禁断の中国史 (百田尚樹)の書評

people at Forbidden City in China during daytime

禁断の中国史
百田尚樹
幻冬舎

禁断の中国史 (百田尚樹)の要約

百田尚樹氏の『禁断の中国史』は、中国四千年の歴史の裏側にある残酷な支配と抑圧の実態を描き、中国人と中国共産党の本質を浮き彫りにします。中国は一貫した国家ではなく、少数支配層が暴力と制度で多数を支配してきました。チベットやウイグルの現状は決して他人事ではなく、日本も幻想を捨て、現実と向き合う覚悟が問われています。

物語だけではわからない中国史の実態とは?

私は敢えて言います。皆さんのイメージは完全に間違っています。中国は「偉大な国」でもなければ「優れた文化の国」でもありません。私は「偉大な」とか「優れた文化の」という称号がふさわしい国は、「立派なモラル」を持つ国であると思っています。モラルに欠け、人間性を著しく失った国は、いかに高度な文明を持っていても偉大な国でもなければ、優れた文化の国とも言えません。(百田尚樹)

この数年、東京や京都の街を歩くと、中国語が飛び交い、簡体字の看板が増えています。観光客だけでなく、長期滞在者や移住者も増え、まるで日本の中に別の国ができつつあるかのような錯覚を覚えることがあります。特に日本政府が中国人に対して次々と優遇措置を打ち出して以降、その傾向は一層加速しました。

ビザの緩和、投資ビジネスの受け入れ、土地購入の制限の甘さ。こうした政策の積み重ねが、「中国人が堂々と我が物顔でビジネスをする」という、奇妙な光景を生み出してしまったのです。

昨年10月、日本では高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任し、日本初の女性首相として大きな注目を集めました。その後、11月の国会答弁で高市首相は、台湾有事が発生した場合には、日本の「存亡危機事態」に該当する可能性があると明言し、自衛隊による集団的自衛権の行使に言及しました。

この発言に対し、中国政府は強い反発を示し、外交ルートを通じて厳重に抗議しました。 習近平政権は報復措置として日本への団体旅行を事実上制限しました。その結果、かつては中国人観光客でごった返していた京都の街から、突如として彼らの姿が消えたのです。

12月の京都を訪れた私は、久しぶりに本来の落ち着いた風情を感じることができました。タクシーの運転手さんに話を聞くと、意外にも「今のほうが仕事がしやすい」と語っていました。中国人観光客の多くは地元経営のホテルやタクシーを使わず、自分たちの資本で作った宿泊施設にこもり、トラブルも少なくなかったそうです。

欧米や日本からの観光客が戻ってきた今のほうが、マナーも良く、雰囲気も落ち着いていて、地元としてはありがたいという声が聞こえてきました。

そして、中国は昨年末、台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を行い、地域の緊張とリスクを一段と高めています。

そんな中、私は小説家の百田尚樹氏の禁断の中国史を読み始めました。この本は、中国四千年の歴史の中で、タブー視されてきた残酷な事実や抑圧の歴史に鋭く切り込み、「中国人とは何か」という本質に迫る内容です。読み進めるうちに、これまで日本人が抱いていた中国に対する漠然とした好意や尊敬が、いかに一面的で、時に危険ですらあったかに気づかされました。

私自身も、これまで『十八史略』や『史記』『三国志』といった中国古典を読んできました。智略に富んだ英雄たちの物語に魅了され、「中国は奥深い国だ」と信じて疑いませんでした。しかし今振り返ると、それらの物語は現代中国とは全く別物であり、今を生きる中国人の行動原理を知る手がかりにはならないと感じています。むしろ、「中国四千年」という言葉そのものに幻想があるのではないでしょうか。

中国の歴史は、一つの民族が連綿と統治してきた歴史ではありません。元はモンゴル人、清は女真族と、少数民族による侵略と支配が繰り返されてきたのが実態です。たった数パーセントの征服民族が、広大な中国大陸を長年にわたって支配してきたという事実。清朝では人口のわずか三パーセントの女真族が、中国全土を制圧していたのです。

中国共産党ととの正しい向き合い方とは?

敢えて極端な喩えをしますと、「中国共産党」も、もともとは全国民の三パーセントもいない圧倒的「少数民族」です。それが残虐極まりない様々な方法を用いて、ついに全中国を支配したのです。そして現在に至るも、一握りの共産党幹部が14億人を支配しています。

そして現在、共産党という一握りの支配層が、14億人を従えている構造もまた、かつてと変わっていません。 本書には、残酷な刑罰や宦官制度、纏足、人肉食、大量虐殺といった、現代の価値観からは想像もつかない出来事が記録されています。著者は、それこそが中国の本質だと述べ、私たちはその異常性から目を逸らしてはならないと警告しています。

中でも毛沢東の下で行われた粛清、大躍進政策による大飢饉(推定5500万人の餓死者)、文化大革命における数千万人規模の犠牲者は、現代国家としては異常なほどの暴力的歴史です。

さらに、そもそも「中国」という国は、歴史上一貫して存在した国家ではありません。秦も漢も唐も明も清も、それぞれ異なる国家であり民族です。古代ローマとイタリア共和国が同じ国ではないように、同じ地にあったからといって同一国家とは言えないはずです。にもかかわらず、日本では「悠久の中国」と一括りにして語られる場面が多く、実態が見失われています。

加えて、現在の中国の脅威を語る上で無視できないのが、「国防動員法」と「国家情報法」の存在です。国防動員法とは、国外にいる中国人に対しても、中国政府が「蜂起せよ」と命じれば、即座に従わなければならないという法律です。もし日本国内にいる中国人がその命令を受けた場合、拒否すれば処罰される可能性があります。つまり、平時はビジネスマンや観光客であっても、有事には兵士となる可能性を内包しているということです。

2008年、北京オリンピックに関連して日本の長野で行われた聖火リレーでは、チベット支援の人々が在日中国人に襲われるという事件が起こりました。あのとき、日本政府は中国人の暴力に目をつむり、逆に日本人を逮捕するという異常な対応を取りました。これは事実上、中国政府による在日中国人の動員命令が機能した最初のケースとも言えます。

国家情報法も同様に危険です。この法律により、中国国民や企業は、政府の情報活動に協力する義務を課されており、企業秘密や個人情報、機密技術が中国に流れるリスクは常に存在しています。たとえ日本企業であっても、そこに中国人スタッフがいれば、政府の指示ひとつでスパイ行為に巻き込まれる可能性があるのです。

今、日本の人口は約1億2千万人です。また極端なことを述べますと、3パーセントつまり約360万人いれば日本全土を支配することも可能だと言えるのです。かつて中国人がたった3パーセントの女真族に200年以上支配されていたように

支配とは、軍事力だけではありません。経済、情報、教育、法制度──あらゆる分野を通じて、いつの間にか、確実に浸透していくものです。

しかし、日本の政治家たちは、いまだに「中国と揉めたくない」という空気に縛られ、国防動員法や国家情報法のような重大な脅威にも正面から向き合おうとしません。都合の悪い真実には目をつぶり、「対話」「友好」「民間交流」といった耳障りの良い言葉だけを並べて、あたかも何事もないかのように装っているのです。 真に日本の安全と主権を守るのであれば、こうした幻想を打ち破り、相手の本質を直視する覚悟が必要です。

チベットでは1950年代から中国共産党の支配が続き、僧院の破壊、宗教の監視、言語の消滅が進められています。ダライ・ラマ法王を敬うことすら罪とされる状況は、まさに文化の抹殺です。

新疆ウイグル自治区でも、同様の弾圧が進行しています。ウイグル人は「再教育施設」と称される強制収容所に送り込まれ、監視カメラと顔認識技術で日常の自由を奪われ、強制労働や不妊手術といった重大な人権侵害が続いています。

中国政府はこれらを「テロ対策」と称し、正当化しようとしていますが、実態は民族消滅政策と呼ぶべきものです。

さらに、かつて自由都市だった香港も、国家安全維持法や条例の導入によって、中国の支配下に置かれています。民主化を訴えた若者たちは次々と逮捕され、選挙制度は形骸化し、言論の自由は消え去りました。「一国二制度」は名ばかりとなり、中国にとって都合の悪い存在は、どれほど自由であっても容赦なく排除される──それが中国という国家の本質です。

チベット、ウイグル、香港。それぞれの土地で起きていることは、決して他人事ではありません。今の日本が、中国に対して毅然とした姿勢を示さなければ、いつか同じように、言いたいことも言えない国になるかもしれないのです。 中国という巨大国家とどう向き合うのか。それは、外交だけの問題ではありません。日本人一人ひとりの覚悟、そして政治家の胆力が問われる時代に、私たちは生きているのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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