お客を捨てる勇気(中谷喜孝)の書評

woman holding magnetic card

お客を捨てる勇気
中谷喜孝
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

本書の要約

小さなお店や会社にとって、自社のウリや強み、パーパス、ミッションやビジョンを明確にすることは非常に重要です。それをもとにした「旗」を掲げ、顧客に伝えることで、共感した顧客が集まってきます。このような顧客は、自社のファンとなり、LTVを高めてくれます。

お客様は神様という常識を捨てよう!

結論から言って、リピート率が上がらないのはお店のせいではない。お客のせいである。 厳密に言えば、お店側のお客選びが間違っているという意味なのだが、お店のオーナーが、ただそのことに気づいているか否かだけで、まるで天国と地獄と言っていいほどハッキリと明暗が分かれた。(中谷喜孝)

日本のビジネスにおいて、「お客様は神様」という考え方が根付いていますが、全ての顧客が神様というわけではありません。時には、要求が過剰な顧客が現れることがあり、接客に費やす時間や労力が増加し、それによって本当に大切な顧客に悪影響を及ぼすこともあります。

本書の著者は、ビジネスが成功するためには、単に数字としての顧客ではなく、人生の貴重な時間を共有する仲間として顧客を見る必要があると主張しています。このように顧客に対する定義を変えることで、付き合うべき顧客とそうでない顧客の区別が明確になります。

そして、不必要な顧客を断つ勇気を持つことで、あなたの店は顧客を追いかける立場から顧客に追いかけられる立場に変わります。 このマインドセットの転換は重要であり、顧客を単なる利益の源としてではなく、真の関係を築くための個人として尊重することが必要です。

不必要な顧客を断つことによって、企業は貴重な顧客にリソースとエネルギーをより集中的に投入することができます。これにより、顧客体験の向上や顧客満足度の向上につながり、結果的に長期的な成功を促進することができます。また、不必要な顧客を削減することで、コストの削減につながり、より効率的で利益の上がるビジネス運営が可能となります。

ただし、重要なのは、顧客を単なる数字としてではなく、個人として見ることです。顧客との真の関係と絆を築くことが、持続的な成功を維持するための鍵となります。顧客との積極的なコミュニケーションや、顧客のフィードバックを活用することで、顧客のニーズや要望に応え、顧客にとって有益な商品やサービスを提供することができるようになります。

これにより、顧客のロイヤルティを高め、長期的な成功を確保することができます。顧客との長期的な関係により、LTV(ライフタイムバリュー)がアップし、売上と利益が高まります。

顧客に見つけてもらうための、自分らしい旗を立てよう!

商売なんてさ、プロである”売り手”が自分の理想とする世界観を自由に思い描い て、それに対して『いいね!』って共感してくれる買い手だけを選んで価値交換すれ ば、自然とうまくいくようにできちゃってる。それぐらい単純なものなんじゃないかなって思うんだよね。

小さなお店や会社にとって、自社のウリや強み、パーパス、ミッションやビジョンを明確にすることは非常に重要です。それをもとにした「旗」を掲げ、顧客に伝えることで、共感した顧客が集まってきます。このような顧客は、自社のファンとなり、LTVを高めてくれます。 自社に共感した顧客を獲得することで、ビジネスが成功する可能性が高まります。

共感した顧客は、自社の提供する価値に魅力を感じ、リピート購入や口コミによる新規顧客獲得につながります。また、共感した顧客は自社にロイヤリティを持ち、競合他社に乗り換えることが少なくなるため、LTVが高まる傾向があります。

さらに、自社のウリや強み、パーパス、ミッションやビジョンを明確にすることで、競合他社との差別化が図れます。自社独自の特徴や強みをアピールすることで、顧客が自社を選ぶ理由を明確にすることができます。これにより、自社にとって適切な顧客層を獲得し、より効果的なマーケティング戦略を実行することができます。

著者は以下のステップでビジネスを行うことで、売上と利益がアップすると言います。

心の声に従って《決断》し、《言い訳》という足かせを外し、自分独自の《旗》を掲げ、《本気》で挑戦し続ければ、壁の向こうの景色を見ることができる。そしてそれは不要なお客を《捨てる勇気》を持ったからこそ。 壁の向こうの景色、つまりあと一歩の壁を越えた先で出逢えるのは「生涯顧客」という一生涯のお付き合いができる顧客である。

著者は、物語形式を使って、顧客との関係を築く方法を分かりやすく説明しています。日本の歌謡曲やJポップの曲名や歌詞を使って、ビジネス成功の秘訣を整理し、覚えやすくしています。

■価値のつくり方─『まちぶせ』
売る側が買う側を追いかけてはいけない。

■影響力─『赤いスイートピー』
人気に勝る実力はない。

■理想の客だけ集める方法─『関白宣言』
最も重要なのは、いかにわかり合えるお客とだけ付き合うか?自社のウリや強み、パーパス、ミッションやビジョンを明確にし、旗を立てることで、共感した顧客が集まってきます。

■ブルーオーシャン戦略─『世界に一つだけの花』
自分らしさを大切にし、自分が最も輝けるポジションを探すこと。自社にしかないオリジナリティーな部分が顧客から選ばれる理由になります。価格勝負では大手には勝てません。価格以外の訴求ポイント、自社の隠れた資産やこだわりを明らかにし、それをインターネットやSNSで発信することで、顧客に見つけてもらえるようになります。

■キャッシュフローの重要性―『翼の折れたエンジェル』
店舗経営において何よりも大切なのはキャッシュフロー。

■愛がすべて―『ff(フォルティシモ)』に学ぶ
「お客様への本気の愛」を強みとすることで、顧客をファンに変えられます。


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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