
「書くこと」の哲学 ことばの再履修 (佐々木敦)の書評
「書くこと」は、考えることと深く結びついています。佐々木敦氏の著書は、「書けない」状態が思考の未整理と直結していることを示しています。情報に追われる日常の中で、書くことは立ち止まり、内面と向き合う時間をつくります。手を動かしながら思考が立ち上がる過程には、計画になかった発見があり、その発見が言葉を生み出します。整った文章を目指すより、未整理でも自分の言葉で書くこと。その積み重ねが、思考の精度を高め、自分だけの表現を形づくっていきます。