依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実(デイミアン・トンプソン著)は
現代人が陥りかねない罠がよくわかる良書です。
元アルコール依存症の私がお薦めするので間違いないと思います(笑)。
「廃人」になりたくない人には、ぜひ読んでいただきたいと思います。
フラペチーノの甘い誘惑、危険ドラッグ、アルコールなど
現代社会の病みつきビジネスは企業の営利のために
私たちを廃人にしたがっているのです。
ストレスだらけの私たちの生活は不確かさで
多くの現代人は日々不安と戦っています。
そんな不安につけ込むように、ご褒美、自分に報酬という考え方が広がっています。
こんなに頑張ったのだから、自分の気分を向上させてもよいよねと考えると
いつの間にか甘いモノに手を出してしまい
いつしかそれが悪い習慣になり、生活を蝕んでいくのです。
種としての存続にもなんの意味もない報酬に満ちた環境を
私たちは築いてしまい、それが必要のないものであっても
それが報酬であるために、脳の中で快楽を感じてしまうのです。
このドーパミンの分泌を手に入れるために、私たちは依存症に陥るのです。
著者のデイミアン・トンプソンは私と同じ元アルコール依存症です。
彼は気分向上を可能にするものに現代は満ち溢れると言います。
いや、その強烈さ、手段、その多様さとそのスケールは前代未聞になっているのです。
それが薬物やアルコールだけでなく
自分の感情を変えるための手段になるなら
私たちは何にでも手を出してしまうのです。
(本書の買い物依存症のクレジットカードの描写は秀逸です)
私たちの毎日は「すぐに気分をよくしてくれるモノ」であふれかえっています。
そして、多くの企業によってモノに依存するよう促されているのです。
そうしたモノが快感をもたらすメカニズムは、ドラッグなど同質なのですが
私たちは自分へのご褒美という考え方で、それを受け入れてしまいます。
多くの悪習慣ビジネス=病みつきビジネスの餌食になる私たちは
次から次に新しいモノやサービズにアッタクされています。
欲しいという回路が依存症に大きく関わっているために
買い物やサービスの中に多くの仕掛けが施されているのです。
スーパーの陳列棚やスタバのフラペチーノなど
ゲームメーカーの策略を本書は依存症という切り口で暴いています。
特に砂糖の恐ろしさはヘロイン並みという話には驚きました。
私は、急成長しているナチュラルテイストのレストランチェーン「Leon(リオン)」の経営者ヘンリー・ディンブルビーに、オフィスで仕事をする人たちが、前より糖分に夢中になっていると思うかと尋ねた。「ああ、たしかに。糖分は、食べ物における最大の問題だよ。イギリス人の40パーセントが、何らかの糖分依存症に陥っていると思う」と彼は答えた。そのあと、こちらが水を向けたわけでもないのに、彼は口にしたのだ。ケーキとコカインの類似性について。「だれかが、クリスピー・クリーム・ドーナツの箱を抱えてオフィスに入ってきたところを見てみるといい。一斉に歓声があがって、全員が駆けよってくる。まるで、だれかがパーティーにコカインを持ち込んだみたいにね。みんな、そんなふうに集まる。きっと効果が酷似しているからだろう」
糖分には、娯楽用の麻薬に含まれている精神活性特性の一部がそなわっています。
企業はマーケティングで糖分摂取を促し、廃人を作りだしているのです。
例えば、クリスピークリームは特製コーヒーを開発し、糖分摂取の習慣化を促します。
コーヒーと一緒なら大丈夫というコンテクスト(免罪符)を開発し
いつの間にか依存症を拡大しているのです。
実際、同社の業績はこのコンテクストで97%の利益を伸ばしたのです。
スタバのフラペチーノも同じだと著者は指摘しています。
病みつきになれという企業の誘惑が私たちが生きる現代社会にはあふれています。
私たちはこのここから逃れる予防策を知るべきなのです。
本書を読めば、多くの人が依存症に陥る可能性があることがわかり
その予防策もチェックできます。
企業のマーケティング戦略の裏に隠された依存症の罠を知っておくことで
自分の大切な人生を守れると思います。
今日も読んでいただき、ありがとうございます。
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