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社長の危機突破力
著者:三條慶八
出版社:かんき出版
本書の要約
会社を承継する選択肢は、(1)親族内承継、(2)従業員等への承継、(3)M&Aの3つがあります。社長の健康寿命が伸びる中で、事業承継のタイミングが遅れがちですが、これは後々リスクになります。会社の価値が毀損する前に、次の経営者に事業を任せることを早めに決断しましょう。
事業承継の3つの方法
どんなに元気でも、頭もしっかりしているつもりでも、残念ながら、老いには勝てないもの。体力、気力、知力……は60代近くなると徐々にピークダウンしていきます。 さらに、50代ごろから人は自分を変えることができにくくなり、新しい発想にはついていけないことが増えていきます。(三條慶八)
この数年、中小企業の後継者問題が話題になっています。寿命が伸びる中、経営者の高齢化が進んでいますが、事業承継のタイミングを間違えると、会社や取引先だけでなく、大切な家族もトラブルに巻き込むことになります。
AIなどのテクノロジーが進化する中で、高齢者がそういった技術をキャッチアップすることが難しくなっています。技術が加速度的に進化していく現在においては、新たなテクノロジーやサービスを利用しないことが、取引先との関係を劣化させます。
自分の会社を今後も世のために役立たせたいのなら、50代後半から後継者を育てることを意識すべきだと経営コンサルタントの三條慶八氏は指摘します。事業を承継するためには、数年間のバトンタッチの期間が必要になります。
現代の経営では、後継者を育てることが、社長のもっとも大切な仕事であると言っても過言ではありません。 自分の生涯をかけて育ててきた大事な会社であるならば、自分の能力がピークにあるうちに、後継者に事業をバトンタッチすべきでしょう。
70歳を超えてなお、社長を続けることは、マイナスこそあれ、プラスはあまりないと著者は言います。
しかし、実際の社長の意識や行動は異なります。アクサ生命の「社長さん白書 2020」によると事業承継を予定している時期は、「70歳~79歳」の回答が最多(39.8%)。次いで、「65歳~69歳」が27.5%、「60歳~64歳」が12.7%になっています。ここまで事業承継を先延ばしにすると会社の価値を毀損する恐れがあります。社長と取引先が高齢化する前に、事業承継を考えるようにしましょう。
親族内承継で経営者が注意すべきこと
会社を承継する選択肢は、(1)親族内承継、(2)従業員等への承継、(3)M&A
親族に経営を継ぐ際にもなるべく実権を早めに手放すようにしましょう。 中小企業の社長、特に創業社長は、やっと社長を息子などの後継者に譲ったものの、自分は代表権をもつ会長になるケースが少なくありません。人生100年時代、健康寿命も長くなり、第一線から退こうとしない会長が増えています。そうなると会社を承継した、たとえば親族は、けっこうな年齢になっても会長の補佐役を務めているだけで、実力がつきません。後継者に実力をつけさせ、周りに認めてもらうために、なるべき早く経営を任せるようにしましょう。
そのためには、後継者に失敗体験を積ませるようにすべきです。
「社長が元気な間にできるだけたくさん、失敗させるほうがいいですよ。いえ、失敗させるべきです」と失敗体験を積ませることをすすめています。こうして、創業し、今日まで会社を大きくしてきた父親を超える実力をつけさせないかぎり、周囲も社員も息子を認めないでしょう。銀行の支援も得られないはずです。
社長交代の大前提は、後継者に早くから失敗体験をたくさん積ませて、経営者として鍛えておくことだと三條氏は言います。
また、後継社長となった親族側も、長年、会社に命をかけてきた前社長への配慮を怠ってはいけません。あえて経 営上の相談を持ち掛け、意見を取り入れるなど前社長への心遣いを行うことで、経営を軌道に乗せられます、頭では、引退すべきだとわかっていても、 実際に社長の座を去るのは寂しいものだと考え、前経営者への配慮を忘れないようにしましょう。 前社長、現社長の仲がうまくいっていれば、社員も安心して働けます。従業員が力を出せるようにすることで、取引先や金融機関との関係もよい状態を保てます。
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