成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略
ブリアンナ・ウィースト
かんき出版
成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略 (ブリアンナ・ウィースト)の要約
ブリアンナ・ウィーストは「人生を変えるには、まず思考を変えることが必要だ」と語ります。 不安や問題は障害ではなく、成長への扉です。そして快楽・慈悲・卓越という幸せの三原色がそろってこそ、人は本当に満たされます。 幸せとは特別な瞬間ではなく、日々の小さな選択とルーティンの積み重ねから生まれるのです。
本当の幸せとは何か?
本当の成功とは、その過程でどこまで成長できたかということだ。(ブリアンナ・ウィースト)
私たちが「今の世界」を築き上げることができたのは、存在しないものを想像する力──すなわち「思考」の力があったからです。 言語を駆使し、自らの内側に仮想の未来を描き、それを現実にする。人類の進化は、その繰り返しでした。
多くの偉人たちが「思考が現実をつくる」と語るのは偶然ではありません。 人生を変えたいなら、まずは思考を変える必要がある。これは、単なるポジティブシンキングではなく、行動と選択を変えるための出発点です。 けれど、思考を変えることは簡単ではありません。 なぜならそこには、見えない感情のバリアが存在するからです。
未知への不安、変化への恐れ、自己防衛としての自己破壊的な習慣。 これらはすべて、私たちの無意識の中に静かに潜んでいます。 著述家・詩人のブリアンナ・ウィーストの成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略は、こうした私たちの内面に丁寧に向き合い、深い気づきを与えてくれます。(ブリアンナ・ウィーストの関連記事)
本書に収録されている101の戦略は、どれも短くシンプルな言葉でありながら、私たちの思考と行動を確実に変える力を持っています。 変化とは、何か特別なものを得ることではありません。大きな出来事が人生を一変させるわけでもないのです。
むしろ、日々の「在り方」が少しずつ変わっていくことで、私たちは気づかぬうちに別人のような視点と思考で世界を見られるようになっていきます。 その小さな積み重ねが、本当の意味での変化を生み出すと著者は述べています。
そして、多くの場合、その変化の入口には「問題」があります。私たちは、問題にぶつかると「これは邪魔だ」「目標達成を阻むものだ」と捉えがちですが、実はその問題こそが、新しい道への扉なのです。
ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは、「行動を妨げるものが行動を促進する。道を阻むものが道になる」との名言を残しています。 何かに行き詰まったとき、私たちは必然的に思考を見直し、行動を起こし、選択を変えることになります。
つまり問題とは、現状を揺さぶり、私たちを快適な場所から外へ連れ出し、成長のステージへと導いてくれる触媒のような存在なのです。 大切なのは、感情に流されて止まってしまうのではなく、不快な感情をむしろヒントとして行動を続けること。 それが、変化を本物のものにしていきます。
元ミズーリ州知事のエリック・グライテンズは、幸せには大きく分けて3つの種類があると語っています。 快楽の幸せ、慈悲の幸せ、そして卓越の幸せです。
快楽の幸せとは、五感を通じて得られる一時的な喜び。美味しい食事や心地よい眠り、楽しい時間がこれにあたります。 慈悲の幸せは、感謝やつながりによって生まれるもの。誰かと心を通わせる瞬間、自分の持っているものに「ありがとう」と言える感情です。
そして、もっとも深く、持続するのが卓越の幸せです。これは、自分の可能性を追求し、目標に向かって努力しているときに得られる感覚です。
山の頂上に登って勝利を宣言するよりも、その山を登る過程にこそ意味があると著者は指摘します。 この登り続けるプロセスの中で、自分のアイデンティティが形づくられ、人生に揺るがない軸が生まれていきます。本当の成功とは、結果ではなく、その過程で自分がどれだけ成長できたかということなのです。
一方で、快楽ばかりを追い求めていると、心のどこかに空白が生まれてしまいます。 実際、私自身も20年前までは、お酒に依存する生活を送っていました。 その頃の私は、目の前の気持ちよさを優先し、人生の目的や意味からは目を背けていました。 飲んでいるときだけは楽になれる気がしていた。
でも、どれだけ飲んでも、心の空洞が埋まることはありませんでした。 どんなに赤い絵の具を塗り重ねても、それが青になることはありません。 それと同じように、快楽だけでは本質的な満足や安定にはたどり着けないのです。
断酒してから、私はようやく「卓越の幸せ」に触れられるようになりました。 明確なビジョンを描き、自分の目標に向かって努力する中で、静かだけれど確かな満足感を感じるようになったのです。 この幸せには、自分が少しずつでも成長しているという実感があり、人生にブレない軸を与えてくれます。
マズローの欲求5段階説でも、卓越の幸せは最上位に位置づけられています。 すぐに消えてしまうような快楽とは違い、この幸せは長く続き、心の土台になってくれるのです。 だからこそ、人は恐れながらも、そこに向かって歩みを進めるべきなのです。 快楽を手放し、自分の可能性と真剣に向き合うこと。それが、自分らしく生きるための確かな一歩になります。
幸せとは、単に五感を満たすことではありません。 「こんなふうに生きたい」と思っていた自分に、少しずつ近づいていく。その過程で感じる静かな自信と心の充足感。 それこそが、本物の幸せなのです。 そして、その状態に導いてくれるのは、思考の変化であり、日々の行動の積み重ねです。幸せの三原色が揃うことで私たちは幸せになれるのです。
いちばん大切なのは、自分が幸せになれることをすることだ。
幸せは他人が決めるものではなく、自分の選択でつくるものです。 特別な出来事を待つ必要はありません。幸せは常に、目の前にあります。 変えるべきは環境や他人ではなく、自分自身です。
本質は、夢を叶えることではなく、一日の小さな瞬間をどう生きるかにあります。 その積み重ねが、本当の幸せを形づくるのです。 私も「今」に集中することで、より確かな幸福を実感できるようになりました。
意図的なルーティンが重要な理由
人が不安になるのは何もしていないときだ。努力を避けていると、心のなかで恐怖と抵抗がますます大きくなる。たいていのことは、自分で勝手に想像しているほど恐ろしくない。
人は、大きな目標を前にすると不安を感じてしまうものです。 「もし失敗したらどうしよう」「周囲にどう思われるか」──行動を起こす前は、まだ起きていないことを勝手に想像し、不安を大きく膨らませてしまいます。 しかし実際には、多くのことは思っているほど恐ろしくありません。
一歩踏み出してみると、状況は驚くほどシンプルに進み始めることが多いのです。 努力や挑戦は、本来楽しいものです。そこには自分を表現するチャンスがあり、行動によって得られるリターンも大きい。
だからこそ私たちの内側には、「動きたい」という衝動が常に存在しているのです。 最初の一歩は、小さくてかまいません。何かを始めることで、眠っていた感覚が呼び起こされていきます。
実際に動いてみると、ただ頭の中で考えているよりも、何倍も気分が良くなるものです。 新しい考え方を得るには、まず行動すること。そのほうが、ただ考えているよりもよほど簡単で、建設的です。 今日、小さな行動をひとつ起こすだけで、流れが変わります。
その動きが、やがてあなたの中に眠っていた「もっと大きな可能性」を呼び覚まし、今いる場所の外へと導いてくれるはずです。 そして、その力に私たちはもっと感謝してもいいのかもしれません。
ブリアンナ・ウィーストも本書の中で、「自分で毎日のルーティンを決めると心が安定する」と語っています。 私もこの言葉に強く共感しています。
2010年にこのブログを始めたとき、毎日更新することは決して簡単ではありませんでした。 けれど、試行錯誤を重ねながら毎朝書き続けることを日課にしたことで、少しずつ思考が整い、自分自身への信頼が育っていきました。 気がつけば、その習慣は仕事のパフォーマンスにも好影響を与えていたのです。
成功している人や一芸に秀でたプロフェッショナルたちには、ひとつの共通点があります。 それは「ルーティンを大切にしている」ということです。才能や環境の差以上に、毎日同じことを淡々と積み重ねる力こそが、彼らを成功に導いているのです。
大切なのは「型」ではなく「意味」だと著者は述べています。毎日同じ場所で働くことだけがルーティンではありません。毎月新しい場所を訪れることも、あえて習慣を崩すことも、それが意図的であればルーティンになり得ます。
本質は「自分で選んだことを意識的に繰り返す」という経験です。 その積み重ねが「決めたことを実行できた」という実感を生み、潜在意識に安心と安定をもたらします。 ルーティンの目的は気分を整えることにあります。気分が安定すれば、性格に関わらず思考や行動が落ち着きます。 一方で、その場の衝動に任せてばかりいると、望まない結果を繰り返すことになってしまいます。
だからこそ、「今日という一日を自分でデザインすること」が大切なのです。 小さな習慣、小さな一歩、小さな挑戦。その積み重ねが、やがて揺るぎない自信となり、人生の軸を育てていきます。
私自身も、毎朝ブログを書くというルーティンを通じて、著者や読者とつながり、思考を整え、幸福感を深めることができました。 幸せは遠い未来に待っているものではありません。幸せは、いま目の前の行動の中に宿っています。 そしてその事実に気づけたとき、私たちは本当に自由になれるのだと思います。
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