言語は万能なものでないこと、その働きは不自由であり、
時には有害なものであることを、忘れてはならないのであります。
われわれは読者の眼と耳とに訴えるあらゆる要素を利用して、
表現の不足を補って差し支えない。 (谷崎潤一郎 )
古典と言い切るには新しいかもしれませんが
現代の時間のスピードを考えれば、谷崎潤一郎は私にとってはもはや古典です。
ブログを書き始めて以来、日々、わかりやすい、人に伝わる文章を書きたいと思い
毎日このブログを更新していますが、まだまだ、読みやすい文章が書けません。
始めた頃に比べれば、文章を書くのが辛くなくなりましたが
まだまだ悪文が多いので、なんとか、わかりやすい文章を書きたいと思っています。
文章を勉強するためには、やはり谷崎潤一郎だと思い
昨日の日曜日に谷崎潤一郎の文章読本を久々に再読しました。
谷崎は美しい文章で有名で、この文章読本について、あの吉行淳之介は
「正しく文学作品を鑑賞し、美しい文章を書こうと願うすべての人の必読書。
文章入門としてだけでなく文豪の豊かな経験談でもある。」と絶賛しているほどです。
谷崎は本書の中で文章の第一の条件は分からせること、
第二の条件は長く記憶させることだと明確に定義しています。
その際、文字の字面と声に出して、音読した際に
スラスラ読めるかが重要だと私たちに教えてくれています。
字面と音調が備わった感覚的要素のある文章がわかりやすく
それを備えていれば、自ずと記憶に残る文章が書けるようになるのです。
五感を大事にすることがここでも書かれています。
谷崎は人間の五感を考慮し、文章を書くことを徹底しています。
この文章読本でも古典や百人一首のカルタを例にとり
ビジュアル情報が記憶に繋がることをわかりやすく説明しています。
そして、今の時代にこそ、谷崎が言うところの五感が重要になってくるのです。
ブログなら、テキストだけでなく、豊富にFlickerなどの
写真を使うことができ、読者にわかりやすく内容をイメージしてもらえるのです。
伝えるためには、読者の五感、特に視覚に訴えることも重要な要素なのです。
よい文章が記憶に残るわかりやすい文章であるならば
ブログやシーシャルメディアで文章を書く際にも、そこにも注意を払うべきです。
字面にこだわり、スラスラと読める音読に耐えられる文章を書くことに加え
印象に残る仕掛けを写真などを活用して、作っていくことがポイントなのです。
時代は異なりますが、谷崎の文章読本は今でも十分、通用する素晴らしいテキストです。
格調高い谷崎の文章は私の五感を刺激し、多くの言葉を私の記憶に刻んでいます。
そして、久しぶりに読んだ文章読本は私に古典の素晴らしさを再認識させてくれました。
広い知識を持ち合わせた谷崎の考えは、現代のコンテンツ時代でも
十分活用できる内容で、デスクの横に置いておきたい一冊です。
谷崎潤一郎のこの文章読本は
わかりやすい文章を書きたいブロガー必読の書だと思っています。
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