8割を捨てて2割に集中する 捨てる経営(小早祥一郎)の書評

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8割を捨てて2割に集中する 捨てる経営
小早祥一郎
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本書の要約

捨てる経営とは、不要なものを捨てて、本当に必要なことに集中する経営手法です。捨てることは、改革の第一歩であり、捨てることに抵抗がある人は、一度自分の心の中にある執着やしがらみを見つめてみましょう。不必要なものを捨てることで、会社はスッキリと軽くなり、業績向上につながります。

経営者が捨てる経営を行うべき理由

捨てなければ決して良くはならない、とも確信しています。 それはなぜか。 うまくいかないのは、そこに何か「悪さをしているもの」があるからです。言うなれば、病気における患部=ガンです。 そのガンを取り除くことなく、いくら栄養剤を摂取しても、体は良くなりません。いくらストレッチや筋トレをしても、健康体には戻りません。 それと同じで、企業組織において、不要なものというガンを放置したまま、業績を良くすることはできないのです。 だから、まず「捨てる」ことが必須なのです。(小早祥一郎)

「モノ」「情報」「壁」「商品・資産」「人間関係」「しがらみ」を捨てる。 組織変革プロデューサーの小早祥一郎氏は、この6つを捨てることで、会社にムダなものがなくなり、業績が向上すると言います。

モノや情報、人間関係など、会社にはさまざまなものが溢れています。しかし、これらの中には、会社にとって不必要なものも含まれています。不必要なものを捨てることで、会社はスッキリと軽くなり、業績向上につながります。

不必要なものを捨てるには、まずはそれらを認識することが必要です。何が不必要なのかを認識したら、思い切って捨てましょう。捨てることに抵抗があるかもしれませんが、捨てることで得られるメリットの方がはるかに大きいのです。 不必要なものを捨てると、会社は以下のメリットを得られます。

・無駄なコストを削減する
・生産性を向上させる
・意思決定をスピードアップする
・新しいことに挑戦する

多くの人は、物事を捨てることを苦手としています。その背後には、執着やしがらみが存在し、手放すことが難しくなるのです。同様に、多くの企業が改革に失敗する一因は、過去のものを手放せないことです。新たなものを生み出すためには、古い枠組みやアイデアを断捨離することが必要です。 捨てることは、成長や進化に欠かせない要素です。

過去の成功体験や既存のビジネスモデルに固執することは、新たな可能性を阻害します。改革やイノベーションを達成するためには、過去の手法や考え方を柔軟に見直し、必要なものを手放す勇気を持つことが重要です。 企業が新しいものを生み出すためには、古いものを見つめ直し、不要なものを手放すことが求められます。これには、現状のビジネスプロセスや組織の再評価、過去の成功体験に執着しないマインドセットの醸成などが含まれます。

捨てることができる企業は柔軟性を身につけ、イノベーションを実現し、競争力を向上させることができます。私たちは過去の枠組みにとらわれず、捨てることの重要性を理解し、新たな創造に向けた勇気を持つことが求められます。これによって、個人や企業は成長し、進化することが可能です。

捨てることを徹底できた企業は、その後の改革がうまくいくと著者は指摘します。捨てることで、改革の第一歩が始まります。捨てることに抵抗がある人は、一度自分の心の中にある執着やしがらみを見つめてみましょう。本当にそれらを必要としているのでしょうか?捨てることで、何か良いことが起こることもあるのではないでしょうか?

捨てることに少しでも抵抗がある場合は、思い切って捨ててみることをおすすめします。捨てることで、新たな可能性が開けてきます。

時間や売上が欲しければ、不要なものを捨てることが重要

捨てることは、物理的なものを捨てるだけではありません。考え方や習慣を捨てることも意味します。新しいことに挑戦するためには、古いものを手放さなければならないのです。 捨てることは、簡単なことではありません。しかし、捨てることで、新しい世界が見えてきます。

捨てることで、確実に時間を捻出することができます。捨てることによって捻出できた時間を、本当に大切にすべきモノやコトに投入することで、より高い価値を創造できるはずです。そういつ意味では、「捨てる」という言葉に抵抗を感じる方は、それを「絞る」あるいは「集中する」というふうに置き換えていただきたいと思います。

私は16年前にお酒を捨てる決断をしました。アルコールに依存することをやめることで、本当にやりたいこと(経営者のサポート)に時間を使えるようになりました。朝型にシフトし、時間を有効活用することで自分を変えることに成功しました。

経営改善にも「捨てる」は効果があります。売上にも捨てる視点を取り入れることで、経営がうまくいくようになります。売上金額が大きいだけでは、企業は儲かりません。仕入原価や労務費が大きければ、儲けは少なくなります。また、売上金額に対して手間暇がかかりすぎる商品も、儲けは少なくなります。 仕入原価や労務費を抑えることで、儲けを増やすことは可能ですが、それには限界があります。仕入原価や労務費を抑えすぎると、商品の品質が低下したり、商品の製造に手間がかかったりする原因となります。

結局、儲けを増やすためには、商品構成そのものを、高品質で高価格、高利益(高付加価値)なものに切り替えていく必要があります。 商品構成を見直す際に、多くの経営者が、「高付加価値商品が育ってきたら、低付加価値商品を捨てよう」と考えます。しかし、そう簡単にはいきません。なぜなら、これまで低付加価値商品に注ぎ込んできた経営資源(人・物・金)を割くことなく、高付加価値商品を育てることは不可能だからです。

高付加価値商品を育てるためには、そこに経営資源(人・物・金)を投入しなければなりません。 そのため、まず、低付加価値商品を捨てる必要があります。これまで低付加価値商品で作ってきた売上を失うのは、とても怖いことです。

しかし、「捨てれば得られる」のです。 低付加価値商品を捨てることで、以下のメリットを得られます。
・仕入原価や労務費を削減できる 商品の品質を向上させることができる
・商品の製造にかかる手間を削減できる
・高付加価値商品に経営資源を投入できるようになる
・売上を増やすことができる

ときには、長期的視野に立ち、お客様を捨てる勇気も求められます。

取引額が大きい「要注意客」とのつき合いを続けることは、実は思った以上に危険なことであり、これらを「捨てる」ことを真剣に検討すべきなのです。経営者にとっては、「そんなことは重々わかっている。だけど、目の前の売上がなくなっては元も子もない。だから苦い思いを我慢して取り引きを続けているのだ!」という葛藤もあるでしょう。確かに、目先の売上を考えれば、つき合いを続けたほうがいいでしょう。しかし、長期的な視野に立てば、どこかでつき合いを断たなければ、気づいたときには、会社の土台がガタガタになっている、ということだってあり得るのです。

自社にとって捨てるべき顧客は、その人(会社)の購買金額が大きいか小さいか、自社の売上に占める割合が大きいか小さいかにかかわらず、以下のような顧客です。
・限度以上の値引き要求をする 支払期日を守らない
・自社の社員に対して高圧的な態度や言葉遣いをする
・第三者に自社の悪評や根拠のない噂話を言いふらす

このような顧客は、自社の利益を損なうだけでなく、社員のモチベーションを下げたり、会社の評判を落としたりすることも考えられます。そのため、このような顧客は、たとえ購買金額が大きくても、解約することを検討すべきです。 顧客を捨てることは簡単なことではありませんが、自社の利益を守るためには必要なことです。

このような問題のある顧客との関係を継続し、多大な労力を使うよりも、解約してより良い顧客との関係を築くことが会社の未来を明るくしてくれるのです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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