サリム・イスマイルの シンギュラリティ大学が教える シリコンバレー式イノベーション・ワークブックの書評


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シンギュラリティ大学が教える シリコンバレー式イノベーション・ワークブック
著者: サリム・イスマイル、フランシスコ・パラオ、ミシェル・ラピエール
出版:日経BP

本書の要約

ExO(飛躍的企業)にはMTPとSCALLEとIDEASの11の特徴があります。最も重要な特徴がMTPで、野心的な変革目標を明確にすることで、組織は前向きな変化に駆り立てられます。MTPを明確にし、今ある未使用な資源である「SCALE」を「IDEAS」を使ってマネージメントすることで、私たちは飛躍的な企業をつくれます。

ExO(飛躍型企業)の11の特徴

次世代の企業は、単に利益を得るために商品やサービスを提供することに注力するのではなく、世界によい影響をもたらすという目標を根底に持って活助している。実際、今日におけるもっとも大きなビジネスチャンスは、世界が直面するもっとも大きな課題の解決方法を探るなかで見つけられる。MTP(Massive Transformation Purpose、野心的な変革目標)には、企業の野心、核となる存在意義が反映され、あなたが「短期間では無理でもいつか世界に起こしたい」と思っている変化がはっきりと示される。MTPは、行動を促し、情熱を表現し、あなたと他者を有意義で前向きな変化に駆り立てる感情的なつながりを作る。(サリム・イスマイル)

ExO(飛躍型企業)という言葉が起業家の中で話題になっています。ExO(飛躍的企業・Exponendal Organization)とは、加速度的に進化する技術に基づく新しい組織運営の方法を駆使し、競合他社と比べて非常に大きい(少なくとも10倍以上の)価値や影響を生み出せる企業です。

サリム・イスマイルは、ExOを最初に世の中に紹介した書籍のシンギュラリティ大学が教える飛躍する方法の著者で、かつてはヤフーのバイスプレジデントを務めていました。これまで7つの企業の立ち上げもしくは育成で成功をおさめています。彼は「シンギュラリティ大学」の創業ディレクターもあり、そこでも多くの起業家を育てています。

そのサリムがExOのワークブックシンギュラリティ大学が教える シリコンバレー式イノベーション・ワークブックを出版しました。起業家や経営者は、本書に書かれている10週間のプログラムである「ExOスプリント」のノウハウを活用することで、事業を加速し、世界をよりよいものに変えられます。

ExOにはMTPとSCALLEとIDEASの11の特徴があります。(イラスト引用 サリム・イスマイルの記事

1、MTP(Massive Transformation Purpose、野心的な変革目標)
最も重要な特徴がMTPで、企業の目標を明確にすることで、前向きな変化に駆り立てられます。
■目標がある
■豊富な資源と結びついている
■大規模
■変化を起こす
■世の中の様子を描いている
■簡潔
■人の心を動かす
■野心的
■有益

2、SCALE
S(Staff on Demand):オンデマンド型の人材調達
C(Community & Crowd):コミュニティとクラウド
A(Algorithms):アルゴリズム
L(Leveraged assets):外部資産の活用
E(Engagement):エンゲージメント(社会的関心)
SCALEとう外側に向けた特徴を実践すれば、企業は世界中な豊富な資源にアクセスできます。

3、IDEAS
I(Interface):インターフェース
D(Dashboard):ダッシュボード
E(Experimentation):実験
A(Autonomy):自立型組織
S(Social Technologies)
:ソーシャル技術
IDEASという内側に向けた特徴を実践すれば、企業は豊富な資源をマネージメントできるようになります。

MTPこそがExOの根幹

どんな企業もExOになりたければMTPを決定することから始めなければならない。MTPが決まれば、それが組織の足並みをそろえ、方向性が共有されているという感覚をもたらし、目標違成のために必要な人材を呼び込んでくれる。

飛躍的に進歩するテクノロジーは資源を豊富にします。そしてExOは、その豊富な資源と結びつくようにできています。MTPを定めることは、自分の会社と豊富さの関係について考えるよい機会を与えてくれます。豊富さとは、大量のリソースのことでもいいですし、あなたの会社が与えうる多大な影響のことでもいいのです。

たとえば、GoogleのMTPである「世界中の情報を整理する」は、ますますあふれるようになっている情級をマネジメントすることに結びつきます。

MTPは簡単に伝えられ、他者の共感を呼ぶような価値を示したものでなければならない。

MTPを形にするとき、始めのうちは会社の意図(何を実現したいか)と、実際のフレーズとを分けて考えるとよいと言います。MTPは最初こそ「ばかげたアイデア」ですが、あとから組織を団結させる原動力になることもあります。アーリーアダプター(自分と同じ情熱を侍った人々)にMTPの案を話して、そのMTPを目の前に掲げられることがどれぐらい効果的かを確認すべきです。

●アーリーアダプターにとって有意義だろうか?
●説明や前後関係がなくてもわかりやすいだろうか?
●興味や興奮、意欲を引き起こすだろうか?

最終的な目標は、そのMTPか新しいコミュニティを牽引していけるか?既存のコミュニティから受け入れられるか?の2つを見極めることです。

MTPを作るための3つのアプローチ
1、5回のなぜアプローチ なぜこの会社は存在しているのですか?から深掘りする
2、オープンディスカッション・アプローチ 世の中にどんな変化が起きて欲しいか?からアプローチ
3、ストーリーテリング・アプローチ 自分の会社を鼓舞するものの裏側のストーリーを考える

以下、ExOを実現している組織のMTPをピックアップします。結果を出している組織を参考に、自社のMTPを考えてみましょう。
・シンギュラリティ大学 10億人の人々によい影響を与える
・Spotify みんなに音楽を
・フィリップス 世界をもっと健康に
・TEDx 広めるべき価値あるアイデアを共有する
・ヴァージン・ギャランティック 地球に生きるもののために、宇宙へのアクセスを大衆化する
・テスラ 持続可能なエネルギーへ世界のシフトを加速する
・イケア 人々により快適な毎日を
・ユニリーバ サスティナビリティを暮らしの当たり前に
・スターバックス 人々の心を豊かで活力あるもにする

今日はMTPを中心に紹介しましたが、このMTPを明確にし、今ある未使用な資源である「SCALE」を「IDEAS」を使ってマネージメントすることで、私たちは飛躍的な企業をつくれます。本書で紹介されているExOスプリントは、その効果が実際に証明された10週間のプログラムです。

サリムのテンプレートとフレームワークを活用し、ExOスプリント実践することで、ビジネスで結果を出せるようになります。私も自分のクライアントで、何度も本書のフレームワークを使用し、経営者のマインドと行動を変えてきました。MTPをつくることで、見える景色が変わり、やるべきことが見えてくるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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