ヤッホーブルーイングとスノーピークが成功している理由は7Pにあり。


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「売り方」のオンラインシフト デジタル起点でリアルでも勝つ!
著者:玉井博久
出版社:翔泳社

本書の要約

マーケティングの7Pを実践し、売り方のオンラインシフトを進めることで、顧客の悩みを解決できます。ミーニングフル、エンゲージメント、セルフディフェンスというニューノーマル時代の生活者の変化に応え続けることで、顧客はデータを開示してくれるようになり、企業はより良い提案ができるようになります。

4Pから7Pで成功したヤッホーブルーイング

違う結果が欲しければ、違うように物事を捉えて、違う行動を起こさなければならない。(玉井博久)

今回のコロナパンデミックによって、顧客の購買行動は激変しました。今までのマーケティングの常識に頼るのをやめ、新たな施策を実践すべきです。マーケティングコンサルの玉井氏は、マーケティングは4Pから7Pにシフトすると述べています。(玉井氏の関連記事はこちらから

マーケティングの7Pとは、パーパス、ポスト、ページデコレーション、ピュア、パーソナライズ、パーティシペーション、パフォーマンスの7Pを実践することで、企業は成長できるようになります。

マーケティングの7P
①商品をパフォーマンス(成果)として提供できるように開発する。
②その商品に対する専門的知識または熱量をオンラインにポスト(投稿)する。
③商品購入ページをデコレーション(デジタル接点)してお客様の購入をオンライン上で促す。
④お客様のデータに沿ってパーソナライズ(個別化)したオファーを行う。
⑤参加費をいただきながら何らかのプログラムへのパーティシペーション(参加)を促す。
⑥これら全てはパーパス(意義)に則ったものになる。
⑦売上利益のためではなく、本当にお客様の役に立つというピュア(純粋)な行動が前提となる。

今日はこのフレームワークを活用し、成功したヤッホーブルーイングとスノーピークのケーススタディを紹介します。

ヤッホーブルーイングは1997年に創業したクラフトビールメーカーです。地ビールブームのブームが終焉する中、ヤッホーブルーイングも売り上げを落としていきます。自社のクラフトビールとしての存在意義を取り戻し、パーパスを「個性豊かなビール文化を日本に根付かせること」をパーパスとします。さらにこの美味しいビールを夜な夜な飲めるようにすることで、ビールファンにささやかな幸せを届けるこも存在意義に加えられました。

そこから以下の7Pでマーケティングを再構築し、ビールだけでなくエンタメ体験を売り、ファンを増やしています。


日本のアウトドアメーカーのスノーピークも以下の7Pによって復活を果たします。オートキャンプブームが終焉する中、顧客の声を聞くために1998年に第1回の「スノーピークウェイ」を開催します。集まった顧客からスノーピークの商品は高く、買える場所も少ないと言う本音を聞き出し、自社のパーパスを見直します。

スノーピークのミッションステートメントのThe Snow Peak Wayには、アウトドアという言葉は使われていません。その代わりに自然指向のライフスタイルを提案し、実現すると書かれています。自然指向のライフスタイルを提供することにより、ユーザーの人間性を回復させて、人と人のつながりを生み出す力を人生の全ての時間に広げることが自分たちの存在意義だとスノーピークは考えています。

パーパスに基づいた高品質の自社製品を永久保証し、ファンの顧客体験を高めることで、スノーピークはブランド価値を高め、売上を伸ばしています。

マーケティングにピープリングの要素を加える。

商品を提供する相手は、顔の見えないマーケットではなく、つながりのある人々です。マーケットに働きかけるマーケティング(Market-ing)をしているというよりも、一人ひとりの人間に働きかけるピープリング(People-ing)をしているような印象を受けます。

ヤッホーブルーイングとスノーピークは、一人ひとりの人間に向き合っていこうとする姿勢で、自社のブランド価値を高めています。両社はブーム終息に伴う経営の危機から、自社のパーパスを見直し、長い時間をかけて、顧客との関係を構築していきます。一人ひとりの人間に働きかけるために、両社は顧客をパーソナライズし、顧客を喜ばす提案をしています。

両社は数十名程度の企業規模のタイミングから、マーケティングの7Pを実践し、売り方のオンラインシフトを進めてきました。ミーニングフル(意味のあるモノ・コト)、エンゲージメント(お客様との関係性づくり)、セルフディフェンス(安心・安全)というニューノーマル時代の生活者の変化に応え続けることで、顧客はそのブランドに価値を見出します。

顧客にとって、今後も必要な存在になるには、生活の中のたった一つのことだけを満たしている場合ではありません。顧客はいつでも困っているので、その時にいかに役立てるか、それを自分の事業と関連性があるものは全てサポートすることが、マーケティングの7Pによって可能になります。

顧客との関係をより長くするために、重要なことが顧客の様々なデータです。顧客に「私のことを分かってくれている」と感じてもらい、お客様に友達、ファンになってもらいます。このデータをオンライン起点で、オンとオフの両方で収集することで、顧客に的確な提案ができます

オフラインでの接点は商品を直接触ってどんなものかを確認できる・試せるメリットがあります。リアル店舗にも優位性があるのですから、オンとオフの両方から顧客にアプローチすべきです。顧客が購入してくれるなら、オンとオフを区別する必要はありません。オフラインの接点もデータ収集の機会だと捉え、コミュニケーションのチャンスだとマインドセットを変えることが重要です。

オンやオフの接点やファンコミュニティを通じて顧客の声を拾うことで、自社のプロダクトやサービスを改善できます。社員がパッションを持って、顧客と接することで、ファンが新しいファンを連れてきてくれるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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