レオ・ブスカーリアの新訳 “自分らしさ”を愛せますかの書評


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新訳 “自分らしさ”を愛せますか
レオ・ブスカーリア
出版社:シャスタインターナショナル

本書の要約

自分らしく生き、他者に与える人になりたければ、まず、 自分を愛し、尊重することです。すべてのことは自分から始まっているのだとわかれば、そのとき初めて他者に与えることができるようになります。自分を愛し、他者にも愛を持って接することで、人生はうまくいくようになるのです。

愛とは何か?

学校こそ、世界でいちばん楽しい場所であるべきだ。なぜなら学ぶことはこの世で最大の喜びだから。何かを学ぶたびに、少しだけ新しい自分になれる。(レオ・ブスカーリア)

レオ・ブスカーリアはアメリカの教育学者で、葉っぱのフレディ―いのちの旅の作者としても有名です。彼は南カリフォルニア大学で「愛の授業」を教えていましたが、それを一冊にまとめたのが、本書新訳 “自分らしさ”を愛せますかです。

私は子供の頃、学校が苦手で、登校拒否を繰り返していました。学校でみんなと学ぶことに息苦しさを感じていました。当時の私は1人で何かを創造することに喜びを感じていました。家で本を読む方が学校に行くよりはるかに楽しく、学校に行かないことで親を苦しめていました。当時、この本に登場する教師たちに出会えていたら、私は登校拒否を選択せずに、無駄に悩まずにすんだかもしれません。

著者は学校を楽しい場所にするためには、先生が教師の役割を捨て、ガイド役に徹するべきだと言います。生徒たちに適切なガイドがいれば、授業は様変わりし、学校は楽しくなると言います。しかし、多くの教師は子供たちの個性を無視し、型どおりの授業を行い、彼らの個性を奪う教育を続けます。

自分を愛する人は、持っているものをあっさり与えられるし、何かを手に入れるために努力を惜しまない。教養と才智にあふれた、自由な人間になりたければ、与えることだ。与えるからこそ、すばらしいものが手に入る。

自分らしく生き、他者に与える人になりたければ、まず、 自分を愛し、尊重することです。すべてのことは自分から始まっているのだとわかれば、そのとき初めて他者に与えることができるようになります。

例え、今の自分のことが好きでなくても、もう一度学びなおすことで、自分を好きになれると著者は指摘します。今の自分のありさまや性格がいやなら、それを壊して新しくつくりなおせばよいのです。

レオ・ブスカーリアは教育者として、愛とは何かを考える中で、愛を以下のように定義します。

自分がなりたい姿、あるいは誰かから押しつけられた理想の姿ではなく、本来の姿へと導いてくれるもの、それが愛。愛の定義はいろいろ見聞きしてきたが、これがいちばん健全な定義かもしれない。

教師は子どもにラベルを貼るのではなく、彼らの価値を伸ばすガイド役になるべきです。幼い頃ニューヨークでイタリア系として差別された経験のある著者は、人を型にはめてはダメだと気づきます。誰かのことを知りたいと思ったら、「太ってる」「やせてる」「ユダヤ系」「カトリック」で片づけるのではなく、彼らの個性を見出し、それを引き出すべきです。生徒とか知的障害児とひとくくりにするのではなく、子どもはひとりひとりみんなちがうと捉え、彼らの価値に気づき、それを褒めるようにするのです。

愛にあふれる人間には自発性がある!

愛にあふれる人は自発性を豊かに発揮できる。人間がもともと持っている自発性を呼びおこして、何を感じ、どう考えるかを臆せず口にできるし、ほかの人の感覚や考えにも柔軟に対応できる。そうすれば、おたがいをありのままの姿で見られるようになるだろう。私たちは「こうあるべし」と他人から言われたことに縛られて、自分がどんな人間だったか忘れてしまっている。

私たちは他人の目を気にして、自分らしく振舞うことを忘れています。孤立することを選択し、仲間との交流を減らした人は、自分が生きているかどうかもわからなくなります。自分を取り戻し、自分を愛することで、仲間にも優しくできます。束縛から逃れ、自発的に生きることで、私たちは人間らしい生活を送れるようになるのです。

自分のことを大事にすることで、私たちははじめて他者に優しくできます。自分が幸せだと感じたら、その気持ちを口に出し、自分が幸せだと確認しましょう。その気持ちを他者と分かち合うことで、相手も幸せにできます。

自分の子どもに接する態度を変えるだけで、より豊かに生きられるようになると著者は言います。私は著者の言葉を読んで、自分の子育てを反省しました。今からでも遅くないのですから、子どもたちをもっと見るようにして、彼らの良さを引き出したいと思います。

子どもたちはあっというまに成長するのに、親はちっとも見ていない。気がついたらおとなの一歩手前だったり、結婚する年ごろになっていたり。子どものためと思って、あれこれ忙しくこなし、用事に追われているうちに、子どもの顔をゆっくり眺める喜びを逃してしまう。 だが人生は旅のようなもの。目的地に着くまでの過程が大切なのだ。高級車を手に入れて、世間で高い評価を受けるようになっても、愛する人と見つめあい、触れあい、語りあうことを忘れていたら、人生に何の意味があるだろう?寂しさのあまり死んでしまってもおかしくない。

人との触れ合いのない人生など意味はありません。人生という過程を楽しむためには、目の前の人との時間を大切にすることです。

子どもたちは新しいことを学ぶことが大好きですが、大人が彼らに関心を示さなければ、その欲求もあっという間に萎んでしまいます。子どもたちには、自分に目をかけてくれて、「すごい、よくできたね!」と言ってくれる誰かが必要なのです。

そして、「すごい、よくできたね!」というメッセージは子どもだけでなく、私たち大人にも必要です。自分らしさを愛し、他者を愛すために、人に関心を持つことが大切です。まずは、自分に関心を持ち、自分らしさを追求しましょう。そうすれば、他者にも優しい言葉をかけられるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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