Business photo created by jannoon028 – www.freepik.com
THE HUNGRY SPIRIT これからの生き方と働き方
著者:チャールズ・ハンディ
出版社:かんき出版
本書の要約
自分自身の強みを生かし、周囲や社会に貢献することで、私たちは他者から感謝され、自分を幸せにできます。資本主義があまりに利己的に動く人を増やしたために、不幸な人が増えています。利他の心を取り戻し、他者のへの貢献を意識し、自らの行動を変えましょう。
利他的に行動することが資本主義を救う?
善良なこと、親切なこと、徳が高いことをしようと思っても、その対象となる相手がいなければどうにもならない。完全に自分ひとりですべてを賄って生きていくには、神のような存在でないと無理だ。神でないわれわれが自分自身であるためには、他者の存在が欠かせない。(チャールズ・ハンディ)
イギリスのピーター・ドラッカーと呼ばれる経営哲学者のチャールズ・ハンディの名著が、日本でも発売されました。21世紀に入って、資本主義が行き詰まる中で、人々の生活は二極化しています。強者はより強くなり、弱者は貧しくなっています。今回のコロナパンデミックがより格差を広げています。
著者は20年前に出版した本書で、資本主義の未来を予測していましたが、現実は彼の予測通りになっています。この問題を解決するために、今こそ私たちは利他の心を取り戻すべきだというのです。
トマス・ホッブズは「他人はずる賢くて自分本位だから信用ならない」と考えていましたが、この説を信じれば、周囲の人々はあなたのその思いを証明するかのような行動をとり、あなた自身も周囲と同じように自分本位の行動をとります。
一方、人はみな本質的に信用できると思っていれば、周囲もあなたも利他的に行動します。いまや何をするにも、他者への影響はほぼ避けられないわけですから、どちらを信じるかによって、世の中を変えることができるのです。
世界がつながっていると考えれば、社会的に行動しなければ、環境や秩序を破壊してしまいます。自分さえよければと考え、誰もが利己的に行動すれば、「社会的ジレンマの構造」によって、世の中は問題だらけになります。逆に、一人ひとりが自分だけでなく、他者を意識し、行動を変えれば、多くの社会的な問題は解決できるのです。
私利の追求をやめ、利他の心を問い戻そう!
正当な利己性を働かせるにはありのままの自分でいる必要があるが、それと同時に、他者にも正当に利己的になる権利があると意識することも忘れてはならない。
私たちはコミュニティの中で生きていますが、お互いの権利を尊重しなければ、相手との関係を悪化させてしまいます。会社やクラブ、サークル、ボランティア活動などの「共通の関心を持つ人たちのコミュニティ」は、サイバー空間に集うものも含めて新しいタイプの「ご近所さん」であり、多くの人にとって物理的に近所に住む人よりも重要な存在になっています。
人は人を必要とし、たいていは自分でその相手を見つけます。多くのコミュニティでは、他者への関心や、自分の小さな巣より大きな何かに属したいという欲求が具体的に現れます。結果、どんなコミュニティでも、信頼と関与のバランスが保たれるようになります。
コミュニティを維持するためには、人々のふるまいやかかわり方を定める規範が重要になります。規則や価値観を人々が受け入れない社会は、個人主義の歯止めがきかなくなるため、必ず崩壊します。つながることが当たり前になった今こそ、利他の心を取り戻し、私利の追求をやめるべきです。
人は他者のためや自分を超えた大義のために我を忘れたときに、いちばん自分らしくなれると私は確信している。システムではなく人間を信じるべきだったのに、われわれは誤って、私利の追求という観念をそのまま信じてしまった。人は、生まれ持った資質を覆すことができる。それと同じで、システムだって覆せる。
自分自身の強みを生かし、周囲や社会に貢献することで、私たちは他者から感謝され、自分を幸せにできます。資本主義があまりに利己的に動く人を増やしたために、不幸な人が増えています。利他の心を取り戻し、他者のへの貢献を意識し、自らの行動を変えましょう。
ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。
|
コメント