アメリカより、デンマークに住む方が幸せになれる理由。


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パンデミック後の世界 10の教訓
著者:ファリード・ザカリア
出版社:日本経済新聞出版

本書の要約

税負担を広く共有することで、デンマークは国民の団結力を高めています。貧困層を含む全員で政府のプログラムに貢献していると実感することで、誰もが政府のプログラムを支持します。コロナ・パンデミックで国民が苦しむ今こそ、各国政府は税金と支出の配分を見直し、北欧型のベストプラクティスを採用すべきです。

アメリカとデンマーク、どちらの国民が幸せなのか??

北欧諸国とアメリカを分ける違いとして、前者には高いレベルの総合課税と再分配がある。つまり、自由市場と自由貿易を通じて富を創出しやすいシステムを設計するだけでなく、国家がその富の大半を徴収して、国民に平等かつ豊富な機会を確保させる仕組みが作られている。(ファリード・ザカリア)

ファリード・ザカリアパンデミック後の世界 10の教訓書評を続けます。世界的コラムニストであるファリード・ザカリアは独自の視点で、アフターコロナ時代の10のヒントを私たちに提示してくれました。前回はLESSON2について書きましたが、今日はLESSON3の「市場原理だけではやっていけない」を取り上げます。アメリカとデンマークの政策を比較をしながら、資本主義の問題点を明らかにしたいと思います。(参考 善い政府がコロナを撃退するという記事

LESSON 1  シートベルトを締めよ
LESSON 2  重要なのは政府の「量」ではない、「質」だ
LESSON 3  市場原理だけではやっていけない
LESSON 4  人々は専門家の声を聞け、専門家は人々の声を聞け
LESSON 5  ライフ・イズ・デジタル
LESSON 6  アリストテレスの慧眼――人は社会的な動物である
LESSON 7  不平等は広がる
LESSON 8  グローバリゼーションは死んでいない
LESSON 9  二極化する世界
LESSON 10  徹底した現実主義者は、ときに理想主義者である

デンマークの税収は全体でGDPの45%を占めます。一方の、アメリカは24%です。デンマークでは富裕層に課税するだけでなく、他のヨーロッパ諸国と同じく、消費税(税率25%)から歳入の多くを得ています。アメリカの場合、各州の消費税の平均はわずか7%です。

ビールから卵からスマートフォンまであらゆるものにかかるデンマークの消費税は、逆進性があるため貧困層には不利になります。しかし、デンマーク政府は貧困層への支出を増やすことで、彼らをサポートします。政府の支出やプログラムが貧困層と下位中産階級に厚みを持たせています。

税負担を広く共有することで、デンマークは国民の団結力を高めています。貧困層を含む全員で政府のプログラムに貢献していると実感することで、誰もが政府のプログラムを支持します。

アメリカに住むか?デンマークに住むか?

平均的な中間所得層は、アメリカに住むのとデンマークに住むのは、どちらがよいのでしょうか?デンマークに住んだ場合、所得税を引いて各種給付金を加えたあとの可処分所得は、アメリカに住んだ場合と比べておよそ1万5000ドル少なくなります。

しかし、高い税金の見返りに、国民皆保険(アメリカよりも優れたもの)と、最高の大学院までカバーする教育費無料制度と、GDP比で見ればアメリカの17倍もの金額を国家が投じる職業訓練プログラム、それから高品質なインフラ、公共交通機関、たくさんの美しい公園などの公共スペースを享受できます。さらに、デンマーク人はアメリカ人よりも年間550時間も長い余暇を楽しめます。

この選択を反対から問われたら、アメリカに住んだ場合、収入は1万5000ドル多くなります。一見、収入は多くなりますが、労働時間は長く、余暇は短く、医療と教育と職業訓練と交通費を自力で賄わなければなりません。おそらくほとんどのアメリカ人がデンマーク・モデルを選ぶはずです。私も幸福度の高いデンマークを選びますし、多くの日本人も日本の税金・社会負担の重さとリターンの少なさを認識すれば、同じ選択をすることでしょう。

アメリカや日本では、教育費が年々削減され、親や学生の負担が大きくなっています。教育費の負担が高まる中、進学を諦めなければいけない家庭が増えています。これでは、子供たちの才能を開花させられません。

重要なのは、世界的な競争と技術革新の波に立ち向かわねばならない国民が、丸腰にならないようにすることだ。ふさわしい道具を持ち、スキルを身につけ、そしてセーフティネットがあれば、人々は才能を開花させていける。世界に対して開かれた国家のまま、そうした備えを国民のために整えることによって、デンマークのような北欧諸国はダイナミックで、民主的で、安全で、そして公正な社会としてやっていく道を見つけている。市場は確かに絶大なパワーを持っているが、それだけでは十分ではないこと、支柱と緩衝材と補給が必要であることを、こうした国々は理解しているのだ。

今回のコロナ禍で貧富の格差は拡大し、公平性が様々な分野で失われています。パンデミックへの不安と保護貿易主義という、現在の新しいトレンドが、人口減少や景気の「長期停滞」など、根深い構造的変化を生み出しています。

この現状を打破するために、各国の政府は正しい税政策をとらなければなりません。資本家を優遇するのをやめ、弱者に再配分し、国民の底上げをはかるべきです。各国の政府は科学とテクノロジーに投資を行うのと同時に、教育と職業訓練にさらなる資本を投じ、最高の教育を提供することで、国民の力を引き出せます。

デンマークなど北欧が見つけたベストプラクティスを、各国政府は自国の現実に合わせて、取り入れていかねばならないと著者は指摘します。国家がその富の大半を徴収して、国民に平等かつ豊富な機会を確保させる仕組みをつくることで、国民の不安を取り除き、結果、幸福度をアップできるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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