プリヤ・パーカーの最高の集い方 記憶に残る体験をデザインするの書評


Music photo created by wirestock – www.freepik.com

最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする
著者:プリヤ・パーカー
出版社:プレジデント社

本書の要約

イベントや会合に共感と秩序をつくることで、参加者のつながりは強化できます。主催者が参加者同士をつなげ、メンバー同士が心を開くことで、よい集まりがデザインできるようになります。会社や家庭以外のサードプレイスをつくり、そのコミュニティをワクワクなものにすることで、人生をより豊かなものに変えられます。

イベントや会合の目的を深掘りしよう!

組織でも同様だ。慣習的な集まりは、はじめから慣習だったわけではない。人々が集まるそもそもの目的は、何らかの問題を解決するためだったはずだ。(プリヤ・パーカー)

イベントを行う際には、「なぜ人を集めたいのか」を考えた人がよい結果を得られるとプロフェッショナルファシリテーターで、戦略アドバイザーとして活躍するプリヤ・パーカーは指摘します。彼女は世界経済フォーラムのグローバルアジェンダ委員会のメンバーで、TEDのメインステージのスピーカーでもあります。

現在、開催されている多くのイベントは、何年も繰り返して行われるうちに、決まった形式ができあがり、形骸化していきます。型通りにやることで安心感が生まれ、その型を守ることで、イベントは徐々に常識的になっていきます。時代が変化し、目的に合わなくなっても、主催者が同じ型にこだわり続けることで、やがてイベントは古臭いものになってしまいます。

ニューヨークタイムズは、紙の新聞が時代遅れになる中で、会議をデジタル時代にフィットさせるために、長年続いた伝統的な型を変えることを決断します。メンバーを入れ替えたり、会議の場所。時間帯、役割を変えることで、生き生きとした情報交換が行われるようになり、デジタル時代に適応した新生ニューヨークタイムズが生まれました。古い型を壊すことで、時代の変化に追いつけるようになります。

レッドフック・コミュニティ司法センターでは、ただ犯罪者を罰するのではなく、被告、判事、弁護士、事務官、社会福祉士、地域住民など、関係者全員を巻き込んで、行動を改善することとを裁判の目的に変えました。問題解決の手法をセンターで扱う事件にあてはめ、新たな法廷デザインを取り入れることで、エリアの犯罪を減らすことに成功します。

レッドフックの実験的な法廷は、まったく違う雰囲気が生み出されるようにデザインされています。廃校を再利用した法廷は、コミュニティの真ん中にあり、部屋には窓から陽が注ぎ、明るい色の木が使われ、判事席のレイアウトも従来のものとは異なります。

判事席は目の高さのところにあり、法廷に入ってくる被告と親密な関係が築けるようになっています。判事は被告を物理的にも心理的にも見下していないことが周囲にも見てとれるんです。(アマンダ・バーマン)

裁判官は犯罪者一人ひとりに時間を割いて言葉をかけ、被告が判事席に近づくと握手で迎え入れると言います。裁判官だけでなく、コミュニティのメンバーや警察官が被告人を支援することで、彼らは立ち直りのきっかけを得ます。第三者評価機関によると、成人の再犯率は10パーセント減り、少年の再犯率は20パーセント減ったと言います。

この取り組みが成功したのは、センターの企画者たちが「何のためにここに集まるのか」という、大きな目的を探り当てたからです。コミュニティの問題をみんなで一緒に解決することが、彼らの目的でした。そして、その目的に合うような仕組みをつくることで、エリアの犯罪を減らせたのです。

会合の目的を深掘りすることで、集まるメンバーを明確にでき、話し合う内容やコンテンツをよりよいものに変えられます。「集い方」をデザインすることで、地域の犯罪すら減らせるようになるのです。

イベントを企画する際に意識したい6つのルール

「なぜ」と問い続けることで、心のなかを深掘りして気づいたことが、会合をデザインするときの役に立つ。社会があなたの集まりに何をしてくれるかではなく、あなたの集まりが社会に何をできるかを考えよう。

「なぜ集まるのか」を深く考えることで、イベントや会合の質が高まります。集まりを企画するときは、結果から逆算し、イベントや会合のストーリーを考えるようにしましょう。目的を決めて、その目的に心からコミットすることで、やらないこととやるべきことが明確になります。

招待者を選ぶ際にも、目的に沿った人たちを選ぶようにします。「どなたでも歓迎」という態度は、招く側が会合の目的を自覚しておらず、招待客に何を持ち帰ってもらいたいか、ということにも無自覚であることを示しています。会合の目的に合わない人は排除するくらいの覚悟を持つことで、その会合がうまくいくようになります。

メキシコのイスタパで開催される「オポチューニティ・コラボレーション会議」には、貧困問題に取り組む人々がより効果的に貧困と闘えるような環境を整えるという目的があります。そのためには、お互いが打ち解け、協力し、何よりも対等になることが必要だと会議の主催者は感じていました。

貧困と闘うさまざまなグループをすべて対等な立場に立たせて、民主的にお互いの意見に耳を傾ければ、貧困対策の仕組みを変えることができると考え、会合のコンセプトを「平等」にし、集まりを民主的に運営しました。マウンティングのない、上下関係を意識しないイベントを実施するために、名札には組織名を入れず、苗字も目立たなくすることで、コミュニティを一体化させました。資金の提供者と資金を受ける側、お互いが本心を曝け出すことで、お互いの気持ちが理解できるようになったのです。

主催者は参加者がイベントを楽しめるように、つながりを生み出す必要があります。TEDを運営す るクリス・アンダーソンは、バンクーバーでの大規模なカンファレンスの数週間前に、ニューヨークに住む講演者を集めて夕食を共にしました。イベント前に、参加者はつながりを強化でき、共通の目標を確認し、同志になったのです。この夕食会のおかげで、人までプレゼンするという辛く苦しい旅が少しだけ楽になり、講演者のあいだに親密な絆が生まれました。

イベントのプロのノラ・アバウステイトは、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)のためのディナーを企画した友人に向けて、イベントを成功させるための6つのルールをメッセージしました。このルールはイベントを企画する際に役立ちます。

1、ボスはあなた。
ルールがある方がパーティーは盛り上がります。自分に主導権があると考え、メンバーが楽しめるルールを作りましょう。

2、ゲスト同士を紹介すること。
たくさんの人をつなぐこと。ここに時間を使うことが重要。

3、気前よく。
食事もワインもふんだんに振る舞うこと。ゲストを紹介するときには、これでもかというくらいに褒めまくること。着席前にカクテルの時間を設ける場合には、軽食を準備してゲストの小腹と心を満たすこと。

4、あらかじめ席順を決めておく。
違うことをしている人や、補完的な特徴のある人たちを隣同士にします。または、共通点がある人を隣同士にしてもよいでしょう。同じことに情熱を注いでいたり、珍しい趣味が一致する人を隣同士すると効果的です。主催者は、お互いの共通点を教えることで、場を盛り上げられます。

5、それぞれのテーブルで自己紹介をする。
自己紹介は簡潔に。名前、好きなもの、好きなこと。または週末にやっていることや、その集まりに関係することにとどめます。

6、デザートが出たら席を変わってもよいが、何らかのルールを決めておくとよいでしょう。

イベントや会合に共感と秩序をつくることで、参加者のつながりは強化できます。主催者が参加者同士をつなげ、メンバー同士が心を開くことで、よい集まりがデザインできるようになります。会社や家庭以外のサードプレイスをつくり、そのコミュニティをワクワクなものにすることで、人生をより豊かなものに変えられます。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
ブログ
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
起業家・経営者のためのビジネス書評ブログ!
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました