今日は戦後を代表するアーティストのニキ ・ド・サンファルの展覧会に出かけてきました。
彼女の作品を久々に見ることで、私の脳は良い刺激を受けることができました。
射撃絵画で有名な彼女の作品は、どれも斬新で古さを感じません。
ガウディや日本に刺激を受けるたびに、彼女の作品は進化していったのです。
彼女は絶えず冒険を続け、面白い作品を生み出しています。
1960年代前半に、ニキは絵の具が入った缶や袋をキャンバスに付着させ
そこに銃弾を撃ち込むパフォーマンス・アートで一世を風靡します。
その映像は美しいと同時に、暴力的で、世界各地の紛争をイメージさせていました。
しかし、ニキはその人気だったパフォーマンスを
麻薬のような中毒性を感じるという理由で、やめてしまうのです。
この選択は、結果として正しく、彼女の作風は時代とともに変化していきます。
ジャスパー・ジョーンズに影響を受けた標的絵画や
カラフルで大胆な「ナナ」シリーズを次々生み出していくのです。
特に、来日時に仏像から影響を受け、製作したブッダが素晴らしく
このコーナーは何度も見返してしまいました。(ブッダは写真撮影が可です。)
仏像をモチーフにしているにも関わらず
天然石やガラスを装飾しているブッダは、カラフルでニキらしい作品です。
ブッダの背中の空洞が無の境地を表しているようで、見ていて心が落ち着きます。
この時代に作られた作品の「手」も素晴らしいです。
彼女の心の中が表現されているようで、作品の中にいくつもの仕掛けがなされています。
作品の表からだけでなく、ぜひ、裏からも鑑賞ください。
これは私の右手 私は右手が好き 筋も思考も感情も望みもすべて この手によって創りだされた。
ニキの右手は、創造する力の象徴なのですが
手が痺れるなど調子も悪くなっていた時の作品で
ニキの手に対する感謝の気持ちが感じられました。
ガウディに影響を受けた彼女は、イタリア・トスカーナに巨大な公園を作ります。
作品を通じて資金を集め、自力でタロットガーデンを完成させてしまうのです。
自己資金で賄ったために、誰にも支配されない理想の世界を作り上げることができたのです。
タロットカードのシンボルをモチーフとした彫刻庭園で、ニキの集大成としても有名です。
人を巻き込みながらも、自分のやりたいことをやるという彼女の姿勢は素晴らしいですね!
タロット・ガーデンの関連作品を今回の展覧会で見れたのも、嬉しいです。
ぜひ、次回は、トスカーナのタロットガーデンにチャレンジしたいと思います。
「ニキ・ド・サンファル展」は12月14日(月)まで国立新美術館で公開予定です。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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