2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略(小林大祐)の書評

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2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略
小林大祐
KADOKAWA
ISBN-10 ‏ : ‎ 4046076585

 

30秒でわかる本書のポイント

【結論】 インフレと円安の進行により、日本人の資産は「持つ者」と「持たざる者」に二極化します。2035年に向けて、何もしない99%の人は資産を目減りさせ、行動する1%の富裕層だけが生き残ると著者は指摘します。「日本円だけ」を持つリスクはかつてないほど高まっています。
【原因】 構造的な通貨安と、海外からのインフレ圧力が続いています。タワーマンションの供給過剰や価値崩壊リスク(ババ抜き化)が顕在化しています。富裕層やエリート層による、静かなる「国外への資産移転」が加速しています。
【対策】 不動産、ゴールド、暗号資産など、「実物資産」および「非円資産」への分散が必要です。「価値が上がるところ」ではなく「価値が下がらないところ」を見極めるエリア選定が重要です。PEST分析などのマクロ視点を持ち、感情ではなく論理で投資先を選ぶことが求められます。

本書の要約

年収450万円のサラリーマンから総資産37億円を築いた”不動産アニキ”こと小林大祐氏が、2035年に向けて日本人の資産が静かに二極化していく現実を解き明かす一冊。タワマンの価値崩壊、富裕層の国外脱出、円の信認低下――SNSでは語れない不都合な真実を、不動産・ゴールド・暗号資産・ドルなど資産クラスごとに徹底分析。99%が恐怖で動けないとき、1%の富裕層はすでに次の手を打ち終えている。巻末の「上がる土地・下がる土地」完全リストを含め、読んだ翌日から資産の守り方・増やし方を変えられる実践的な指南書。

おすすめの人

・将来の資産形成に漠然とした不安を抱えているビジネスパーソン
・「貯蓄から投資へ」と言われるが、具体的に何から始めればよいか迷っている人
・不動産投資を検討中だが、失敗したくない初心者~中級者
・マクロ経済の視点を取り入れた、負けないポートフォリオを構築したい投資家

読者が得られるメリット

・30億円の資産を築いた実務家の「生きた知見」を体系的に学ぶことができる。
・PEST分析やグローバル視点に基づいた、不動産を中心として投資手法を学べる。
・「何を買うべきか」だけでなく、「何を買ってはいけないか」というリスク回避の視点が身につく。
・自分の居住地や投資予定地の資産価値を、プロの基準で再評価できる。

グレートリセット時代の資産運用とは?

私たちが今直面している問題は、この信用が揺らぎ始めているということだ。この先やってくるグレートリセットは、これまでのような通貨の信用がいよいよ失われる社会の到来のきっかけになるかもしれない。(小林大祐)

アメリカ軍のイラン侵攻は、エネルギー供給不安と物流コストの上振れを通じて、世界のインフレ圧力を強めています。日本でも、数年前までのデフレ環境は明確に後退し、物価上昇と金利変動を前提に意思決定する局面に入りました。加えて、金利差・貿易条件・資源価格の変動が為替に波及しやすく、円安・円高の振れも含めて「前提が固定できない」時代になっています。

不確実性は中東だけではありません。アメリカの関税政策、ウクライナやガザなどの地政学リスク、異常気象、資源制約。これらが同時進行することで、家計・企業・投資家にとっての「想定外」が常態化しつつあります。

生活者の目線で言えば、食料・エネルギー・保険料・金利負担がじわじわ効き、企業側では調達コスト、物流、為替、賃上げの圧力が重なる。結果として、資産運用は「余剰資金のゲーム」ではなく、生活防衛と企業防衛を含む意思決定へと性格を変えています。

今日紹介する2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略は、「グレートリセット」というキーワードを軸に、資産運用の解像度を一段引き上げてくれる一冊です。資産クラスの強弱を「何が起きても崩れにくい順」に並べ替える視点と、その視点に基づいたポートフォリオ設計が本書の骨格になっています。

著者の小林大祐氏は、富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)勤務の元サラリーマンです。年収450万円の時代に不動産投資を始め、20年で総資産30億円を築きました。現在はYouTubeチャンネル「不動産アニキの非常識な投資学」でも情報発信を続けている実践派の投資家です。

本書の中心テーマは、インフレ局面では資産が自動的に守られるわけではなく、資産クラスと保有設計によって「増える側」と「消える側」にはっきり分かれるという点にあります。不動産に限らず、円・ドル・外貨、ゴールド、暗号資産、株式・投資信託といった幅広い金融資産を取り上げ、著者独自の未来予測をもとに読者自身の資産を再点検させる構成になっています。

日本に留まる者は増税によって生活を圧迫され、逃げ場はない。国の奴隷となるしかなくなるのだ。

海外に逃避する富裕層が増えれば、日本に残る人々にとっては残酷な未来が待っています。しかし、今回のイラン攻撃が示したように、かつて安全とされていた中東にも地政学リスクが顕在化しました。もはや「ここなら安心」という場所は、世界のどこにも存在しないのです。

著者は、世界が今、確実に「グレートリセット」へと向かっていると指摘します。グレートリセットとは、金融・経済・社会構造など、これまで当たり前だった前提が一度すべて崩れ去り、新しいルールのもとで再構築される大転換のことです。これは単なる経済不況や景気後退とは次元が違います。通貨の価値、国の信用、社会の仕組みそのものが根底から書き換わる、歴史的な節目である――そうした認識をまず持つべきだ、と著者は読者に迫ります。

そしてグレートリセットは、土地と資産を無慈悲に振り分けます。守られるのは「国家と資本が必要とする場所・資産」であり、切り捨てられるのは「人口が流出し、流動性を失ったもの」です。 上がる土地は、都市中枢、空港直結エリア、食料生産拠点、再開発地。下がる土地は、過疎地、老朽化した都市、災害多発地域、観光依存の地方です。

著者が示す判断基準はたった二つです。「国が守るか、切り捨てるか」、そして「すぐに換金できるか、できないか」。この二軸だけで、土地の未来価値は決まっていくのです。

グレートリセットを乗り切る「9つの黄金ルール」

地政学リスク、金融危機、金利変動、通貨価値の変動といった複合的なリスクをヘッジしながら運用している。つまり、短期的な値上がりを狙うのではなく、不確実性の高い環境下でも資産が穀損しない構造を先につくり、そのうえで資金を働かせていくという考え方だ。

さまざまな要因が複雑に絡み合い、資産運用の難易度は確実に高まっています。もはや「何かひとつに賭ければ安心」という時代ではありません。

本書で「上がる資産」として挙げられている例は、①現金(有事に即動ける流動性)、②金(通貨価値の揺れに対するヘッジ)、③都心一等地の不動産(需要の厚みと流動性)、④農地・水資源関連の資産(供給制約と安全保障の文脈)、⑤ドル建て資産(基軸通貨圏へのエクスポージャー)などです。共通するのは、危機時でも価値の裏付けが残りやすいこと、そして市場での換金性が比較的高いことです。

これらに共通するのは、危機が訪れても価値の裏付けが残りやすいこと、そして市場での換金性が比較的高いことです。つまり著者が繰り返し強調する「すぐに動かせるかどうか」という判断軸が、ここでも一貫して貫かれているのです。

逆に「下がる資産」の代表格として挙げられているのが、①日本円建ての長期国債(インフレと金利上昇局面での価格下落リスク)、②郊外の築古不動産(需要減と流動性低下)、③タワーマンション(需給変化・維持費・市場心理の影響を受けやすいという論点)、④固定金利の保険(インフレ下での実質価値の目減りという見方)、⑤年金(制度・財政・実質価値の変動を織り込む必要)などです。

もちろん、これらは「絶対にダメ」と断言するためのリストではなく、グレートリセット局面で相対的に不利になりやすい、という整理です。要するに「守られにくい資産」「換金しにくい資産」を避けることが重要になります。

結局、グレートリセット後の時代を分けるのは、情報の多寡ではありません。「国が守る側にあるか」「流動性があるか」という視点で、自分の資産と土地を棚卸しできるかどうかです。

本書のエッセンスとして提示される「9つの黄金ルール」を最後に紹介します。
・「幸福の定義」を明確にせよ —— ぼんやり生きている者に未来はない
・「経験」に最大レバレッジをかけろ —— 行動しない者は一生凡人
・「会社」はお金がもらえる専門学校だ —— 仕事への向き合い方が自分のステージを変える
・借金を使いこなせる者だけが資産を膨張させる
・「税金と年金」は制度を支配する武器 —— 逃げるな、逆に使いこなせ
・成り上がりたければ、まず設計図を描け —— 勢いだけでは資産は築けない
・再現できないものは、思い込みで終わる すべての設計は「可視化・数値化・標準化」が命
・使う金が信用を生み、信用がさらなる金を引き寄せる
・1億円はゴールではなく、倍々ゲームのスタートに

資産家であっても情報弱者ならば、一夜にして転落する時代ではあっても、情報を制する者はゼロからでも未来を築ける。

特に印象的なのは、資産を絶えず「可視化・数値化・標準化」せよという著者の主張です。自分の資産状況を感覚ではなくデータで把握し、共通の物差しで比較できる状態にしておくことで、グレートリセットのような激変局面でも迷わず機動的に動けるようになります。

逆に言えば、数字を見ていない人から順に淘汰されるということです。AI時代において情報弱者では生き残れない――この著者の警鐘は、投資経験の有無を問わず、すべての日本人に突きつけられた問いではないでしょうか。

コンサルタント・徳本昌大のView

「〇〇年、あなたの資産が危ない!」系のタイトルの書籍は多いですが、本書の差別化ポイントは、著者が自ら30億円規模の資産を運用している「当事者」である点です。机上の議論でではなく、実体験を行ってきた投資家の未来予測として読めます。

また、類書と比べてPEST分析の視点やグローバルな前提整理があり、煽りよりも「構造の説明」に寄っている点も評価できます。危機の提示で終わらず、何が変数で、どこがレバーなのかを読者側に渡してくれる。ここが本書の強みでしょう。

不確実な時代において、最大のリスクは「何もしないこと」です。本書は、思考停止に陥りがちな私たちの背中を押し、具体的な行動へとつなげるガイドブックになり得ます。

日本においては、資産運用の議論が「何を買えば勝てるか」に収束しがちです。しかし、最初に決めるべきは投資対象ではありません。まず、未来から逆算した前提の整理があり、次にそれに耐えうるマインドセットを養うこと。投資方法の設計は、その土台が固まった後に初めて意味を持ちます。銘柄選びやタイミングの議論は、いわば最終工程なのです。

私自身、外貨建て資産や米国株、ファンドを中心に資産運用を行っていますが、著者の指摘を踏まえ、ポートフォリオの組み替えを検討し始めました。どの資産を増やすか以前に、どのリスクを持ち続けているのかを棚卸しする必要があると感じたからです。

著者の助言をそのまま信じるのではなく、判断軸として活用し、自分の頭で考える癖をつける。そうすることで、グレートリセットの波に対しても、受け身ではなく能動的に対応できるはずです。

🖋 書評:徳本昌大 書評ブロガー・ビジネスプロデューサー

本書はご恵贈いただきました。

最強Appleフレームワーク


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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