スティーブ・ジョブズの点と点をつなぐという考え方に共感しています。
この伝説のスタンフォード大学でのスピーチは
私の人生をいつもポジティブに変えてくれる魔法の言葉なのです。
未来に先回りして点と点をつなげることはできない。君たちにできるのは過去を振り返ってつなげることだけなんだ。だから点と点がいつか何らかのかたちでつながると信じなければならない。自分の根性、運命、人生、カルマ、何でもいいから、とにかく信じるのです。歩む道のどこかで点と点がつながると信じれば、自信を持って思うままに生きることができます。たとえ人と違う道を歩んでも、信じることが全てを変えてくれるのです。(スティーブ・ジョブズ)
安藤百福氏(日清食品の創業者)が日経新聞に連載していた「私の履歴書」を時々思い出します。
書籍化された魔法のラーメン発明物語―私の履歴書も何度も読み返しました。
安藤氏もジョブズ同様の創造的な経営者で、勇気が出る言葉をいくつも残しています。
即席めんの発想にたどり着くには、48年間の人生が必要だった。過去の出来事の一つ一つが、現在の仕事に見えない糸で繋がっている。(安藤百福)
この安藤氏の言葉から、スティーブ・ジョブズの冒頭のスピーチを思い出したのです。
百福氏の人生もクリエイティビティの塊で
過去の知恵と体験を繋いで、チキンラーメンやカップヌードルなど
食の世界で、イノベーションを次々と起こしていきます。
闇市のラーメン屋台に並んだ人々の姿と、日本人が麺類好きであることを思い出し、”お湯があれば家庭ですぐ食べられるラーメン” を作ろうと決意。無一文の生活から這い上がるため、長い間あたためてきたアイデアの実現へ向けて、第一歩を踏み出しました。()
安藤氏は信用組合の経営失敗から、全財産を失います。
彼は失敗を気にせず、自宅の庭に小屋を建て、インスタントラーメンの開発を始めます。
「失ったのは財産だけ。その分、
資産を失っても全く気にせず、自分のアイデアを実現するために
孤軍奮闘でチャレンジを続け、遂にはチキンラーメンを完成させるのです。
企業は夢がなくてはならない。夢が現実のものになるとき、飛躍的に成長する。企業という言葉は創造と同義である。新しいものを世の中に提供していく力がなければ企業である必要はない。
安藤氏の歴史を紐解くと、絶えず、夢を追いかけ、新しいことにチャレンジしています。
世界を食でよくするという目標に向かって動く安藤氏は、正に創造者なのです。
安藤氏は出張中のアメリカで「カップヌードル」のアイデアを発見します。
以下、安藤百福クロニカルから引用します。
現地(アメリカ)で訪れたスーパーの担当者たちは、「チキンラーメン」を小さく割って紙コップに入れ、お湯を注ぎフォークで食べはじめました。これを見た安藤は、アメリカにはどんぶりも箸もない、つまりインスタントラーメンを世界食にするためのカギは食習慣の違いにある、と気づいたのです。そしてこの経験をヒントに、麺をカップに入れてフォークで食べる新製品の開発に取りかかりました。
食文化が違うアメリカ人の行動をヒントに
すぐに動き出す百福氏のエネルギーはとにかく素晴らしいです。
この安藤氏の直感力こそが、イノベーションに必要なスキルなのです。
日清食品はこの百福氏の発見から、世界標準になっていきます。
箸からフォーク、丼からカップに進化することで
カップヌードルのコンセプトが出来上がっていくのです。
私は行く先々で、人が集まっていれば覗き込む。商品に触ってみる。触ってわからなければ質問をする。質問してわからなければ買って帰る。子供のようにいつも“なぜ?”と疑問を発しなさい。
安藤氏はいつも人を求めて、動き続け、そして質問を欠かさないのです。
質問をすることでいつも脳をアクティブな状態に保ち
絶えず新しいヒントを探していました。
「ひらめきは執念から生まれる。」という口癖通り
安藤氏はいつも自分と周りに質問することで、イノベーションを起こしていたのです。
みずからの足で歩き、みずからの目で確認しなさい。そうでなければあなたの話には、重みも説得力もない。
好奇心を持って、体験を重ねることで安藤氏はアイデアを生み出していきます。
それは、開発だけでなく、マーケティングやコミュニケーションも変えていきます。
お湯の出る自動販売機を開発し、「カップヌードル」を販売するなど斬新な戦略で
わずか1年間で全国に2万台の販路を作ってしまうなど行動力も抜群です。
私も小学校の頃にこの自動販売機でお湯を注いで
何度もカップヌードルを食べたことをこの記事を書きながら思い出しました。
明日になれば、今日の非常識は常識になっている。
非常識を作り出すことがベンチャー経営者には必要です。
常識になる非常識を生み出すことができる経営者こそ賞賛されるべきです。
このことを安藤百福氏の言葉から再認識できました。
日本にも安藤百福氏というスティーブ・ジョブズ並みの経営者がいたのです。
私たちはもっともっと日本人であることに、自信を持ってよいのではないでしょうか?
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