インパクト投資 社会を良くする資本主義を目指して
ロナルド・コーエン
日本経済新聞出版
本書の要約
消費者の価値観が変わり、マイナスのインパクトを与える企業からプラスの影響を与える企業を応援する人が増えています。世界を変える力を消費者が持つことで、サスティナビリティ経営が当たり前になってきました。投資家や消費者がインパクト企業を応援することで、世の中をよりよくできるのです。
Buycottで支持する企業が応援できる!
消費者の価値観が変わり、マイナスのインパクトを与える企業からプラスの影響を与える企業に投資が移ったように、インパクトを事業に組み込む企業に投資することで、投資家の行動もまた、企業に影響を与えるようになってきている。これが、インパクト革命の次のステップである。(ロナルド・コーエン)
ロナルド・コーエンのインパクト投資 社会を良くする資本主義を目指しての書評ブログを続けます。インパクト投資によって、世の中をよりよく変えることができるようになります。環境や人権侵害に配慮した商品が作られることで、消費者の選択肢が広がります。
消費者は自分の価値観に沿って、商品を購入できるようになります。Buycottというアプリはそれをサポートしてくれます。このアプリで商品バーコードをスキャンすると、製造元企業の情報にアクセスできます。
■社員をきちんと待遇しているか?
■製品テストに動物を使っていないか?
■人権を支援しているか?
などがわかります。
Buycottは、消費者からクラウドソーシングで製品情報を得て、192力国で「良心に基づいて買い物」をすることができます。
また、消費者はBuycottからさまざまなキャンペーンに参加できます。世の中の問題やトピックに対する支持または反対を購買行動で示せるのです。例えば、アプリにはトランプが関わる企業が提示されるので、トランプを支持したくない人は不買運動に参加できます。消費者は「財布を使って投票」し、競合製品を購入するか、購入を完全に放棄するかを選択できるのです。
消費者の購買によって世界が変わる!
あなたが使う1ドルは、あなたがどのような世界を望むか投票しているようなものです。あなたの価値観に反する会社の商品を買うたびに、そのような価値観が基準となるのを許して加担することになります。私たちが願っているのは、何を買うかで世界を変える力を消費者が使えるようにすることです。(アイバン・
パルド)
BuycottのCEOのアイバン・
アクセンチュアは現代を「徹底的に見えてしまう時代」と呼び、「この現実の中で、競争優位性を得ようと努力する企業は、かつてないほど注目を集めている」と指摘します。徹底的に見えてしまうことで、さまざまな消費財に変化の波が生じています。コ
■コカ・コーラ・・・飲料に含む砂糖の量を減らす
■ネスレ・・・商品に含まれる塩と砂糖*の量を減らす
■マース・・・健康によいスナックを発売。健康によいスナック・バーを製造するカインド社の株主となる
■ナイキ・・・衣料にリサイクル原料を活用
■レゴ・・・植物由来のプラスチックを使って「持続可能なブリック」を開発
社会にプラスのインパクトをもたらす製品に対する消費者の関心の高まりを考えれば、インパクトを取り込むことが重要になります。クノール、ダヴ、リプトンなどを揃えたユニリーバの「サステナブル・リビング」ブランドは、他のブランドよりも50%急速に伸びており、同社の成長の60%以上を支えています。商品ラインをインパクトの観点から見る努力は、選択肢を狭めるどころか、新たな機会をもたらし、成長と利益に大きく貢献するのです。
インパクト思考の利点は利益に限らない。プラスチック使用に罰則を設けるなどの新規制や課税などの長期的なリスクは、インパクトをビジネスに組み込むことで減らすことができます。生産性の向上、廃棄物減による経費削減、サプライチェーンでの効率化、人材獲得・確保の改善なども見込まれます。
B Corp(B Corporation)とは、米国の非営利団体B Labによる国際認証制度ですが、これは厳格な評価のもと、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられます。このBコープ認証を得た企業は、有能な社員を集められるようになります。
ミレニアル世代はアメリカの労働人口の半分を占めるますが、2016年のコーン・コミュニケーションズによるミレニアル社員のエンゲージメント研究によれば、ミレニアル世代の75%は、社会的責任を果たす会社で働くのであれば給与が下がってもよいと答えました。ミレニアル以外の世代では、この数字は55%でしたから、インパクト投資を行う企業は、若い世代から働きたい職場としても評価されるのです。
徹底的に見えてしまう時代に、消費者から支持を得るためには、正しいことを行うことが欠かせません。自社のパーパスを明らかにし、環境や資源、人権などを意識した経営を行う必要があります。
消費者の価値観が変わり、マイナスのインパクトを与える企業からプラスの影響を与える企業を応援する人が増えています。世界を変える力を消費者が持つことで、サスティナビリティ経営が当たり前になってきました。投資家や消費者がインパクト企業を応援することで、世の中をよりよくできるのです。
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