B Corpハンドブック: よいビジネスの計測・実践・改善(ライアン・ハニーマン, ティファニー・ジャナ)の書評

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B Corpハンドブック: よいビジネスの計測・実践・改善
ライアン・ハニーマン、ティファニー・ジャナ
バリューブックス・パブリッシング

B Corpハンドブック: よいビジネスの計測・実践・改善の書評

B Corp認証は、企業が社会的責任を果たし、持続可能なビジネスを展開することを示す重要な認証です。この認証を取得することで、企業は市場での信頼を高め、ブランドイメージを向上させるとともに、従業員のモチベーションを向上させ、優秀な人材を引きつける力を強化できます。

企業の信頼を高めるB Corp認証とは何か?

B Corpは、パフォーマンス、説明責任、および透明姓に関する厳格な基準を満たした企業に対して与えられる、世界的に認められた「しるし」です。認証を取得したことで得られた最もわかりやすいメリットは、企業の認知度が向上したことです。(ジュリアナ・アランゴ)

B Corpは、企業が社会的責任を果たし、持続可能なビジネスを展開することを示す重要な認証です。この認証を取得することで、企業はより広い市場での信頼を勝ち得ることができます。

たとえば、B Corp認証を得た企業は、豊富な人材の獲得や維持において優位に立つことができます。なぜなら、社会的責任を果たす企業で働くことは、多くの人にとって魅力的な要素だからです。さらに、B Corp認証を取得することで、企業は競争の激しい市場で差別化を図ることができます。

消費者は、社会や環境に配慮した企業に対して好意的な姿勢を持つ傾向があり、B Corp認証はそのような企業のブランド価値を高めます。また、B Corp認証を取得することで、企業は自らが地球上で最も責任ある企業の1つであることを示すことができ、社会や環境への貢献を強調することができます。

これにより、企業は持続可能なビジネスの構築に貢献し、社会問題や環境問題の解決に向けた取り組みを強化することができます。B Corp認証は、企業にとって社会的責任の重要性を再確認させ、持続可能なビジネスモデルの構築を促進する重要なツールであると言えます。

B Corp認証を取得するためには、避けて通れないのがBインパクトアセスメントです。このアセスメントは、ワーカー、コミュニティ、環境、ガバナンス、カスタマーという5つのセクションの評価指標に沿って、自社が社会に与えている影響を計測する重要なプロセスです。

ワーカーに対しては、適切な労働条件や福利厚生を提供しているかどうかが評価されます。コミュニティに対しては、地域社会への貢献や地域経済に与える影響が重要視されます。 環境に対する取り組みもBCorp認証の重要な要素です。企業が持続可能な環境活動を行っているかどうかが評価され、環境への負荷を低減する取り組みが求められます。

ガバナンス面では、企業の組織体制や透明性、エシカルな経営が重視されます。また、顧客に対しては、適切な製品やサービスを提供することが求められます。

「5年か10年後にいまを振り返ったときにB Corpは革命の始まりだった」と言いたいと思っています。既存のパラダイムはもはや機能していません。これこそが未来なのです。(イヴォン・シュイナード)

Patagonia(パタゴニア)の創業者イヴォン・シュイナードは、100年続く会社を作りたいと語っています。持続可能なビジネスを維持するためには、経営陣やオーナーの交代に左右されないことが重要です。ワーカー、コミュニティ、環境など、あらゆる観点から見ても良い事業を行うことは容易ではありませんが、ミッションを定義し、共有することで、より良い会社をつくれることをパタゴニアは証明しています。

B Corpを導入し、定着させるために必要な7つのステップ

多くの認証B Corp企業は、自社を強化し、社会から認めてもらうためには、ミッションを文化的・法的なDNAに組み込むことが重要だと考えています。これには、長期的なミッションに対する説明責任を強化し、そのミッションを現実化するための具体的な手段が含まれます。

①資任をミッションに組み込む
ビジネスの基盤となるビジョン、ミッション、バリューにクイックアセスメントに社会的・環境的責任を明確に組み込むことは、パーパス・ドリブンな事業を持続するために重要です。

従業員、オーナー、経営陣が変化し続ける中でも、この責任を明示することで、一貫した目的を持つことができます。 自社のビジョン、ミッション、バリューに社会的・環境的責任を組み込む際には、役員会、経営陣、従業員を一堂に集め、以下のアウトラインに従って実施します。できるだけ多くの人を巻き込むことが重要です。

・ビジョン
将来の姿を描く 「どうなりたいのか」を自問し、5年後の会社の姿を簡潔に描きます。

・ミッション
事業の目的を明確化する 「どんなビジネスに携わっているか?」を自問し、組織全体の目的を明確かつ簡潔に記載します。優れたミッションステートメントは、挑戦しがいがあり、達成可能なものでなければなりません。例えば、Patagoniaのミッションステートメントは、「最高の製品をつくり、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」といった内容です。

・バリュー
存在意義を明確にする 「何のために存在するのか?」を自問し、ビジョンとミッションを結び付けます。バリューステートメントは、企業がミッションとビジョンを実現するために、どのような活動を行なうべきかを意思決定する際のフィルターとして機能します。

②ミッションへの意識を合わせる
企業が社会的・環境的ミッションに関する正式な研修を従業員に対して行うことは、非常に重要です。この研修を通じて、従業員は事業目的の背後にあるパーパス(目的)を理解し、それに向けたモチベーションとエンゲージメントを高めることができます。従業員がミッションに共感し、その達成に向けて積極的に取り組む姿勢を持つことで、企業全体のパフォーマンスも向上します。

③目標を内部化する
従業員や経営陣の評価に社会的・環境的パフォーマンスを組み込むことは、サステナビリティの取り組みを効果的に推進するために重要です。これにより、会社全体が社会的・環境的ゴールに向かって一丸となって取り組むことができ、持続可能なビジネスの実現が可能となります。

④外部の意見を聞く
企業が社会的・環境的インパクトに関するフィードバックを社外のステークホルダー(カスタマー、地域住民、取引先、非営利団体など)から得るための制度を設けることは極めて重要です。ステークホルダーは企業の意思決定によって多大な影響を受けるにもかかわらず、その意思決定プロセスに参加する機会が限られています。正式なフィードバック制度を設けることで、企業はより責任を持った経営が可能となり、ステークホルダーとの信頼関係を強化できます。

⑤多様性を内部に組み込む
多様性を持つ役員会や諮問委員会を設けることは、企業にとって非常に重要です。女性、有色人種、LGBTQIA(性的マイノリティ)やその他のアンダーレプレゼンテッドな人々が意思決定の場に参加することで、以下のような利点があります。

・視点の多様化
様々な背景や経験を持つ人々が集まることで、幅広い視点からの意見が反映され、よりバランスの取れた意思決定が可能となります。

・イノベーションの促進
多様な考え方やアイデアが集まることで、新しい発想や革新的な解決策が生まれやすくなります。 企業イメージの向上

・多様性を重視する企業は、社会的に責任ある組織として評価され、顧客やパートナーからの信頼が高まります。

⑥説明責任のための機会をつくる
外部に向けたアニュアルレポートで企業のミッションに関連したパフォーマンスを詳しく開示することは、透明性を高め、ステークホルダーの信頼を得るために重要です。レポートの構成を計画し、データを収集・分析し、視覚的にわかりやすいレポートを作成して公開することで、企業の社会的・環境的取り組みを効果的に伝えることができます。

⑦バリューをDNAに組み込む
企業が長期的にワーカー、コミュニティ、環境にとって良い存在であるためには、そのミッションを守ることが非常に重要です。企業の社会的・環境的なコアバリューをビジネスの法的DNAであるコーポレートガバナンス文書に組み込むことは、ミッションを長期的に保護するための最善の方法の一つです。これにより、経営者やオーナーが変わっても、企業のミッションを守り抜くことができます。

B Corp認証は、企業が社会的責任を果たし、持続可能なビジネスを展開することを示す重要な認証です。この認証を取得することで、企業は市場での信頼を高め、ブランドイメージを向上させるとともに、従業員のモチベーションを向上させ、優秀な人材を引きつける力を強化できます。

サプライヤーとの関係構築においては、品質管理や労働環境に対する細心の注意が重要です。社会的責任を果たすことで、顧客や投資家からの支持を得るだけでなく、新たなビジネス機会を開拓し、持続可能な成長を実現することができます。企業は、サプライヤーとの連携を通じて、社会的責任を果たすことで、企業価値の向上と社会への貢献を両立させることが重要です。

さらに、社会的責任を重視する企業や団体とのパートナーシップを築くことで、業界全体の持続可能な発展に貢献することができます。共通の価値観を持つパートナーとの連携は、新たなビジネスチャンスを生み出し、市場での競争力を強化することができます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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