シンガポールのリー・クアンユー元首相が死去しました。
1965年の独立から25年にわたり首相を務め
強力なリーダーシップで同国を世界有数の富裕国に引き上げた功績は
世界中が認め、私も彼の戦略から多くのことを学ばせてもらいました。
シンガポールの一人当たりのGDPをこの半世紀で500ドルから
約5万6千ドルまで伸ばし、アジアでも最も富裕な国を作り上げたのです。
英国の植民地から自治領になった1959年に自治政府首相に就任。
その後独立を経て、1990年まで30年以上にわたって首相として国を率いたのです。
わが国は、このように小さくて資源が何もないんです。ですから外国からきていただいたり、工業国家になる以外に生きていく道がなかったんです。資源が何もないことが、ここまできた秘密なんです。(リー・クアンユー)
資源がなく、国家も狭いシンガポールは
シンガポールは教育に力を入れ、優秀な人材を次々に生み出します。
また、優秀な外国人たちを招き入れ、国家の成長を図ります。
何もない国家は工業国家になる以外生き残る道がなかったのです。
リークアンユーは建国当初から
空港・港湾などのハブ機能や
道路・通信などのインフラを積極的に整備しました。
チャンギ空港は世界のハブ空港となり、人の移動を後押ししています。
ハブ空港やインフラを持つシンガポールは
外資系企業を引き寄せているのです。
こういった戦略を組み立て、推進してきたのも
リー・クアンユーの功績だと思います。
また、リー・クアンユーの功績で忘れてならないものは
積立方式を採用した年金制度です。
日本は賦課方式で上の世代のために現役の方の年金が使われる仕組みです。
今のような高齢者社会では、将来に年金がもらえない可能性があり
若者世代に不公平感が出て、積み立てるモチベーションがなくなっています。
積み立てが強制型なので、多くの国民は無意味だと思っても従うしかありません。
一方のシンガポールは同じ強制徴収でも、自分のための積み立て式です。
これなら不公平感はありません。
一定以上の収入のある個人の給与額の20%を政府が強制徴収され
会社からも、その人の給与の約15%を政府が徴収するという過酷なものですが
やがては、自分のために使われるのであれば、日本よりも良さそうです。
このシンガポールの制度は税金を使わないという意味でも
日本の年金制度より、素晴らしと思います。
しかし、両国とも年金制度が国民にとって
過酷であることに変わりはありません。
日本もシンガポールも成長したにも関わらず
暮らしにくい国家になりつつあります。
両国とも競争が激しく、未来がないと感じている若者が多いのです。
シンガポールの家賃は東京以上に高く、現地の人は支出をおさえた生活をしています。
成長したアジアの二つの国家の若者に
夢がないという現実を考えると何か寂しい感じがします。
今の日本とシンガポールに欠けているのはワクワク感かもしれません。
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