経済学

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行動経済学

ノスタルジアは世界を滅ぼすのか: ある危険な感情の歴史(アグネス・アーノルド=フォースター)の書評

『ノスタルジアは世界を滅ぼすのか』は、懐かしさという感情が歴史や政治、文化にどう結びついてきたかを描く一冊です。かつては「望郷病」と恐れられたノスタルジアは、今では心理学や脳科学でセラピー効果を持つ感情と再評価されています。しかし広告や政治に利用され、過去を美化し現実を曇らせる危うさもあります。その力を未来にどう生かすかが問われています。
イノベーション

幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える(前野隆司, 小森谷浩志, 天外伺朗)の書評

社員の幸福と企業の業績は決して対立するものではなく、むしろ密接に結びついています。幸福度の高い社員は、創造性や生産性が高く、欠勤や離職も少ない傾向にあり、企業にとって大きな力となります。本書『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』では、「社員の幸せ」「働きがい」「社会貢献」を経営の柱とするホワイト企業の事例を通じて、人間性を重視した経営の価値を論理的かつ実践的に示しています。
経営学

決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント (マイケル・A・ロベルト)の書評

リーダーに必要なのは一人で決断することではなく、正しいプロセスを設計する力です。構成(Composition)、文脈(Context)、対話(Communication)、統制(Control)の4Cを整えることで討議は深まり、率直な対話と建設的な対立が育ちます。こうした姿勢の積み重ねこそが、組織文化を強くできるのです。
経営学

ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」 (坂本貴志)の書評

日本経済は人口減少と高齢化により、需要不足から供給制約へと移行しています。人手不足が常態化するなかで、賃金上昇を物価高で終わらせず、生産性向上と結びつけられるかが鍵です。本書は統計データを基に、人口減少を単なる縮小要因ではなく、産業再編や雇用の質向上を促す契機と捉えています。
イノベーション

世界経済の死角 (河野龍太郎,唐鎌大輔)の書評

自民党敗退の背景には物価高と賃金停滞があり、特に中低所得層の生活水準低下が影響しています。日本は欧米の利上げ期も金融緩和を続け、円安で輸入物価が高騰しましたが、企業利益は賃上げに回らず内部留保が増加しました。河野龍太郎氏と唐鎌大輔氏は、生産性向上が賃金に結びつかない構造や、円安だけでは説明できない国際的価格差を指摘します。
経営学

ウェルビーイングのジレンマ 幸福と経済価値を両立させる「新たなつながり」 (デロイト トーマツ グループ)の書評

2025年、日本の幸福度は世界55位と低迷し、経済大国でありながら先進国の中で最下位にあります。その背景には、社会的孤独・孤立や将来不安があり、コミュニティーの希薄化が幸福を阻害しています。幸福と経済の両立には、双方向のつながりを重視する「ウェルビーイング経営」が必要であり、個人の成長や貢献を軸に企業・投資家・自治体が連携することが重要です。丸井、日本生命、福井県、FC今治などの事例は、新たなコミュニティー形成の方向性を示し、日本をウェルビーイング先進国へ導く実践的な手がかりとなっています。
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