出資を得るための効果的なピッチとは?Love the Problemの書評

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Love the Problem 問題に恋をしよう ユニコーン起業家の思考法
ユリ・レヴィーン
日本実業出版

 Love the Problem (ユリ・レヴィーン)の書評

投資家がスタートアップやベンチャーへの投資を決める際には、事業計画の数字だけでなく、それを支える「人間性」と「ストーリー」も非常に重要視します。投資家は、企業とそのリーダーの背景にある価値やビジョンに共感し、それを通じて長期的な関係を築きたいと考えているのです。

出資を得るための効果的なピッチとは?

投資家が新たなスタートアップや起業家に投資するのは、CEOを気に入って、さらにストーリーを気に入ったときだけだ。あなたのストーリーを輝かせよう!(ユリ・レヴィーン)

イスラエルの起業家であるユリ・レヴィーンの言葉は、投資家と起業家の関係における非常に重要な側面を明らかにしています。特に、スタートアップの初期段階において、投資家は単に数値やデータだけでなく、「人間性」と「物語」を重視する傾向があります。

投資家が重視するのは、単なるビジネスの成功だけでなく、その背後にある人間のストーリーや情熱、そして社会的な問題への取り組みです。

ユリ・レヴィーンの言葉が示すように、投資家と起業家の間には、単なる資金提供者と受益者の関係以上の深いダイナミクスが存在します。 スタートアップの成功においては、単なる数値やデータだけではなく、起業家の人間性や情熱、そしてその背景にあるストーリーが重要な要素となります。

個人投資家として、ベンチャー投資をする際に、私は起業家が持つ目的や価値観、そしてなぜその事業に取り組むのかを知ることを重視します。起業家の背後にある情熱や社会的な問題への取り組みは、投資判断においても大切な要素です。私が投資を検討する際、特に事業のパーパスやビジョン、それらを実現しようとする不屈の努力、そしてコミュニケーション能力を見ます。これらは、起業家の人間性を理解する上で重要なポイントとなります。

投資してほしいなら、投資家に想像させ、感情移入させる必要がある。どうしたら面白いストーリーが語れるか。そのためには、感情移入を呼び起こし、聞き手に自分がストーリーの一部だと感じてもらう必要がある。したがって、ストーリーは真に迫るものでなければならない。

投資家から出資してもらうためには、彼らの想像力を刺激し、感情移入を促すストーリーが必要です。ただのビジネスプランやマーケティング資料では不十分です。彼らに誰か知っている人がプロダクトを使う様子を想像させることで、ストーリーが現実味を帯び、より魅力的になります。

効果的な方法として、プロダクトが実際のユーザーの生活をどのように変えるかの「使用事例」を詳細に描写します。これにより、投資家はプロダクトの実用性とその影響を具体的にイメージし、自分自身や知人がそのストーリーの一部となる感覚を持つことができます。

面白く、感動的な物語を伝えることが重要であり、聞き手がそのストーリーに自分を投影できるような語りが求められます。感情移入を呼び起こし、聞き手に自分がストーリーの一部だと感じてもらうためには、ストーリーは真に迫るものでなければなりません。このアプローチにより、単なるアイデアを超えたリアルな価値提案を投資家に提示することができ、彼らの関心と投資意欲を引き出すことが可能になります。

起業家が投資家にピッチする際に、注目すべき3つの要素

起業家が投資家にピッチする際に、注目すべき3つの要素は以下の通りです。

①CEOの人柄と能力

あなた自身を最高の状態にする必要があり、見た目や印象も重要だ。そこで、CEOは最初のミーティングに1人で行く。そうすれ ば、ステージ上で誰かにスポットライトを奪われることはない。

投資家は、企業の成長を牽引するリーダーの資質を重視します。リーダーシップ、ビジョンの明確さ、適応力、チームを激励し管理するスキルなど、CEOの人格や能力が企業の将来を大きく左右します。成功した多くのスタートアップは、カリスマ的で信頼できるリーダーによって高く評価されています。

②企業のストーリーとビジョン

面白いストーリーとは、事実ではなく、感情移入できるかどうかだ。

スタートアップが抱えるストーリーは、どのような問題を解決しようとしているのか、またその解決策がどれだけ革新的かを示します。投資家は、単に利益を追求するだけでなく、社会的な影響や持続可能な成長をもたらすビジョンに共感することが多いです。企業のストーリーが明確で、市場での独自性が強調されるほど、投資の魅力が増します。

③共感と信頼の構築
投資家は、信頼できる人物に投資したいと考えます。CEOが自社のビジョンを熱心に語り、その情熱を共有できるかが重要です。共感を通じて、投資家と起業家間に信頼関係が築かれることで、資金だけでなく、知識やネットワークの共有も促進されます。投資家は起業家が目標を達成するためのあきらめない力を会話の中で確認しています。

問題を解決するストーリーを構築する際には、「誰が」と「なぜ」から始め、「何を」で終えるとよいと著者は言います。まず、「誰が」問題を経験しているのかを明確にし、次に「なぜ」その問題が重要なのかを説明します。これにより聞き手は問題の背景と重要性を理解します。最後に「何を」つまりどのような解決策を提供するのかを示すことで、ストーリーが完結します。

投資家へのピッチでは、通常、CEOが1人で参加するとよいでしょう。これは、投資家が特にチームでの参加を求めない限り、CEOの人柄とプレゼンテーションに焦点を当てるためです。複数の人が同席すると、話の焦点がずれる可能性があります。また、無言で同席すると、「その人は何をしに来たのか」という疑問が投げかけられることがあります。このアプローチは、ストーリーの効果を最大限に引き出し、投資家に強い印象を与えるためのものです。

投資家が以下のような行動を示した場合、その投資案件に興味を持っていると見ることができます。
① 投資契約について話を持ちかける。
投資家が契約の詳細について話を始めた場合、その案件に真剣に興味を持っている証拠です。

②他の関心者について尋ねる。
他にどの投資家がこの案件を検討しているのかを質問することは、競合他社の動向や市場の関心の高さを評価していることを示します。

③既存の投資家や資本政策について尋ねる。
既に投資している人々や、会社の資本構造(株の所有割合や希薄化など)について質問するのは、リスク評価と投資前の情報収集の一環です。

④プレゼンテーションの改善点についてアドバイスをくれる。
プレゼンの方法について具体的なフィードバックを提供するのは、プレゼンを他のファンドのメンバーに対しても行うことを望んでいるため、関心があることの強い指標です。

これらの兆候は、投資家が提案に関心を持っており、さらなる関与を考えていることを示しています。そのため、これらの質問や行動が見られたら、投資家との関係を深め、交渉を進める準備をする良い機会です。

以上のように、投資家が新たなスタートアップや起業家に投資を決める際は、事業計画だけでなく、その数字の背後にある「人間性」と「ストーリー」が非常に重要です。これは、単にビジネスの成功を超えた、より深い人間関係の構築を求める投資家の姿勢を反映しています。

投資家を選ぶ際には、困難な状況でも支援を提供し、一緒に問題を乗り越えてくれるようなパートナーを選ぶことが重要です。サポートが手厚い投資家がいれば、ビジネスが直面する障害や困難を乗り越えることが可能になります。投資家が事業の成長だけでなく、挑戦的な時期にも積極的に関与し、具体的な解決策や資源を提供する意欲があるかどうかを評価することが、良い関係を築く上での鍵となります。このような投資家を選ぶことで、長期的な成功と安定を目指すビジネスには不可欠です。



この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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