菜根譚は中国の古典の一つですが、明末期の洪自誠が記した随筆集です。
論語が道徳の名言集、孫氏が戦略の教科書だとすると
菜根譚は処世訓の最高傑作と言われています。
わかりやすい言葉で書かれた処世訓は、リアルに私たちの人生に迫ってきて
自分の行動を変えるヒントを与えてくれます。
「菜根は堅くて筋が多い。これをかみしめてこそものの真の味わいがわかる」と
いう菜根譚の考え方は、年を重ねれば、重ねるほど心に響きます。
人生を真剣に捉え直したいおじさん世代にこそ相応しい一冊が、正に菜根譚なのです。
年末のこのタイミングで読むと、落ち着いた気持ちでこの一年をじっくりと振り返れます。
今日はいくつかの言葉を紹介したいと思います。
ひっそりと静まり返った深夜に、独り座って自分を観照すれば、もろもろの煩悩が消え去って清浄な心が現れてくる。そこから、必ずや大いなる悟りを開くことができよう。
これこそ、年末に相応しい言葉だと思います。
一年の終わりに一人で静かに瞑想しながら、今年を棚卸しすることで
煩悩を消し去ることができそうです。
良い気持ちで今年を終わるために、自分との対話の時間を持ちたいものです。
耳にはいつも聞きづらい忠言や諌言を聞き、心にはいつも受け入れがたいことがあって、それではじめて、道徳に進み、行動を正しくするための砥石となるのである。もし、言葉がすべて耳に心地よく、ことがらがすべて心に快適であれば、それは、この人生を自ら猛毒の中に埋没させてしまうようなものである。
年を取ると若いときと違ってアドバイスはもらえなくなります。
また、忠告があったとしても耳には心地よくなく、スルーしがちです。
菜根譚ではそれを禁じ、忠言や諌言を聞くべきだと教えてくれます。
快い言葉だけを聞いていては、自分の人生を猛毒の中に
埋没させてしまうという言葉を噛み締めながら
今年、私に厳しい忠告をしてくれた方を思い出し、感謝しようと思います。
暴風雨の日には、鳥や獣でさえも悲しそうである。ところが天気晴朗の日には、草木でさえもうれしそうである。これにより、天地に一日も和気がなくてはならず、人の心に一日も喜びの精神がなくてはならないことがわかるのである。
天地の和気は心にも良い影響を与え、和やかな気持ちになれます。
しかし、感情を乱してしなうと、怒りが生まれやすくなります。
これでは幸せは遠くなりますから、日々のあたりまえの時間や大切な仲間に
感謝する気持ちを忘れないようにしたいものです。
感謝の気持ちを持てば、不思議と心を動揺させずに感情をコントロールできます。
心が落ち着けば、幸せな気持ちでいられるのです。
今年一年の良かったことに感謝する時間をつくりたいと思います。
恩寵を受けている時にとかく害を生ずるものだ。だから、得意快心の時には、すみやかに周囲に目配りしなければならない。失敗した後にかえって成功を収めることがある。だから、思うようにならぬことがあっても、決して手を離してはならないのである。
「人間万事塞翁が馬」の喩えを見るまるまでもなく
人生には良いことがあれば悪いこともあります。
ピンチの中にこそチャンスがあるのだと思えば、つらいことにもチャレンジできます。
失意のときに落ち込むのではなく、ポジティブなマインドを持ちたいですね。
肝臓が病むと目が見えなくなり、腎臓が病むと耳が聞こえなくなる。このように、病は他人からは見えないところで始まり、やがては誰でもが見えるところに現れる。
だから、人の上に立つ者は、人前で罪を受けたくないなら、先ずは人から見えないところでも罪を犯さないようにすべきである。
私は人前では頑張れるのですが、一人になるとどうしても怠け心が顔を出します。
来年は人の目がないところでも、陰日向なく行動を起こせるようにしたいものです。
自分の中の悪い気持ちを放っておかずに、いつも良い気持ちで生きていきたいものです。
菜根譚を読むと自分に不足していること、出来ていないことに気づけます。
年末だけでなく、Kindleにいれて、定期的に読み返すと
自分の心に栄養を与え、行動を変えることに繋がります。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
photo credit: elduderino315 via photopin cc
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