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サクセスフル・エイジング 老いない人生の作り方
著者:ダニエル・J・レヴィティン
出版社:アルク
本書の要約
孤独が多くの病気の原因になることがわかっています。高齢者の孤独を軽減することで、健康寿命を伸ばせます。そのために、高齢者はコミュニティに所属し、つながりを強化する必要があります。著者は健康的な生活を習慣にし、感謝の気持ちを表現することで、孤独を軽減できると言います。
孤独が病の原因になる?
数多くの日本の高齢者が社会的に孤立しています。多くの人は、他人に迷惑をかけまい、負担になるまいとして、何も言いません。しかし、何歳の時でも、健康な脳を維持するために最も重要なのは、さまざまな経験を持つ人やさまざまな年齢の人と出会うことなのです。若者は高齢者と一緒にいる時間を増やすべきですし、その逆も同じです。そして、高齢者の皆さんは、コミュニティーの中で、あるいはSNSを通じて若い人たちに接触し、新たなつながりを築くとよいでしょう。(ダニエル・J・レヴィティン)
神経科学者・認知心理学者のダニエル・J・レヴィティンは、4000以上の科学論文・記事と、豊富な事例、経験談をもとに、老化の原因や、認知症、うつのメカニズム、食事、睡眠、運動、人間関係などの効果を明らかにしました。人生100年時代を生きる私たちは、著者のアドバイスに従うことで、「老いない人生」を作れるようになります。
最近の研究で、高齢者の孤独が病の原因になることが明らかになりました。孤独は様々な病気を引き起こし、死亡を早めてしまうのです。
孤独は早期死亡率と関係があります。心血管疾患、パーソナリティー障害、精神病、認知機能の低下など、思いつく限りのあらゆる医学的問題と孤独との関わりが示されてきました。孤独はアルツハイマー病を発症する可能性を倍増させます。
孤独はストレスホルモンも増加させ、関節炎、糖尿病、認知症などの原因になります。炎症を引き起こし、インターロイキン6(IL6)などの炎症性サイトカインを増加させ、新しいニューロンの成長に対する運動の有益な効果を打ち消すこともわかっています。
孤独は1日に15本タバコを吸うよりも、健康に良くないと言います。慢性的に孤独な状態が続くと、今後7年間の死亡リスクを30%上昇させます。 社会的孤立や孤独感は、遺伝子を変えることさえあります。社会的孤立、孤独、うつ病は遺伝子発現に影響を与え、脳内の炎症の増加や抗ウイルス性インターフェロンの産生を低下させてしまいます。
感謝が孤独を軽減してくれる?
では、孤独を軽減させるために、私たちは何をすればよいのでしょうか?睡眠、食事、身体活動などの生活習慣をコントロールすることと、感謝の気持ちなどの肯定的な感情を表現するとよいと著者は言います。
感謝の気持ちは、重要であるにもかかわらずしばしば見過ごされる、感情と心の状態です。感謝の気持ちは、人生に関する悪いことではなく良いことの方に私たちを注目させ、私たちの見通しをポジティブな方向にシフトします。
実際、ポジティブ心理学の研究者たちは、感謝の気持ちを表す人々は幸福感が高いことを発見しました。
また、宗教を信じる人々は無宗教の人々、よりも幸せであることも明らかになりました。研究によると、宗教を信じる人々がより幸せを感じる理由は、宗教が祈りを通じて感謝の気持ちを高め、目的意識と意義と社会的つながりを強化してくれるからです。
カナダ老化縦断研究所によると、75歳以上の女性の30%が孤独であると言います。この問題を「世代間住宅」が解決することがわかっています。オンタリオ州ロンドンの「世代間住宅」では、大学生が高齢者のそばで暮らし、お互いを助け合っています。
安全で手頃な価格の住宅を必要としている学生と、交友を必要としている地元の高齢者を高齢者住宅がつないでいます。英語力を向上させたい留学生たちは会話を練習できる機会から利益を得、高齢者たちは家事を手伝ってもらうことで利益を得ます。学生と高齢者の両方が、社会的孤立の解消とコミュニティーを共有する感覚から利益を得ています。
社会との関わりは脳の機能を維持し、認知機能の低下を防ぐのに役立ちます。大きな社会的ネットワークを持ち、日常的により多くの人と接すると認知症を防ぐ効果があるのですから、何歳になってもコミュニティに所属し、つながりを強化する必要があります。健康的な生活を習慣にし、感謝の気持ちを表現するようにしましょう。
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