ライアン・ホリデイのペレニアルセラー 稼げる定番商品の作り方の書評

創作をする者は芸術家、ミュージシャン、カメラマン、職人、舞台パフォーマー、アニメーター、デザイナー、映像制作者、作家・・・・要は芸術作品をつくる者は誰でも真のファンを1000人築けば食べていける。(ケヴィン・ケリー)

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1000人のファンを作ろう!

マーケターのライアン・ホリデイペレニアルセラー──稼げる定番商品の作り方を読了しました。永続的な商品を作るためには、1000人のファンを作ることを目指しましょう。1000人の真のファン=「あなたがつくるものなら何でも買ってくれる」人々がいれば、ビジネスは成功したも同然です。「稼げる定番」を作れる人は強く、経済学で言う所のリンディ効果を享受できます。

リンディ効果とは、ニューヨークのビジネス界の人間がたむろして、どうやって生き残るかを議論したレストランからとった名前で、一日存続するごとに、その後も存続する可能性が高まるという法則です。「ブラックスワン」で有名なナシーム・ニコラス・タレブは次のように述べています。

40年間出版されている本があれば、もう40年出版されると考えてよい。ところが、ここが大事なのだが、それからさらに10年生き残った本は、もう50年出版されると考えられるのだ……すなわち、1年もつたびに、寿命は2年増えるのである。(ナシーム・ニコラス・タレブ)

稼げる定番は日を追うごとに大きな価値をもたらします。2015年、音楽業界ではカタログアルバム(旧譜)の売り上げが新譜のそれを上回ったのです。

ロックバンドのアイアンメイデンは自分たちのファンを大事にします。彼らにとって大事なのは、自分たちのファンだけなのです。その熱烈なファンたちは彼らがつくるものなら何でも買いますし、そのおかげでアイアン・メイデンは音楽業界に君臨してきました。アイアン・メイデンのファンは1000人どころではありませんから、単に食べていけるという水準を遙かに超え、まさにアーティストとして理想の暮らしを送っています。

Amazonでは新しサービスを作るときに、そのニュースリリースを書くことが掟になっています。よいものを作るためには、その商品が何で、誰のためにあるのかを明らかにする必要があります。Amazonは書いて考えるをルールにすることで、稼げる定番を生み出しています。

「これは(何)_であり、(何)_をするもので、(誰)の役にたつ」という雛形を著者も埋めるようにしています。プロダクトのジャンルを明確にし、戦略顧客を決め、見せ方とポジショニングを工夫するのです。よいプロダクトをつくり、そのメッセージを開発する、売り文句を選ぶところから、マーケティングは始まっているのです。

プラットフォームを築くために重要な資産

良いものをつくれば、自然と客が来るわけではない。そうなるように仕向ける必要があるのだ。(ピーター・ティール)

自社のプロダクトにふさわしい顧客(戦略顧客)を見つけ、彼らにそれを広めてもらうようにするのです。商品がずっと売れるためには、口コミに頼るしかありません。良い評判がさらに良い評判を生むことで、結果を出せるようになります。

マッキンゼーの研究によると、商品の購入を決めた理由の20%から50%が何らかのロコミに依っていると言います。しかも「ハイ・インパクトな推薦」(信頼できる友人などからの力強い推薦)は、それ以外のロー・インパクトなロコミの、50倍も影響力があることがわかっています。

ロコミで広がらない製品は、時間の経過とともに、消費者にとっては存在しないも同じになります。宣伝しないと生き残れないものは、だんだんと経済的に立ちゆかなくなります。ネット上での情報拡散に詳しい科学者ジョーナ・バーガーは「(企業の)生き死にはロコミで決まる」と指摘します。実際ジョーナは、スキンケアや携帯電話などの業界では、有料広告より、口コミの方が倍の効果があると言います。

人々は他の人々が好きになる傾向があるのですから、ファンを作るための施策を徹底的に考えましょう。自社のマーケティングになる資源をピックアップし、口コミが起こるようにするのです。
■人間関係
■メディア
■過去の類似商品のマーケティング施策のチェック
■他人への貸し(返報性の法則)
■味方になってくれそうな人(ブロガー、インフルエンサー)
商品の魅力をメッセージの中心にすえ、中毒になるファンを育てることが最強のマーケティング戦略になります。著者のライアン・ホリデイは、広告会社に大金を払うくらいなら、そのお金で商品を最初に使って欲しい人たちに配る方がはるかに効果があると述べています。

ビジネスの硬い基盤を作るためには、ファンとのコミュニーションを取りながら、ファンに喜ばれる作品を作りづける必要があります。では、私たちはどのようなプラットフォームを作ればよいのでしょうか?著者は、次のようにプラットフォームを定義します。

私の定義するプラットフォームは、自分の創作物を広めるために必要な手段、人脈、メディア。そしてファン(読者・観客・視聴者)の総体である。一度築いたら終わりではなく、あなたの全キャリアにわたって維持し発展させていくものだ。すなわちプラットフォームとは、ソーシャルメディア(昔なら演壇)はもちろん、作品実績、友人知人、ファン、あなたに好意的なメディアやインフルエンサー、Eメール購読者リスト、築き上げた信頼信用。収入源一覧など、およそ資産と呼べるものはすべて含むのだ。プラットフォームは、創作をしていれば自然にできあがっていくものだが、それだけでは足りない。自分で築いていく意識が必要である。(ライアン・ホリデイ)

そして、プラットフォームができたら、顧客のメールリストを築くことです。eメールは顧客と直につながる最強のツールで、それを確保することはとても重要なことです。プラットフォームの核になるのは、あなたの話を聞くことに同意してくれた人々のリスト、いわば「同意資産」なのです。

eメールリストと同じぐらい重要なものが人脈(ネットワーク)です。友人知人、仕事仲間、マスコミ関係者、インフルエンサーといった交友関係のリストがあなたのビジネスに価値をもたらします。そして、末長い成功を望むなら、自分のファンと共に今後の人生を誠実に歩むと決めることです。

まとめ

1000人のファンをつくることで、ビジネスは成功します。彼らを喜ばすプロダクトを生み続けることで、LTVを高められ、ファンと共に人生を歩めます。よいプロダクトをつくったら、マーケティングに注力しましょう。自分を応援してくれるファンのプラットフォームを築くことで、成功が保証されます。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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