チップ・ハースとダン・ハースの書籍にははずれがありません。
いつも彼らの本はわくわくしながら読めるのですが
今回の決定力! :正解を導く4つのプロセスもとても面白く
一気に読めました。以下感想などを簡単にまとめていきます。
人間は一部のスポットライトが当たっている部分のみで
判断してしまい、多くの間違いをおかしています。
他のライトで照らされた場所があるのにも関わらず
それが、見えていないために失敗してしまうのです。
アメリアの食品メーカーのクエーカーのM&Aでの大失敗や
ダッカレーベルの4人組ギターバンド(あのBeatles)は終わったという
判断ミスなどのケーススタディもわかりやすく、とても参考になります。
経験が豊富な場合だけだというハース兄弟の指摘には唸りました。
人はどう判断すればよいのでしょうか?
決定力! :正解を導く4つのプロセスから意思決定のプロセスを引用します。
・選択肢を分析する。
・選択する。
・選択の結果を受け入れる。
そして、これまでに見てきたとおり、この各段階には罠が潜んでいる。
この多くの罠に落ちないようにするための指南書として
決定力! :正解を導く4つのプロセスを読めば、人生は面白くなりそうです。
人間の脳は、視野が狭い、自分に都合のよいデータを探す、信じる、
一時的な感情で決めてしまう、自分の経験を信じて新しいトレンドを読めないなど
以下の4つの共通点があると著者たちは指摘しています。
自分に都合の良いデータを探すというのは、広告会社に勤める私には耳の痛い話です。
さて、この4つのプロセスで間違った判断をしないために
ハース兄弟は4つのプロセスでしっかりと考えることが成功の秘訣だと言います。
彼らは4つのモデルの頭文字を組み合わせ、WRAPモデルと呼んでいます。
これを活用すれば、意思決定が正確になり、確かに成功に近づきそうです。
■(R)eality-Test Your Assumptions 仮説の現実性を確かめる
■(A)ttain Distance Before Deciding 決断の前に距離を置く
■(P)repare To Be Wrong 誤りに備える
意思決定が二者択一になってしまうと人の判断は固まってしまいます。
経営者はティーンエイジャー並みにイエスという答えしか用意せずに
経営判断を行い、自爆するという笑い話のような事例が実際には多いのです。
白黒以外の選択肢を提示することで、別の答えが見つかることはよくあります。
他に何ができるだろう?いい方法はないだろうか?という質問を
癖にすると良い決断に繋がりそうです。
選択肢を増やすこと、視点を変えることを習慣化することで
人間の判断は大きく変わるのです。
1000$のパイオニアのオーディオと700$のソニーのオーディオを買うならどちらか?
二者択一で迷った時に、ソニーを買って
残った300$で好きなCDを買うという選択肢を店員から与えられることで
迷いは一気になくなります。
機会費用を考えれば、時間軸、マネー軸でしっかり判断すればよいのです。
その費用でできること、買えるものをイメージしてみましょう。
有名な経営者ですら、この感覚があまりにないことに驚かされます。
過去のケーススタディを洗うなど、先人の知恵に学んだり
成功している仲間に話を聞くことなどでも視野は広がります。
自信過剰に陥らないためにも、第三者視点での発想や
未来のトレンドを読む力を養って的確な判断をしたいですね。
決定力とは自己中心にならないことなのかもしれません。
また、一時的な感情だけで判断することも危険です。
大好きなインテルのアンディ・グローブが
日本製のメモリーとの戦いに破れたときに用いる
「次の経営者ならどうする?」という客観的な質問は使いたいフレーズです。
その後、インテルの経営者は冷静な判断を下し
メモリー事業から撤退、ビジネスモデルを見直し、驚異的な成長を遂げるのです。
人は意思決定している割には、4つの罠に簡単に陥ります。
WRAPモデルを活用して、視点を変えたり、質問力を鍛えることで
よい結果を生み出せることが本書決定力! :正解を導く4つのプロセスで証明されています。
基本的に、WRAPモデルが促しているのは、自動スポットライトを”手動スポットライト”に変えることだ。私たちが無意識のうちに注目しがちな直感的な感情、自分に好都合な情報、自信過剰な予測に基づいて選択するのではなく、もっと戦略的な点に意識的に光を当てるのだ。つまり、広い風景の隅々までくまなく光を照らすわけだ。
重要な判断をする際にはハース兄弟の顔を思い出して、光の当て方を考えましょう。
WRAPモデルを活用し、良い質問を繰り返すことを忘れないようにしたいものです。
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