人生100年時代を明るく生きる 50代からのセカンドキャリア設計(芳賀哲)の書評

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人生100年時代を明るく生きる 50代からのセカンドキャリア設計
芳賀哲
幻冬舎メディアコンサルティング

30秒でわかる本書の要約

・結論: 定年は「山下り」ではなく「5合目(中間地点)」に過ぎない。意識変革に留まらず、経験を資産に変える「行動の仕組み化」こそが、豊かな後半生を切り拓く鍵である。
・原因: 多くの50代ホワイトカラーが、役職定年や定年を前に「居場所を失う不安」から思考停止に陥り、過去の経験を社外で通用する形に変換できていないため。
・対策: 「経験学習サイクル」で過去を棚卸しし、「計画的偶発性」を信じて動くことで、予期せぬチャンスが舞い込み、2回、3回と新しい人生を選択できる自由が手に入る。

本書の3行要約

50代を人生の終盤ではなく新たな選択肢を何度でも作り出せるリスタートの地点と再定義し、単なる意識変革に留まらず自分のスキルを他者への貢献へと変換する具体的な行動設計図を描きます。経験を内省して資産に変えるサイクルと偶然をチャンスに変える理論を掛け合わせることで、定年後の居場所は失われるのではなく動いた先に鮮やかに現れるようになります。

おすすめの人

・役職定年が近づき、仕事へのモチベーション維持に悩んでいる50代。
・「定年=余生」というイメージに違和感があり、生涯現役でいたい人。
・長年培ってきた自分のスキルが、社外でどう役立つのか自信が持てない人。

読者が得られるメリット

・「見えない不安」の解消: 定年に対するネガティブなマインドセットが払拭される。
・キャリアの武器の再発見: 調整力やトラブル収束など、当たり前だと思っていた経験の「市場価値」に気づける。
・具体的な行動指針: クランボルツやコルブの理論に基づいた、偶然を味方につける具体的な動き方がわかる。

定年後の人生後半戦をどう生きるか?

人生の選択は50代以降でも1回どころか2回、3回とできます。人生100年時代に自分自身で選択した豊かなシニアライフを送るため、早い段階から次のキャリア設計を進めることが大切です。(芳賀哲)

私は10年以上前、50代前半というタイミングで会社員を辞め、独立の道を選びました。当時、iPhoneとSNSの台頭が広告ビジネスを根底から変えると確信し、自らのキャリアを根本から再設計したのです。

独立前は「これまでの経験を活かして、なんとか食べていければ」という、どこか控えめな考えでした。しかし、自分との対話を幾度も繰り返すうちに、少しずつ視界が変わり始めました。

「人生の最終段階は、本当にやりたいことに時間を使いたい!」という思いが、やがてベンチャーの経営、そして上場という大きな目標へと私を突き動かしたのです。

あれから年月が経ちましたが、今回ご紹介する一冊は、そんな私の「人生後半戦」におけるリスタートの原点を、鮮やかに思い出させてくれました。 本書に流れるメッセージは、今の私にとっても、そしてこれから新しい一歩を踏み出そうとするすべての人にとっても、極めて示唆に富んでいます。

株式会社個コラボ代表取締役の芳賀哲氏の人生100年時代を明るく生きる 50代からのセカンドキャリア設計は、50代のホワイトカラー層が役職定年や定年を前に抱える不安や戸惑いをほどき、セカンドキャリアを現実的に設計し直すための手がかりを提示する一冊です。

50代で仕事へのモチベーション低下や将来不安に直面し、思考停止に陥りがちな人に対して、意識変革と行動変容を促してくれます。

人生の選択は、50代以降でも1回どころか2回、3回と重ねられると著者は指摘します。私も絶えず行動を重ねることで、著者となり、上場を経験し、大学教授にもなれたのです。新たな選択肢が、行動を増やすことで見つかっていき、そのための知識をインプットし、ネットワークを広げることで、チャンスが手に入るようになります。

本書が後半で強調する「意識だけでは人生は変わらない」という主張は、その現実を直視させます。気づきや決意は尊い。しかし、意識は放っておくと元に戻る。忙しさは正当で、日常は手強い。だからこそ変えるべきは気分ではなく、行動であり、さらに言えば行動が習慣にまで沈み込む仕組みです。

行動変容を後戻りさせないコツは、気合ではなく設計にあります。たとえば、自分のスキルを棚卸しし、それが誰のどんな困りごとに役立つのかを言葉にしてみる。社内では空気のように扱われてきた経験——調整、育成、意思決定の補助、トラブル収束、利害の翻訳——は、社外では価値になり得ます。

学び直し(リスキリング)とは、流行を追いかけることではなく、経験を次の市場で通用する形に変換する作業です。50代の学習は、知識の追加というより、他者への貢献による信頼関係の構築です。

デビッド・コルブの「経験学習サイクル」と、クランボルツの「計画的偶発性理論」を活用する!

定年は人生という山の5合目「居場所」は失われるのではなく、輝きを増して道行く先に現れる。

著者は行動変容の文脈をただの根性論ではなく、「学習と偶然」を味方につける設計図として示しています。補助線として引かれるのが、デビッド・コルブの「経験学習サイクル」と、クランボルツの「計画的偶発性理論」です。

コルブの理論は、経験から学びを引き出すプロセスを4つの動きとして整理します。
①具体的経験 何かを実際にやってみる。
②内省的観察 振り返る。
③抽象的概念化 気づきを概念としてまとめる。
④能動的実験 そして次の場面で試す。

この循環が回り始めると、経験は単なる時間の消費に終わらず、資産として積み上がります。仕事でも学びでも出会いでも、やりっぱなしにしない。振り返りと言語化によって、同じ体験がまったく異なるものに変わります。

一方の計画的偶発性理論は、キャリアは綺麗な設計図どおりには進まず、予期せぬ偶然が大きな役割を果たすという現実を肯定します。このブログでもお馴染みの考え方ですが、この理論を愚直に実践すると、驚くほどセレンディピティが起き、新たなチャンスが引き寄せられてきます。(クランボルツの関連記事

ただし、それは単に「幸運を待て」という意味ではありません。偶然を呼び込み、それをチャンスとして掴むための具体的な行動があるという話です。新しい行動を増やすこと、人に会うこと、学ぶこと、試してみること。行動が増えれば偶然が起きる確率が上がり、偶然を意味ある出来事として取り込む準備も整っていきます。

計画は未来を固定するためではなく、偶然が起きたときに踏み出せる足腰を作るためにある——本書はその姿勢を、著者の具体例で提示します。

この考え方は、私の実感とも重なります。私は旅に出ること、移動距離を伸ばすことを常に意識しています。移動すれば新たな出会いが生まれ、そこから予期せぬチャンスが引き寄せられるからです。

体が疲れていても、Zoomで済ませるのではなく、あえて出張を選ぶ。現地の空気を吸い、相手の温度を感じ、自分の体験を積み重ねる。そうして得た具体的経験を、帰りの新幹線やホテルの机で振り返り、日記として言語化し、次の一手として試す。この反復こそが経験学習サイクルを回し、偶然を計画的に増やしていきます。私にとって旅は贅沢ではなく行動変容を後戻りさせないための装置でもあるのです。

著者が指摘するように「定年は人生という山の5合目」だと私も思います。頂上ではありませんし、ましてや山を下りることでもありません。見える景色が変わり、ルートの選択肢が増える地点です。

そこで「居場所がなくなる」と嘆くより、「居場所は、道行く先に現れる」と捉えたほうが建設的です。しかもその居場所は、待っていれば与えられるものではなく、動いた人にだけ少しずつ輪郭を見せてくる。経験を学びに変え、偶然を味方につけるプロセスを回せる人ほど、居場所は失われるどころか、むしろ輝きを増していきます。

50代に訪れる役職定年や定年という変化、人生終わりと捉えるのではなく、新たな人生のスタートラインにするのです。マインドセットを変えることで、経験を資産に変える方法と、偶然をチャンスに変える方法を手渡してくれます。

人生後半の航海に必要なのは、勇気よりも自分との対話を繰り返し、行動変容を自ら起こすことだと——本書は、私たちに教えてくれます。

本書のまとめ

50代で直面する役職定年や定年は、決してキャリアの終焉ではなく、人生という山の「5合目」に過ぎません。大切なのは、失われる居場所を嘆くのではなく、自らの行動によって新たな居場所を「設計」していく姿勢です。

本書が示す「経験学習サイクル」と「計画的偶発性理論」は、単なる精神論ではなく、50代が蓄積してきた無形の資産を次なるステージの武器へと変換するための具体的な羅針盤となります。意識を変えるだけでは日常の引力に押し戻されてしまいますが、行動を仕組み化し、社外との接点を増やし続けることで、予期せぬチャンスを得られます。

人生100年時代、50代からのリスタートは一度きりである必要はありません。学び直しと挑戦を繰り返すことで、2回、3回と新しい人生を選択し、より豊かなシニアライフを自らの手で切り拓いていきましょう。

※今回著者からご恵贈いただきました。ありがとうございます。

本記事は書評家・ビジネスブロガーの徳本昌大が執筆しました。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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