トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1> ブランド人になれ!
トム・ピーターズ
CEメディアハウス
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1> ブランド人になれ!の要約
トム・ピーターズの『ブランド人になれ!』は、組織に頼らず、自分自身をブランドとして確立することの重要性を説いています。変化の激しい時代においては、継続的な学びと行動、信頼の積み重ねが不可欠です。情報発信や人とのつながりを通じて自分の市場価値を高め、常に自分をアップデートし続けることが、生き残るための鍵になると語られています。
ブランド人とは何か?
自分で自分を時代後れにしなければ、誰かにそうされるだけだ。(トム・ピーターズ)
先日、ある会議でトム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1> ブランド人になれ!が話題に上がったため、改めて読み返してみました。この本は、私が断酒を決意し、自分の人生を変えようと思ったきっかけとなった一冊でもあり、何度も繰り返し読んできた思い出深い「名著」です。
トム・ピーターズといえば、エクセレント・カンパニーを共著した元マッキンゼーの伝説的な経営コンサルタントとして知られていますが、本書はそのイメージを大きく覆す内容です。
アカデミックでも理論的でもなく、むしろ直球で、読者の背中を強く押すような“ぶっとんだ”実践書に仕上がっています。まるで別人が書いたかのようなエネルギーに満ちた一冊です。
出版から20年以上が経った今でも、そのメッセージはまったく色あせていません。むしろ、変化が激しい現代においてこそ、その言葉の力はより鮮烈に響いてきます。
本書が提示する「ブランド人」とは、会社や組織に依存せず、自分の力で生きていける人のことです。そしてその根底には、「自分自身をひとつの会社と見なし、自分の名前に“株式会社”をつけて考える」というユニークな発想があります。雇用されているかどうかではなく、市場に対してどんな価値を提供できるかを常に問い続ける姿勢。それこそが、ブランド人としての出発点なのです。
中でも、私の心に強く刺さったのが、「自分で自分を時代後れにしなければ、誰かにそうされるだけだ」というメッセージでした。この言葉に出会ったとき、私は思わず背筋を伸ばしました。
もし自分が学び続けることをやめ、変化に目を背けてしまったら、いずれ誰かに置き換えられてしまう。そんな現実を突きつけられた気がして、深く揺さぶられたのです。 そして私は、この言葉を原動力に、自分の市場価値を高めるための行動を始めました。じっとしているのではなく、自らをアップデートし続ける人生へと舵を切ったのです。
私は気が狂ったように次々と新しいものに飛びつき、新しいものを試し、新しいものに手を出している。
断酒をスタートした際、私は何かが吹っ切れたように、新しい世界へと手を伸ばし始めました。まるで飢えた人間が食べ物を求めるように、私は未知の領域に飛び込みました。SNSに没頭し、まだiPhoneが世の中に広く知られていなかった頃から、その可能性にワクワクしていたのを今でも鮮明に覚えています。
新しいテクノロジーに触れるたびに、自分の中の何かが目覚める感覚がありました。それは、過去の自分が抱えていた不安や固定観念を、一つひとつ壊してくれるような、まさに再生の体験でした。
そして今、AIの時代が本格的に到来し、世の中の変化はさらに加速しています。しかし、私はあの頃と何一つ変わっていません。今もなお、新しいプロダクトやサービスに興味を持ち、触れ、試し、考え、行動しています。気づけばそれは、ビジネスのためだけでなく、自分を生かす生き方になっていました。自分を更新し続けるという営みが、もはや「習慣」ではなく、「信念」になっていたのです。
さらには、若い世代から学ぶことにも、今では全く抵抗がなくなりました。むしろ、そこにしかない感性やスピード感から、毎日のように新しい視点をもらっています。かつての私は「教える側であるべきだ」と思っていたのかもしれません。でも今は、素直に教えを請うことの価値を心から理解しています。(数年前から、大学で教えていますが、若い学生からAIの使い方を含め、多くのことを学んでいます。)
学びに年齢は関係ない。そう思えるようになったのは、間違いなくトム・ピーターズのメッセージに出会ったからです。 ピーターズは、変化を恐れるな、進化を止めるな、と何度も語っていました。その言葉は今でも私の背中を押し続けてくれています。
だからこそ、私は今の自分だけでなく、行動を変えるきっかけをくれた20年前の自分にも感謝したいのです。もしあのとき、この本を読んで「いい話だったな」で終わっていたら、今の私はいなかったでしょう。断酒し、「自分の人生を変える」と心に決めた自分に、こう言いたいのです。「ありがとう、昔の自分」と。
それ以来、私は「変化」という言葉に臆病になることがなくなりました。もちろん、変わらない環境の心地よさも知っています。いつもの仲間と昼食をとり、同じ顔ぶれで会議に出て、ルーティンの仕事を無難にこなす──それは楽で、安心できる世界です。
でも、その中に長く浸っていると、人は確実に鈍っていきます。視野は狭まり、思考は止まり、行動は小さくまとまっていく。気づかないうちに、自分自身がアップデートされなくなってしまうのです。
私が何よりも恐れているのは、澱んで腐ることだ。それを避ける方法はひとつしかない。私の頭を攪拌してくれるもの(すなわち変わり者)に、絶えずわが身をさらすしかない。
ぬるま湯のような安全圏から、自分とは異なる人の世界に飛び込んでいくことは、年齢を重ねると難しくなります。
しかし、異業種、異文化、異世代。自分の「当たり前」がまったく通じない場所にこそ、成長の種があると確信しています。 自分とは価値観の異なる変わり者の視点に触れることで、自分自身の硬直した思考をほぐしていくのです。
もちろん、そんな場所に身を置くのはしんどいです。自分の常識が通じない。自分の正しさが疑われる。時には笑われる。でも、だからこそ、自分をブランドとして磨けるのです。本当のブランド力とは、見た目の派手さでも、他人からの評価でもありません。どれだけ変化を受け入れ、どれだけ学び続け、どれだけ自分を更新し続けているか。その積み重ねにこそ、本質があります。
時代の流れは、加速度的に変わり続けています。AI、リモートワーク、ショート動画、次々と新しい波が押し寄せ、昨日の常識が明日の非常識になっていきます。その中で「昔はこうだった」と語るだけの人には、もう誰も注目しません。
私たちは、変化に飲み込まれるのではなく、変化の中で泳ぎ続ける力を持たなければならないのです。 私はこれからも、しんどい方を選びます。心がざわつく方へ進みます。
違和感のある人、未知のフィールド、壊されるかもしれない前提条件。そのすべてに、自分の未来があると信じているからです。変化の波に飲まれるのではなく、飛び込んでいく。 それが、私にとっての生き方であり、ピーターズから学んだブランドの磨き方なのです。
アウトプットが重要な理由
自分はいま、いくつのことで名前を知られているか。今後一年間に、その分野をいくつ増やそうと思うか。
「この3か月で新しく学んだことはいくつあったか」「自分はいくつの分野で名前を知られているか」。本書で投げかけられるこうした問いは、決して自己対話だけで終わるものではありません。
自分の現在地を冷静に見つめ直し、「これから自分はどう動くべきか?」という次の行動へとつなげる、力強いトリガーとして働いてくれるのです。
私自身も、これらの問いに真剣に向き合い、自分に足りないものを見つけ、次のチャレンジへと踏み出しました。そして気づいたのです──自分の名前をブランドにして、何かの達人になる。それしか、生き残る道はないのだと。
本書の大きな魅力は、ピーターズがセレクトした50のカテゴリと、各章末に添えられた「やってみよう!」というアクションガイドです。読後すぐに行動へ移しやすい設計になっており、「一つでもいいから始めよう」「続けることが大切だ」と繰り返し語られています。
私は当時、このリストを毎日のように読み返しては、自分をアップデートする材料として活用していました。 ピーターズは、かつての時代において「世間(市場)で通用する技量」、そして「人を感動させ、感謝される技量」がなければ、生きていけなかったと語ります。
さらに、そうした力を発揮するには、世間からの評判や仲間の支援、つまり信頼とネットワークの力が不可欠だったと。 そして今、まさにその時代が再び巡ってきています。
テクノロジーとAIが急速に進化する現代では、個人の信用や発信力が、企業の看板よりも問われる時代になっています。情報を持っているだけでは足りません。その情報をどう扱い、誰と共有し、どんな信頼関係を築くか。それこそが、生き残るための鍵なのです。
「知人の中で独立して成功している人を招いて昼食会や夕食会を開こう」「小さな勉強会を企画し、講師を招いてみよう」「ニューエコノミー時代に、仕事はどう変わるのかを考えてみよう」「学ぼうという姿勢を大切にしよう」──本書に散りばめられたアドバイスの一つひとつが、当時の私にとって行動のエンジンになっていました。
読むだけで終わらせてはいけない。何か一つでもいいから動いてみよう。そう思った私は、読書会の開催をスタートさせました。著者や編集者をゲストに招き、対話と学びが自然に生まれる空間をつくろうと試行錯誤を重ねました。形式に縛られず、参加者が安心して発言できるような雰囲気を大切にしました。
行動を通じて生まれる参加者とのつながり、対話の中で育まれる信用。それが自然とネットワークとなり、自分の人生の推進力へと変わっていったのです。
読書会を継続し、SNSでのアウトプットの継続により、私は出版社から見つけてもらえm“憧れだった著者”という立場に立っていました。誰かの本を紹介するだけではなく、自分の言葉で一冊を書き上げ、届ける側になれた。それは、決して特別な才能があったわけではなく、行動し続けた結果でした。
学び、挑戦し、そして続けること。それを積み重ねた延長線上に、今の自分があるのです。 書籍を出版したあとは、「書き続けること」を習慣化すること選びました。そして「ビジネス書評家」としての道を歩み始めました。
以来、私は15年間、毎日欠かさずこのブログを書き続けています。どんな日も、どんな状況でも、手を止めずに書いてきた。その理由はシンプルです。達人になるには、続けること、やめないことが何よりも大切だからです。
私はトム・ピーターズの言葉を、自分の中に深く落とし込みました。「ブランド人」として生きるとは、行動と継続を習慣に変えること。その先にこそ、自分らしい未来が待っていると信じてきました。 本書で語られていた「組織の肩書よりも、個人の名前にこそ価値が宿る」というメッセージは、現代のSNS時代と驚くほど重なります。
実名で発信し、専門性や経験を“見える化”していく流れは、まさにブランド人の在り方そのものです。 たとえば、FacebookやXでの情報発信、ブログでの実践記録、YouTubeやPodcastでのアウトプット──すべてが「自分ブランドの証明書」として機能するはずです。
いま、こうした発信ができる環境が整っているからこそ、自分の力で信頼を積み重ねていける時代になっているのです。 ピーターズの教えを信じ、実践し続けたことで、私は「自分の未来を自分の手でつくる」という実感を持てるようになりました。
変化の激しい時代において、何が正解かは誰にもわかりません。しかし、動き、学び、つながり続けること。この3つを丁寧に繰り返すことで、人生は確実に前へと進んでいきます。
トム・ピーターズの言葉は、出版から20年以上が経った今も、まったく古びることがありません。むしろAIやSNS、テクノロジーが加速する今だからこそ、その言葉の重みが増しているようにすら感じます。
「会社に頼らず、自分自身をブランドとして確立することの重要性」。それはもはや理想論でも未来予測でもなく、現実的な生存戦略です。 変化が当たり前になったこの時代、自分のブランドを築くには、問い、学び、そして動き続けるしかありません。
今、私たちが持てる最大の資産は「自分の名前」です。 そしてその名前に価値を与えるのは、日々の信頼の積み重ねと、変化を恐れずに行動し続ける力なのです。










コメント