つの重要な概念が、イノベーションを促すリーダーシップには不可欠だと著者らは指摘します。 
①イノベーションのリーダーとしての役割は、自らがイノベーターになることとは異なります。多くのリーダーは、自分自身が直接イノベーションを生み出そうとしますが、リーダーの真の任務は、イノベーションを起こそうとする部下を支援することにあります。部下をイノベーターとして育て、彼らが革新的な成果を出せるよう後押しすることが、リーダーの役割です。

②イノベーションは日常業務の一部として取り組むべきものです。多くの企業がイノベーションを特別なイベントやブレーンストーム合宿でのみ追求しようとしますが、真のイノベーションは日々の業務の中で生まれます。リーダーは、部下が毎日創造的な取り組みを継続できるようサポートする必要があります。

③最も重要なのは、イノベーションを実現するための支援の仕方です。リーダーは部下を変えるのではなく、部下がイノベーターとして活躍できる環境を整えるべきです。職場の環境と人間関係をデザインし、日常的にイノベーションが生まれやすい状況を作り出すことが、リーダーの主要な任務となります。

このように、リーダーを「イノベーションの設計者」と位置づける理由も、そこにあります。リーダーは、部下が創造性を発揮しやすい職場を作り、日々のイノベーションを促進することで、組織全体の成長を支援する役割を担っています。

その上で、部下に動いてもらう環境を整備することがリーダーには求められます。著者らは「5つの行動+1」というフレームワークで環境を整えられると述べています。

イノベーションを起こす「5つの行動+1」

著者らが紹介する「5つの行動+1」では、イノベーションを促進するための具体的な行動パターンが紹介されています。以下がその要約です。
①フォーカス

イノベーションの設計者には、「本当に重要なことにフォーカスできるよう、部下を導く」ことが求められるのである。

日常の業務の中でイノベーションを促進するには、リーダーが部下に明確な制約を設定し、彼らが真に解決すべき課題に注力できるようサポートすることが効果的です。この方法を通じて、リーダーは部下に「フォーカス」する行動を促し、彼らの創造性を会社の目標に沿った方向へと導くことができます。

単なる思いつきではなく、制約の中で育まれたアイデアは、組織のニーズに合致し、より実現可能で価値あるものになります。リーダーはこのプロセスを通じて、部下が重要な問題解決に向けて集中し、実用的なイノベーションを生み出す手助けをすべきです。

②つながる。外の世界との接続
影響力のあるアイデアを生み出すためには、多様な人々や異なる環境との交流が不可欠です。新しい視点を受け入れ、外部の世界とのつながりを深めることが、新たな発見へとつながります。リーダーには、部下がこれら未知の領域と接続できるようサポートする責任があります。外部との交流を促進し、部下が異なる文化やアイデアに触れる機会を提供することで、チーム全体の創造力とイノベーションの力を高めることができます。

③ひねる。アイデアの改良

イノベーションの設計者は、彼らが絶えずアイデアを試行したり見直したりするのをサポートしなければならない。そうして彼らに定期的にフィードバックを与えて、迅速に学習、試行する文化を広める必要がある。 アイデアを洗練させるには、反復的に試行し、フィードバックを活用して改善を続ける必要があります。

④選ぶ。アイデアの選択
すべてのアイデアは、考案者にとって価値のある宝物です。しかしながら、実際には多くのアイデアが現実の基準に達しないことも事実です。このため、組織はアイデアを慎重に選別し、実際に投資する価値のあるものとそうでないものを区別しなければなりません。価値のあるアイデアを見極めるには、客観的な基準を設定し、厳しい評価を行うことが求められます。

⑤ひそかに進める。秘密裏に進行
イノベーションを設計するリーダーには、部下がイノベーションを追求しやすいような社内政治環境を構築し、障害を乗り越えるための道を開く役割があります。社内の障壁を乗り越えるには、熟練した交渉術と政治的な巧みさが求められます。適切な時期に、適切な方法で提案を進め、広範な支持を獲得することが、この過程の鍵となります。

+1. あきらめない。

イノベーションというパズルの最後の1ピースは、「モチベーション」である。部下のモチベーションを上げ、彼らの好奇心や社内の報賞制度を利用して、逆境に遭ってもあきらめずにイノベーションを追求することを促さなければならない。なぜなら、創造性は選択するものだからだ。イノベーションの設計者はイノベーション追求の手法を絶えず改良して、部下が5つの行動を「あきらめずに継続」できるよう努めなければならないのである。

イノベーションを追求するモチベーションを維持するには、失敗から学び、持続的に努力を続ける姿勢が必要です。

リーダーシップにおけるキーポイントは、「5つの行動+1」というフレームワークの実践です。このアプローチを組織全体に取り入れることで、イノベーションを促進し、組織文化を刷新するイノベーション・エコシステムが形成されます。

このフレームワークを導入することで、リーダーは部下に対し、より創造的で生産的な働き方を促し、組織全体のイノベーション能力を高めることができます。

本書では、このフレームワークを実践することで成功を収めた多くの例とともに、それを支える先人の理論が紹介されています。リーダーは、イノベーションに成功した巨人の肩に乗り、これらの行動を日々の業務に組み込むことで、組織内の変革と成長を促進できるようになります。

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親リッチ(宮本弘之)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46666/ https://tokumoto.jp/2024/03/46666/#respond Fri, 22 Mar 2024 21:27:07 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46666 man in white shirt carrying girl in gray shirt

親リッチ 
宮本弘之
日本経済新聞出版

親リッチ(宮本弘之)の要約

「親リッチ」とは、親や祖父母が1億円以上の資産を持つ、20歳から50歳の人々を指します。企業はこのグループに対して、親子間や家族関係を大切にする戦略を取り入れることで、彼らから選ばれる存在になります。ファミリーの顧客体験を高めることで、長期的で良好な関係を構築できるようになります。

消費市場の新たな主役の親リッチとは何か?

今の富裕層および超富裕層である親・祖父母世代は、いずれ消費市場から退出していきます。その後、消費市場の主役になるのは、親や祖父母の資産を承継する235万人の親リッチや、299万人のネクスト親リッチです。(宮本弘之)

日本において、富裕層の世帯数は近年急速に増加しています。景気の低迷が続く中で、所得格差は一層明確になり、野村総合研究所によると、2017年時点で純金融資産保有額が1億円を超える世帯は126.7万世帯に達し、2011年と比較して56.4%増加しました。

この富裕層の増加は、彼らの子供や孫世代である「親リッチ」の顕著な増加につながっています。 『親リッチ』は、野村総合研究所の宮本弘之氏によって提唱されたコンセプトで、1億円以上の資産を持つ親や祖父母を持つ20代から50代の個人を指し、その数は約235万人と推定されています。その予備軍の10代以下の『ネクスト親リッチ』は299万人になるなど、今後大きなマーケットを形成していきます。

親の職業は、主に事業家や医師、弁護士などの職業が多いのが特徴です。中には親の資産や人脈を使って成功を収めた人もいますが、独自の努力で成功を達成した人もいます。多くの場合、親世代の援助を受けているため、普通のサラリーマン家庭とは異なる消費が可能になります。

都市部に住む親リッチは、伝統的な富裕層とは異なり、新しいアイデアや価値観を追求する傾向があります。彼らは金銭的な余裕があるため、新しい製品やサービスを試したり、市場に新たな動きをもたらすイノベーターやアーリーアダプターとしての役割を果たしています。

親リッチの三大消費は、ファッション、レジャー、教育と言われています。お金持ちが最も重視する消費の一つがファッションです。彼らは高品質な服やアクセサリーを求め、ブランド品やデザイナーアイテムを好んで購入します。ファッションは彼らのステータスや個性を表現する手段でもあります。特に、ファッションにおいては、母娘が存在感を示しています。ただ、地主などの伝統的な富裕層は、お金を減らさないために、逆に質素であると言います。

親リッチに共通する特性の一つとして、教育への投資に対する強い意識が挙げられます。海外留学を含めた高度な教育に多額の投資を行い、広範な知識や経験を積んで自己実現を目指す人が多いのです。彼らは、受け継いだ資産を単に消費するのではなく、それをビジネス展開や再投資に活用し、さらなる財産の増加を図ることを重要視しています。

多くの「親リッチ」家庭では、子どもの海外留学費用は裕福な祖父母によって支払われています。いくら親リッチな家庭でも、普通のサラリーマンの親には、海外留学などの大きな出費を賄う余裕はない場合が多いと言います。一方で、祖父母にとっては、孫の教育に投資することは、単なるお小遣いをあげるよりも価値のある支出と考えられています。

そのため、孫の海外留学支援は、多くの親リッチ家庭で、自然なこととされており、孫たちは比較的容易に海外留学のチャンスを得ています。

親リッチが一般の人々と異なる一つの特徴は、金融リテラシーが高い点にあります。彼らは金融機関の情報を鵜呑みにせず、「セカンドオピニオン」を得ることが多いと言います。その理由は企業に有利なものでなく、顧客自身の立場に立った適切なアドバイスをもらいたいからです。自社の利益を優先する姿勢の金融機関は、今後、彼らから選ばれなくなる可能性が高まっています。

親リッチ世代の特徴とマーケティング戦略

裕福な家族が結び付きを強め続けているのには理由があります。裕福な家系には、代々にわたって資産や事業を受け継いできた歴史があり、多くの困難を乗り越えるには家族の結び付きが重要であることが身にしみているからです。家族や親族内での不和や揉め事が、結局、一族の没落をもたらすということを裕福な家族は知っているのです。

親リッチが家族の絆を重んじる理由は、家族の歴史や伝統、成功への信念、子どもへの教育と価値観の伝承など、多様な要因によります。家族との強い結びつきを通して、彼らは家族の問題に対処し、長期的な繁栄を実現しています。

このため、裕福な家族向けの企業の担当者は、家族全員との信頼関係構築を目指すべきです。彼らは、家族間の意見の食い違いなどを解消するサポートを受け入れます。しかし、親だけにコンタクトする姿勢や、親の意向を反映した提案は、親リッチから反感を買う可能性があるので、顧客である親リッチとの距離感を意識すべきです。

親リッチは、従来の富裕層とは異なるユニークな消費パターンとライフスタイルを築いており、彼ら独自の価値観の形成が特徴です。健康意識の高さ、社会への貢献、持続可能性に対する強い関心が、彼らの行動を牽引しています。

親リッチセグメントの市場は、富裕層の拡大で、今後も成長が見込まれると予測されています。富裕層を顧客とする企業は、親世代の消費パターンからの変化に対応し、この若い世代の関心や共感を引き出す戦略が求められます。

著者は親リッチとの関係構築のヒントを明らかにしています。
①ファミリーの結びつき強める支援。(信頼の数珠つなぎを意識する)
②次世代のアドバイスを提供する。(潜在ニーズを明らかにし、親リッチのニーズを先取りし、提案する)
③生涯にわたって顧客に寄り添う。

ファミリーの結びつきを強化する支援は、家族内の信頼関係を築くことで、長期的な顧客関係の構築を目指します。家族が信頼し合い、お互いを支える環境が整うことで、商品やサービスが自然と家族内で推奨されるようになります。このような環境を作ることは、顧客との絆を深め、信頼を築く重要な要素となります。

ファミリーとの関係性を意識したアプローチによって、企業は親リッチという新たな顧客層を理解し、効果的な提案ができるようになります。顧客の特定のニーズに的確に対応することで、より良い顧客体験を提供し、長期的な関係を構築できるようになります。


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イノベーションを起こすための他者の動かし方とは?人に頼む技術(ハイディ・グラント)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46677/ https://tokumoto.jp/2024/03/46677/#respond Thu, 21 Mar 2024 21:10:54 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46677 yellow and black round cookies
人に頼む技術コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学
ハイディ・グラント
徳間書店

人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学の要約

イノベーションを進める際に他の社員の助けを求めるのは普通のことで、そのときには過剰に謝る必要はありません。重要なのは、助けてくれた人への感謝を示すことです。このような感謝の表現が、両方の満足感を高め、良好な関係を築き、イノベーションの進行を促すことにつながります。

助けを求めるときの3つの方法

何かを頼むとき、その頼みを引き受けることのメリットを相手に強調してはいけません。(ハイディ・グラント)

人はなぜ他者に頼み事をすることに抵抗を感じるのか、その背景にはさまざまな心理的要因が関わっています。この本では、社会心理学者のハイディ・グラントが見つけた相手の力を上手に利用するテクニックやコミュニケーションのポイントなどが紹介されており、人間関係を築く上で非常に役立つ情報が詰まっています。

コミュニケーション能力は、人間関係を構築し、円滑に進めるために必要不可欠なスキルです。他者に助けを求めることも、その一環として重要な要素です。しかし、頼み事をする際には、相手の立場や気持ちを考えることが大切です。相手にとってもメリットがあるような提案やお願いをすることで、相手も前向きに協力してくれる可能性が高まります。また、言葉遣いや表情、態度なども、相手に対するリスペクトを示す重要な要素となります。

助け合いは人間関係の根底にある美徳であり、他人を助けることから得られる幸せは、確かに心温まるものです。しかし、支援を求める際にこの幸せを過度にアピールすると、相手はコントロールされていると感じ、関係が冷え込む原因になり得ます。これは、助けることの自主性や喜びが脅かされ、相手を不快にさせる可能性があるからです。

助ける行為のメリットを伝える場合も、注意が必要です。利己的な利益と利他的な利益を混同することなく、相手が感じる可能性のあるプレッシャーや義務感を避け、むしろ社会的な意義や一般的なメリットに焦点を当てるべきです。これにより、助けることの本来の価値を尊重しながら、相手に対する敬意と理解を示すことができます。

人間関係では、思いやりと相互のサポートが大切です。私たちは互いを支え合うことで、より良い社会を構築できます。お互いの立場を尊重し、心からの支援を行うことが、本当の意味での助け合いです。そうすることで、双方が真の幸せと満足感を得られ、より強い絆が築かれます。

他者にお願い際には、相手の立場や考え方を尊重し、適切なメッセージを伝えることが大切です。利己的メリットと利他的メリットをバランスよく伝えることが効果的なお願いの仕方であることがわかります。

その上で、著者は他者とのWin-Winになるお願い方法を教えてくれています。
①内集団の感覚を活用する(仲間意識)
人々は自分たちが属するグループ内での問題や困っている人に特に注意を払い、支援する傾向があります。これは、集団の幸福が自分自身の幸福に直接関わってくると感じるからです。そのため、頼み事をする際には、共通の集団や目的を強調することが有効です。

②自尊心を刺激する(自尊心)
人々は他者を助けることで自尊心を高め、ポジティブな自己認識を得ることができます。自分が他者に貢献できる人間だと認識することで、助ける行動が促されます。そのため、お願いをする際には、相手が貢献できることの価値を強調することが効果的です。

③有効性の認識を提供する(有効性)
有効性の認識は人々が行動する強い動機です。自分の行動が実際にポジティブな結果を生み出していると感じると、人はさらに支援したいと考えます。反対に、自分の行動が無意味だと感じた場合、モチベーションは低下し、長期的には無力感やうつ病につながることもあります。

だからこそ、他人を助ける時は、その行動がどんな良い結果をもたらしたかを伝えることが大切です。また、誰かからの助けを受けた時は、そのお礼として、その行為がどのように価値あるものであったかを具体的に伝えましょう。

これらの方法を採用することで、お願いを聞いてくれる人々は自発的に助けてくれるようになり、結果として双方に利益をもたらす関係が築けるようになります。当然、これらの法則は相手とのコミュニケーションにも良い影響を及ぼします・

イノベーションを起こすための頼み方とは?

世間一般には、〝人助けは、相手のためにすることであり、助ける側には何もメリットはない〟という考えがあります。しかし、それは大きな間違いです。誰かを助けるかどうかを判断するとき、毎回ではないにせよ、私たちは少なくとも部分的には自分自身の利益や、助けることで自分がどんな気分になるかを計算しているのです。そして、それは良いことです。なぜなら、助ける側がメリットを見出せば、それは誰かを助けることへの強力な動機付けになるからです。

社会には「人助けは相手のためだけに行う行為であり、助ける側には利益がない」という誤解がありますが、実際には他人を助けることから得られる利益も大きな動機の一つです。これには、自己満足や喜びの感覚が含まれ、これが協力的な文化を生み出しています。

特に、チームやコミュニティでは、「必要な時は助け合う」という理解のもとに、持ちつ持たれつの関係が築かれます。この精神はイノベーションの過程でも非常に重要になると私は思います。

イノベーションを推進するには、他者からの支援を得ることが不可欠です。そのためには、組織やパートナーに対して適切にお願いをする能力が求められます。しかし、助けを求める際に先に謝罪すると、集団の団結感や協力の精神が損なわれる可能性があります。

謝罪は、必要性がない限り避け、代わりにお願い事を明確にし、相手が貢献した後には感謝を表すべきです。このような姿勢が、相互支援の文化を育み、イノベーションを促進します。

これは、特に新しいアイデアやイノベーションを提案し、実現を求める場合に重要です。お互いが同じ目標に向かって協力しているという認識があれば、助けを求めやすくなり、提案されたアイデアに対するサポートも得やすくなります。

共通の目標を持つことは、他にどのような集団に属していても、相手とのあいだに仲間意識をつくり出せる強力な方法です。なぜなら、脳はその人が自分と同じ目標を持っているかどうか、その成功がその人にかかっているかどうかに、とても敏感だからです。このため共通の目標に意識を向けさせることで、相手から助けを得やすくなります。

イノベーションを促進するためには、共通のビジョンや目的を共有することが重要です。チームメンバー間での仲間意識を深めることで、組織内の協力の精神を育てることができます。

まず、共通の感情や経験を探し出し、同じ目標に向かって進むチームの一員であるという感覚を醸成しましょう。 チーム内での相互の信頼と尊重を基盤として、明確で具体的なサポートを求めることが、効果的なコラボレーションに繋がります。

このアプローチを通じて、新しいアイデアやプロジェクトに対する共感と支援を得ることができ、共同で成果を出す基盤を築くことが可能になります。

イノベーションを推進する際、同僚・上司・パートナーからの助けを求めることは一般的です。この時、不必要に謝るよりも、むしろ協力してくれた人々に感謝を示すことが重要です。感謝を表すことによって、支援をした側と受けた側の双方がより大きな満足感を得ることができます。積極的に感謝の意を伝えることは、良好な関係の構築とイノベーションの促進において中心的な役割を果たします。

実際に、感謝を表すことの重要性は脳科学の研究にも支えられています。感謝を受けた人は、その人との関係を長期にわたって保ちたいと考え、相互の結びつきを強化しようとします。これは、協力してくれた人が自分の投じた時間や労力が有意義であったと感じるからです。

一方で、感謝を示さないことは、人間関係を損ねる最も確実な方法の一つです。したがって、助けを受けた際には、心からの感謝を伝えることを忘れないでください。

あのスティーブ・ジョブズも、成功を収めるためには他者への依頼が重要であると述べています。彼は自身の経験から、助けを求めた際に人々は応えてくれることが多いと感じており、このことを理解している人は少ないと指摘しています。

ジョブズによると、人に助けを求める行動は、感謝を感じた相手が同じように支援を返す傾向があるため、相互の利益となります。しかし、多くの人が助けを求めることに躊躇する傾向があるため、この行為を実践する人とそうでない人との間に大きな差が生まれることがあります。

イノベーションを起こすためには、他人に協力を求めることを恐れず、彼らを自分のチームの一員と見なすことが重要です。この本で提案されているアドバイスを実行し、他者との協力を促しましょう。

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独学に集合天才が必要な理由。破壊的新時代の独習力 (キャメル・ヤマモト)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46657/ https://tokumoto.jp/2024/03/46657/#respond Wed, 20 Mar 2024 21:32:59 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46657 four people all on laptops, two men and two women, listen to person talking in a board meeting

破壊的新時代の独習力
キャメル・ヤマモト
日本経済新聞出版

破壊的新時代の独習力 (キャメル・ヤマモト)の要約

自身の物語を生み出し、学び、行動することで、個人の成長やチームの成功への道が開けます。設計図を描くスキルと人々を動かす力を強化することは、技術的な面だけでなく、自己認識や他者との関わりを深めることにつながります。毎日の努力や経験を大切にしながら、つながる力を強化し、成長していきましょう。

自分をアップデートする3つの力

学ぶというインプットと、彰えるというアウトプットと、それに対する率直なフィードバックをもらうというのは、今から思うと独習力を磨く3点セットがそなわっていたわけで、それを繰り返せば何とかなる。(キャメル・ヤマモト)

デジタル化とグローバル化の進展により、従来の学び方やスキルだけでは解決できない新しい課題が現れています。この変化に適応し成功するためには、日々自分をアップデートするための自主学習の習慣が鍵となります。

本書で著者のキャメル・ヤマモト氏は、継続的な自学を通じて個人のスキルと知識を向上させることの重要性を強調しています。著者は、自分自身の問題解決能力、情報を結びつける力、戦略を練り実行する力など、さまざまな能力が変化する世界に対応するために必要だと指摘しています。

これらのスキルを身に付けることにより、私たちは変化に柔軟に対応し、新しいビジネスのチャンスを発見できるようになります。また、素早く行動に移す能力や柔軟性も重要です。これらは実体験を通して身につけるべきであり、わずかな刺激にも敏感に反応して動けるようになること(アジリティ)は、新しい時代の必須スキルとされています。

独学においても、小さな刺激から迅速に学び始めることが重要です。初めの小さなステップを踏み出し、断念せずに継続することにより、理想の自分を実現することができるのです。

結局、新時代の能力は、「専門性」「統合力」「連携力」の3つになります。

「専門性」は、情報をつなぐための基盤となります。 「統合力」は、異なる専門性を縦の線で結びつける能力であり、企業組織で言えば部署間の協働を意味します。

例えば、採用、育成、報酬などの各部署は、それぞれの専門性を持ちつつも、共通の目的のもとに統合されます。統合の鍵は、目的(WHY)、専門性の内容(WHAT)、そしてそれらを結びつける方法(HOW)を明確にすることです。

一方、 「連携力」とは、様々な専門家、チーム、企業間で水平的なつながりを構築する能力です。ここでは、それぞれの専門知識を繋ぎ合わせ、情報の共有を通じて新たな価値を創出することが重視されます。連携を実現するためには、相互の理解を深め、互いに利益をもたらす関係を構築し、目的(WHY)、内容(WHAT)、方法(HOW)を共有することが必要です。

「集合天才」とは、個々人の専門知識や能力が集結し、一つのネットワークを形成することで、集団全体の知的能力を高める概念です。これは、異なる専門家やチーム、企業が協力し、それぞれの知識やスキルを互いに補完することで、単独では解決できない複雑な問題に対処する力を生み出します。

この「集合天才」の形成には、「連携力」が不可欠です。それは、異なる分野や背景を持つ個人や集団が、互いに尊重し、理解し合い、共通の目的や課題(WHY)に対する深い理解を基に、各自の専門知識やスキル(WHAT)を共有し、最適な解決策を模索する方法(HOW)について合意形成を図るプロセスです。

「集合天才」による知のネットワークは、新しいアイディアや解決策の発見、効率的な問題解決、そしてより高い創造性を促進します。結果として、個人やチーム、さらには企業や社会全体の目標達成の速度と品質が向上し、持続可能な成長と革新を実現することができます。

独学とはつなぐ力を鍛えること

情報をつなぐにしても、人をつなぐにしても、つなぐ力がついてくると、しょっちゅう、「あ、つながった」という経験をもてて少し楽しくなるでしょう。 人をつなぐだけでなく、動かすことでビジネスはうまくいきます。

・専門性で情報を最前線でつなぐ。
・統合力で諸専門性を縦につなぐ。
・連携力で諸専門性を水平につなぐ。

ビジネスの成功には、人々をつなぎ、彼らが気持ちよく行動できる環境を整えることが不可欠です。この過程で、専門家同士の情報共有が重要となります。専門的な知識を交換することで、より効率的な意思決定を行うことができます。

さらに、組織内で異なる専門知を縦に統合する「統合力」によって、情報の共有や協力がより円滑に行われます。また、「連携力」により、異なる部門間での情報を水平につなぎ、組織全体の最適化を図ることが可能です。

これらの力を結びつけることで、情報の流れが改善され、全員が共通の目標に向かって協力しやすくなります。つながりによって広がるストライクゾーンは、個人の幸せ感情を増幅させ、共有される喜びが新たなモチベーションとなり、協働意識の向上に寄与します。

このように、人々を効果的に結びつけることで、ビジネスの成果だけでなく、ポジティブな人間関係がつくれ、よいことが起こるようになります。適切なタイミングで、適切な情報を入手し、仲間と行動することで、運がよくなります。

情報の結びつきはビジネスにおいて重要な役割を果たします。この結びつきは、専門性、統合力、連携力という三つの核となる要素によってさらに強化され、これらが相互に作用することで、全体としての相乗効果が生まれます。

ここで重要な概念が「弱い紐帯」です。弱い紐帯とは、私たちの日常生活やビジネスの中での緩やかなつながりや知り合い程度の関係を指しますが、弱い中退を集合天才として活用することでビジネスの機会を広げたり、成功確率を高められます。

他の人の成功を自分のことのように喜べる文化が形成されると、これが新たな動機付けにつながります。より良い人間関係や協働の環境を作り出すことが、個人だけでなく集団全体の成長を促します。このように、弱い紐帯を通じて広がるネットワークは、新たな情報、機会、そして支援へのアクセスを提供し、全体としての成長と繁栄を促進します。

私も弱い紐帯と集合天才の力を使うことで、ビジネスがうまくいくようになりました。著者が指摘するように学ぶ力(専門性)とつながる力を強化することで、人生の幅が広がり、よいことが起こるようになります。

理想の自分を目指す過程でバックキャスティングを用いて、ライフプランを設計することは、単に技術力を向上させるだけではなく、コミュニケーションや創造力も必要とされます。

人々を惹きつける、つまり強力なストーリーテリングの能力は、ただの設計図を超え、プロジェクトの成功に不可欠です。現場の経験から学び、設計図を適宜修正することは、実践的な学習と改善への姿勢を示します。

さらに、集合知を活用する能力を養うことで、他者と協働し、意見を交換しながら、より優れた設計図を作り上げることができます。最終的には、自分自身の物語を体現することが重要です。自己の強みを生かし、理想とする自分に成り切ることで、自己実現に近づきます。

自身の物語を生み出し、それに従って行動することで、個人の成長やチームの成功への道が開けます。設計図を描くスキルと人々を動かす力を強化することは、技術的な面だけでなく、自己認識や他者との関わりを深めることにつながります。毎日の努力や経験を大切にしながら、自分自身の物語を築き上げ、成長していきましょう。

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弾み車で習慣を変える方法。欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリアの書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46632/ https://tokumoto.jp/2024/03/46632/#respond Tue, 19 Mar 2024 22:42:03 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46632 photo of red and white bike tire

欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア
ルーク・バージス
早川書房

欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア(ルーク・バージス)の要約

弾み車の法則を理解し、適用することで、企業や個人は一貫して小さな成功を積み重ね、最終的には大きな成果を達成することができます。つまり、一見しただけでは成果が見えないような小さな一歩も、持続可能な成長への道のりにおいては非常に重要だと言うことです。この法則によって、悪い習慣も改善できます。

ジム・コリンズの弾み車の法則とは?

力強い成長原理を持つものと持たないものがあると理解すれば、それは欲望のポジティブな弾み車を理解するための一つの道筋となる。弾み車のなかには目的の達成を後押しする原理がある。弾み車をつくって動かせば、それ自体が生き物となり、目的を中心に自己組織化しはじめる。(ルーク・バージス)

ジム・コリンズの弾み車の法則は、企業が持続的な成長を達成するための重要な概念です。この法則は、企業の進展を重たい弾み車に例えます。最初は押し始めるのが非常に難しいが、一度動き出すと、少しずつ勢いが増していくというものです。つまり、最初の努力は目に見える成果が出にくいものの、一貫して正しい方向に努力を続ければ、やがては大きな勢い(成長)を生み出すことができるということを示しています。(ジム・コリンズの弾み車の関連記事)

例えば、Amazonはこの法則を利用して巨大な成功を収めました。彼らは最初、小さな努力から始め、サイトの訪問者数を徐々に増やし、多くの売り手と商品を引き寄せることで、ビジネスの「弾み車」をゆっくりと加速させました。時間が経つにつれて、これらの初期の努力が相乗効果を生み、企業は急速に成長することができました。

アマゾンは以下のステップで弾み車を回し続けています。
→より多くの商品の価格を下げる
→サイトの訪問客数が増加する
→サードパーティの売り手が集まる
→品ぞろえが広がり、配送網が充実する
→固定費あたりの売上が伸びる

この法則を理解し、適用することで、企業は一貫して小さな成功を積み重ね、最終的には大きな成果を達成することができます。つまり、一見しただけでは成果が見えないような小さな一歩も、持続可能な成長への道のりにおいては非常に重要だと言うことです。ジム・コリンズによると、弾み車の法則を実践することは、長期的な成功を求めるビジョナリーカンパニーにとって必要不可欠な戦略なのです。

また、弾み車の法則を活用することで、個人も生まれ変われるとルーク・バージスは述べています。実際、私も断酒体験を通じて、弾み車が回り始め、幸福な人生を送れるようになったのです。

断酒の弾み車とは?

人はみな自分の弾み車をつくらなければならない。たとえば健康にしても、弾み車は一つではない。あなたの弾み車は私のものとはまったく違って見えるかもしれない。もっとも効果的な弾み車は、自分自身をよく知っている人から生まれる。将来あなたが何かをしたくなる可能性を左右するものについてはすでにわかっているだろう。

すべての人は自分だけの推進力となるもの、つまり自分専用の弾み車を作る必要があります。最も効果的な弾み車は、自己理解に基づいて構築されます。将来何を望むかに影響を及ぼす要素を、あなたはすでに理解しているはずです。 重要なのは、そのサイクルをはっきりさせ、動き出すことです。具体的に書き出してみましょう。

弾み車の各ステップを一文で記述し、「~したい」という形式を取り入れ、次のステップを「その結果」「そうすると」「すると」などの言葉で繋げるようにしましょう。

断酒する際にも、この弾み車を使えます。例えば、お酒に悩んでいる人は、以下の弾み車によって、人生を変えられます。
①私は断酒を行い、生活習慣を変えます。 
②その結果、体調が改善し、朝の目覚めが良くなるでしょう。二日酔いもなく、気持ちよい時間を過ごせます。
③日中の活動エネルギーが増加し、生産性が向上します。
④仕事や趣味への集中力が高まり、パフォーマンスが上がり、結果を出せるようになり、達成感が得られます。
⑤その結果、自信がつき、新しい挑戦にも積極的に取り組めるようになり、成長できます。
⑥人間関係が改善され、社会的なサポートが強化されるでしょう。
⑦断酒を続ける意欲がさらに高まり、健康的な生活を送ることが習慣化し、幸福な人生を送れます。

14年前に私はアルコールをやめることを決めた際に、理想の自分を定義しました。本を出版し、サラリーマンを辞め、会社を経営している自分を描きました。お酒をやめることで、朝早く目覚めるようになり、本を書く時間を確保できました。出版社や著者との関係を作りながら、SNSで情報発信することで、実際数年後には出版ができていたのです。

お酒をやめ、時間を確保し、インプット(読書)とアウトプット(発信)の時間を確保することで、サラリーマンを辞め、社外取締役や大学の特任教授になれたのです。 断酒を通じて、私は自分の目標をはっきりと定めることと行動と習慣の重要性を学びました。

アルコールをやめることで健康的な生活習慣が身につき、朝の時間を有効活用することができるようになりました。また、アルコールに頼らずに自己表現や情報発信に力を入れることで、自分の成長につながるチャンスを得られました。

断酒は、新しい人生の始まりであり、理想の自分に少しずつ近づくための支えでした。アルコールを断ったことで、自分の目標へ確実に進んでいるという感覚があり、そのメリットに深く感謝しています。

断酒から得た経験と教訓は、私の人生にとって非常に価値のあるものとなり、今後も断酒を続けることで更なる成長と達成を目指します。 振り返ると、私はお酒を断つことで、真に自分らしい弾み車を回すことができたのです。自分の時間を浪費せずに、学びと創造のために使うことで、生産性を向上させ、理想の自己像を実現することができました。

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欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア(ルーク・バージス)の書評 https://tokumoto.jp/2024/03/46622/ https://tokumoto.jp/2024/03/46622/#respond Mon, 18 Mar 2024 21:27:38 +0000 https://tokumoto.jp/?p=46622 several assorted-color neon light signage

欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア
ルーク・バージス
早川書房

欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア(ルーク・バージス)の要約

模倣の欲望は、負の影響を及ぼすこともあれば、人々を結びつけ、前向きな変化を促すこともあります。模倣のシステムを理解し、正しく適用することによって、これらの力をポジティブな方向へと導くことが可能です。自分の真に望むことを見つけ出し、それに時間を割くことで、幸福な人生を送れるようになります。

欲望とは他者の模倣である!

欲望には模倣が欠かせない。その人が欲していると言うだけの理由で、そのモノに価値を与える人である。(ルーク・バージス)

ルネ・ジラールは、フランスの現代思想家であり、彼が提唱した「模倣理論」は人間の本質について深く考察されています。この理論によると、人間の人間たるゆえんは他人を模倣することにあるとされています。つまり、人は他人を模倣することで自己を形成し、社会的な存在として成り立っているのです。

ジラールは、人間の欲望も模倣から生まれると主張しており、他者の欲望や行動を模倣することで、自らの欲望が形成されると考えています。 ジラールは、人々が他者を模倣することで競争や緊張が生まれ、それが暴力や紛争を引き起こす原因となると指摘しています。そのため、模倣のメカニズムを理解し、それをコントロールすることが重要だと説いています。

著者のルーク・バージスは、私たちの欲望は他人が持っている、手に入れにくいものに引き寄せらると指摘します。つまり、私たちが真に欲するものは、直接欲しいと思うよりも、他人(モデル)が持っているからこそ、より魅力的に見えるのです。障害が多く、手が届かないものほど、我々はそれを強く望みます。

この欲望は、人から人へと広がる社会的な力として機能します。私たちが模倣することで、欲望は文化全体に広がります。しかし、このプロセスは緊張や競争を引き起こし、しばしば人間関係を破壊します。これは、歴史を通じて見られる一般的なパターンですが、今日ではこの動きが特に加速しているようです。

模倣の欲望は、負の影響を及ぼすこともあれば、人々を結びつけ、前向きな変化を促すこともあります。模倣のシステムを理解し、正しく適用することによって、これらの力をポジティブな方向へと導くことが可能です。

模倣の欲望は、人々の行動を動かす重要な力で、基本的に2つのサイクルで動作します。
・サイクル1(ネガティブなサイクル)
模倣の欲望が対立や争いを引き起こします。これは、他人が自分が持っていないものを持っていると感じることから生じ、この感情は欠乏感、恐れ、怒りなどのネガティブな心理状態に基づいています。

・サイクル2(ポジティブなサイクル)
模倣の欲望が人々をつなぎ、共通の目的や利益を追求する原動力となります。このサイクルは、豊かさや相互扶助の精神から生まれ、協力と創造性を促進し、人々が新しい可能性を追求することを助けます。

著者は私たちが競争のサイクルを超え、共通の利益を追求することによって、より建設的で創造的な方法でエネルギーを使用する新しいサイクルを作り出すことができると信じています。このような変化によって、私たちは互いに協力し合い、より良い社会を築くことができるのです。

ピーター・ティールはスタンフォードでジラールから直接学び、彼の思想を実践することで、成功を手に入れます。ジラールの理論を基に、イーロン・マスクとのライバル関係に終止符を打ち、PayPalの成長を加速させました。この理論は、我々が生きる世界がどれほど他人の行動を模倣しているかを示しています。

流行に敏感であること、政治が極端に二極化していることなど、これらはすべて模倣行動が原因で、我々の崇高な目標を台無しにしています。模倣によって、我々は他者との競争に執着し、他人を基準に自己を評価するようになります。このようなアイデンティティの喪失は、自分の存在意義を疑うことにつながります。

均一性への圧力は、個人の独自性を脅かし、文化的な兄弟殺しの物語を現代に再現します。技術が世界を繋げるほど、模倣の欲望も強まり、衝突が頻繁に起こります。

模倣の欲望は人間性の一部ですが、無意識のうちに従うのではなく、より充実した生活を送るために意識的な選択をすることが重要です。我々は、自身と他者の欲望にどのように影響を与えるかに責任があります。日々の出会いは、欲望を高め、減少させ、または変える力を持っています。

重要なのは、「自分は何を欲しているか」「他人の欲望をどのように形成しているか」を自問自答することです。今日の答えに満足できなくても、明日には何を欲しいと思うかが最も重要です。

模倣は競争を加速させる!セレブの国と一年生の国とは?

他者が何を欲しがっているかを気遣う子供の自然で健全な関心は、大人になると他者が欲しがるものに対する不健全な関心になる。模倣となるのである。大人は子供がぎこちなくやっていることを巧妙に行なう。要するに、私たちは高度に発達した赤ちゃんなのだ。

子供の頃には、他人が何を欲しがっているかに対する純粋な関心がありますが、大人になるにつれて、この関心はしばしば不健全な形、つまり他者が欲しがるものを手に入れようとする競争心へと変わります。

私たちは本質的に、他者の行動を模倣することで学ぶ生き物ですが、大人になると、この模倣行動はより複雑で計算高いものになります。言い換えれば、私たちは進化した赤ちゃんのようなもので、模倣の行動は自然な能力ですが、それにはしばしば自己中心的なエゴが絡んできます。

ソーシャルメディアの普及により、私たちは他人の欲望により一層影響を受けやすくなりました。これは、レネ・ジラールが発見した「模倣の欲望」という概念に密接に関連しています。ソーシャルメディアは、「ソーシャル・メディエーション」として機能し、私たちが日常生活で接するほぼすべての人々の欲望を前面に出しています。

この現象は個人的なレベルを超え、より大きな社会的な影響を及ぼしています。ソーシャルメディアを通じて、私たちは他人の成功、持ち物、経験などを常に目にすることになり、その結果、自分もそれを欲しがるようになります。しかし、この種の模倣はしばしば満たされない欲望を生み出し、不必要な競争を引き起こします。

このような状況に対処するためには、自分自身の本当の欲望に焦点を当て、他人の影響に流されず、自分の価値観や目標に基づいて行動することが重要です。真の満足とは、他人を模倣することではなく、自分自身の内面から湧き出る欲望に基づいて生活することから生まれます。

ソーシャルメディアがもたらすこの問題点を明らかにすることは、私たちが自己の価値観や欲望を見つめ直し、冷静な判断を保つために重要です。模倣心に振り回されず、自分を見失わないように行動することが、現代社会において求められています。自らの内面と向き合い、真に求めるものを見極めることで、ソーシャルメディアの影響下でも自己の価値観を堅持し、より意味のある選択をすることが可能になります。

模倣の欲望はきわめて人間的なものであり、常に私たちとともにある。手の届くところにあって操作できるものでも、ライフハックでどうにかなるものでもない。それは私たちのなかで騒いでいるが、近すぎて自分の目では見えないものだ。

著者は、高い地位や成功を象徴する「セレブの国」と、直接競争している状態を「一年生の国」と呼んでいます。もともとトラクター製造者だったランボルギーニは、趣味でフェラーリの改造を楽しんでいましたが、フェラーリの創業者に馬鹿にされたことをきっかけに、「セレブの国」から「一年生の国」へと立場を変えます。 ランボルギーニはやがてフェラーリと直接競争するようになったのです。

クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシのようなセレブ同士も直接対決を行います。彼らは一般に高い地位(セレブ)を享受していますが、実際には一年生の国で互いに競争しています。

幸福になりたければ、「濃い欲望」を探求しよう!

共感力があれば、私たちは宝石である内なる自分を犠牲にすることも、海にのみこまれることもなく、他者と交流できる。濃い欲望を見つけて育むのに役立てることができるだろう。それは模倣的ではない欲望であり、良い人生の基盤をつくる欲望である。

集団や社会において、人々はしばしば他者の欲望を模倣します。これは時にネガティブな方向に進み、競争や暴力といった問題を引き起こすことがあります。この模倣の負のスパイラルから抜け出すためには、共感力を発揮し、自分自身の「濃い欲望」を探求することが重要です。

「濃い欲望」とは、個人の真の求めるもの、自分の核心的な欲求や価値観を指し、この欲望に基づいて行動することで、自己をしっかりと確立し、他者の影響から自由になることができます。

一方、「薄い欲望」とは他者からの影響によって生じる極めて模倣的な欲望で、これに支配されると自分の本当の望みから遠ざかる可能性があります。薄い欲望に満たされる幸福感は一時的であり、本質的な満足感には欠けます。対照的に、「濃い欲望」は自己本位のもので、満たされた時には深い満足感をもたらします。

共感は模倣のネガティブなサイクルを破壊する。共感する能力がある人は、他者の経験に入りこんでその人の欲望を共有することなく、その人の考えや感情を共有できる。共感力のある人は、自分が欲しくないものをなぜ欲しがる人がいるのか理解できる。つまり、共感できれば、ほかの人のようにならなくてもほかの人と深くつながれる。

自分の欲望を「濃い欲望」へと深化させるためには、内省を通じて自己探求を行うことが効果的です。行動し、自分でもうまくやれたと思うこと、充足感を得られたことを他者に共有することが大事だと著者は指摘します。

前述のサイクル2は、欲望のポジティブな流れを描くもので、これは誰かが新しい関係性の形を提示することから始まります。競争ではなく、相互に良いものを分かち合うことを目的とした欲望の模倣が特徴です。このサイクルでは、偉大なリーダーが重要な役割を果たします。

彼らは、ポジティブな欲望のサイクルを構築し、維持することによって、共感や理解を深める文化を育てます。 リーダーは、他者の弱さに対して共感を示し、組織内の人々が互いに深く理解し合えるように努めます。彼らは、相手をより深く知り、自分自身を知ってもらうことに価値を置き、豊かな欲望を育むことに専念します。

これにより、組織全体で互いに支え合い、協力し合う環境が生まれ、ポジティブな変化が促進されます。 このサイクルは、個人や組織にとって、成長と発展のための新たな可能性を開くものです。リーダーによるこのような取り組みは、人々がそれまで考えもしなかったような新しい目標や夢を追求する勇気を与え、相互に良い影響を与え合う文化を築きます。

自分自身の探求を深めることで、他者の模倣から脱却し、より充実した人間関係や社会を築いていくことが重要です。自分自身の「濃い欲望」に基づいて行動することで、他者に流されることなく、より充実した人生を送ることができます。

希望が重要な理由

今の社会が退廃して停滞しているのは、希望が欠けているからだ。希望とは何かを欲することで、その何かは(1)未来にあり(2)良いもので(3)達成が難しく(4)実現可能なものだ。4つ目は特に大切だ。欲望を満たすのが可能だと確信できなければ、希望はない。従って欲望もない。希望は濃い欲望が育つ土壌である。展望を持てなければ人は堕落する。この模倣のサイクルを破壊するためには、希望に値する何かを見つけなければならない。

今の社会が進歩せず、低迷している主な理由は、人々が希望を持っていないからです。希望とは、望むものを持つことです。しかし、単に何かを望むだけではなく、その望むものは未来にあり、良いものであり、達成するのが難しくても、実現可能でなければなりません。特に「実現可能」であることが重要です。

もしも実現可能だと信じることができなければ、希望を持つことはできません。そして、希望がなければ、欲望も生まれません。希望は強い欲望が育つ土壌です。希望がなければ、人は堕落しやすくなります。だから、私たちは希望に値する何かを見つけ出す必要があります。

人々はよく、他人と比べるのではなく、昨日の自分と比較するべきだと言います。これは、比較と測定の罠から逃れる一つの方法です。しかし、これだけでは十分ではありません。昨日の自分は模範としては不十分です。ただ振り返るだけでは、多くの場合、自己不満につながります。

必要なのは、未来にある理想のモデルです。この理想のモデルは、矛盾や否定を乗り越え、絶えず困難に直面することのないようなものであるべきです。このようなモデルは、私たち全員に必要です。矛盾する要素の共存は、しばしば正しい方向へ導く標識となります。それは私たちが現在地を超えてさらに前進し、再評価し、深く掘り下げる必要があることを示します。

本当に賢明な行動とは、他人との比較ではなく、自分の過去と比較し、より高い目標を設定することにあります。実際の成長を実現するためには、昨日の自分を超える理想の自分像を描くことが大切です。

濃い欲望を見極め、そこに時間を投資することで、より充実した時間を過ごすことができます。欲望とは、自分が本当に望むもの、心から求めるものを指します。その欲望を見極めることは、自己探求の一環であり、自己成長に繋が他人を支援することは、薄い欲望から抜け出すために不可欠な行為です。

他人を支援することで、自分の視野が広がり、薄い欲望に囚われることなく、より濃い欲望に向かって進むことができます。他人を支援することは、自己成長や人間関係の構築において欠かせない要素であり、相互に豊かな関係を築く基盤となります。

濃い欲望を見極め、他人を支援することで、自己成長や充実した時間を過ごすことができるのです。自分自身の欲望を理解し、それに向かって努力することは大切ですが、同時に他人をサポートし、共に成長していくことも重要です。欲望を追求する過程で、他人とのつながりや共感を大切にし、より豊かな人生を築いていきましょう。


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