本田幸大氏の幸せな会社の作り方 SDGs時代のウェルビーイング経営の教科書の書評


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幸せな会社の作り方 SDGs時代のウェルビーイング経営の教科書
著者:本田幸大
出版社: 扶桑社

本書の要約

ウェルビーイング(幸福)経営とは、「個人の経済、健康、人間関係が満たされ、社会の役に立ち生きること」を目指す経営手法です。経済、健康、人間関係という幸せトライアングルの三辺をそれぞれ大きくすることで、業績のよい働きやすい会社を作れるようになります。

ウェルビーイング(幸福)経営」とは何か?

私が考える「ウェルビーイング(幸福)」「ウェルビーイング(幸福)経営」とは、「個人の経済、健康、人間関係が満たされ、社会の役に立ち生きること」(本田幸大)

株式会社Enjinの代表取締役社長である本田幸大氏は、幸せになることを考え続けている経営者です。本田氏は不幸にならないような生き方を実践していく中で、社員を幸せにする「ウェルビーイング経営」という考えにたどり着きます。

幸せな状態を築くためには、幸せの邪魔をする「不」を取り除くことが重要です。お金がない状態を脱する、病気にならないための予防をする、家族や友人、仲間と悪い関係にならないための人間関係を築くなど、避けたい状態を予測し、そうならないように日々暮らしていく必要があります。この不幸にならない状態を経営に取り入れれば、「ウェルビーイング経営」を実現できるようになります。

幸せ(幸福)を考えるにあたっては、個人の身体的、精神的という側面と、社会的(社会性)の3つが密接に関わっています。会社経営をするにあたってもこの3つが重要な要素になります。大切な社員が、人として身体的、精神的に幸せであるという状態を作ると同時に、社会に対して必要な役割を提供することを目指さなければなりません。

「ヒト・モノ・カネ・情報」といったさまざまな要素が大切だとされる会社経営において、軸となる「ヒト」に焦点をあて、その人の幸せを徹底して考え抜いていくこと、これがこれからの時代において必要な経営の要素だと著者は気づいたのです。

社員をギバーにしよう!

与える社員、ギバー社員は会社を幸せな状態に導いてくれます。 ギバー社員とは「行動型、自律型の社員」とも言い換えられ、積極的に仕事に取り組み、多くの人を巻き込み、たくさんの成果を創出します。

著者はアダム・グラントの著書の考えを取り入れ、ギバーを育てることをスタートします。(アダム・グラントの関連記事)

では、どうすれば、ギバーが溢れた組織を作れるのでしょうか?

著者は、そのためには「幸せトライアングル」を作るべきだと言います。幸せトライアングルでは「経済」「健康」「人間関係」という三辺をそれぞれ大きくすることで、人が幸せである状態を作れるようになると考えます。

ギバーを増やすために同社は様々な取り組みをしています。経済面を伸ばすために、人事と教育の仕組みが制度化されています。同社では企業理念をしっかりと伝え、未来から逆算できる行動を取ることを社員に求めています。給料日には読書感想文の提出が求められ、社員は本を読むことを習慣にできます。社会人になると本を読む時間が減りますが、この精度のおかげでインプットの時間とアウトプットの時間を自ずと作れるようになります。

社員の健康にも同社は意識を向け、幸福度をアップさせようとしています。
■月曜11時のゆとり出社
■OHANAキッチン(毎日2回、会社から健康的なお弁当が無償提供される)
■OHANAP(毎日20分間の昼寝の精度)
■ベストボディー部(トレーニングジムに通う社員への補助精度)
■風水設計したオフィスの環境設計
■瞑想の習慣化・瞑想ルームの設置

それだけでなく、人間関係を豊かにする仕組みも生み出しています。
■親孝行休暇
■オハナ旅(人間関係を育む旅行制度)
■サンクスウィーク(社員にありがとう)を伝える制度
■OHANAアンバサダー制度

この幸せトライアングルのおかげで、 社員たちがEnjinを働きやすい会社だと認めてくれ、最大25%までに高まっていた離職率を10%以下に下げることに成功します。約30名の募集に対して約7000人の応募があるなど新卒の求人応募倍率も約230倍と高くなり、優秀な社員を採れるようになったと言います。

「幸せトライアングル」の三辺がバランスよく満たされた状態を、自らの意思と行動で作ることが、何歳になっても心身ともに満たされた状態を作ることに繋がっていきます。そして満たされた状態でいることで、人は幸せを感じやすくなり、誰かに何かをしてあげられるギバーとして自分自身を成長させていくことができます。「ギバー=与えることができる人」は、結果的に多くのことを受け取ります。まずは、自分の「不足を知る」ことから始めてみてください。

著者は不足をカバーするために、日々情報発信を心がけ、ギバーであることをやめません。自分に足りないものを見つけ、それを発信することで、自分だけでなく、会社やパートナーの知識も高まります。これが積み上がることで、よいことが会社に起こるようになるのです。

ギバーになることで、「経済」「健康」「人間関係」の幸せトライアングルを大きくすることができます。結果、社員が強くなり、業績アップがはかれます。ウェルビーイングを企業経営に取り入れることで、エクセレントカンパニーが作れるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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