聞き出せる人が、うまくいく。(荒木俊哉)の書評 コピーライターが教える「聞き出す力」で相手の本音を引き出す方法


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書籍:聞き出せる人が、うまくいく。
著者:荒木俊哉
出版社:祥伝社
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30秒でわかる本書のポイント

【結論】 うまくいかない原因は、「聞けていない」からではありません。「聞き出せていない」からです。聞く姿勢を変えることで、ビジネスは鵜なく行きます。
【原因】 会議での表面的な返答、不明確なクライアントの要望、部下との事務的な1on1——これらはすべて、相手がまだ言語化できていない本音を引き出せていないことが原因です。傾聴や共感のスキルだけでは、この壁を越えることはできません。
【対策】 電通コピーライターとして国内外20以上のアワードを受賞した荒木俊哉氏が、長年の現場で磨いてきた「聞き出す力」のメソッドを体系化。「2つの問いの基本」「5つのルール」「4つのメソッド」を実践することで、相手の頭のなかにある答えを共に言語化していくコミュニケーションが実現します。

本書の要約

「聞き出す」とは、相手がまだ言葉にできていない思いや考えを、対話を通じて共に言語化していく行為です。電通コピーライターとして100以上のプロジェクトを手がけてきた著者・荒木俊哉氏は、仕事の出発点は「書く」ことではなく「聞き出す」ことにあると断言します。傾聴や共感のマニュアルではなく、相手の頭のなかにある答えを一緒に形にしていく「共に言語化する」という能動的なアプローチこそが、コミュニケーションの質を根本から変える。それが本書の核心です。

こんな人におすすめ

・会議でメンバーから表面的な返答しか返ってこないと感じているリーダー
・クライアントの要望がぼんやりしていて、提案の方向性が定まらないと悩むビジネスパーソン
・1on1で部下と話しても、事務的なやりとりで終わってしまうマネジャー
・「聞く力」を鍛えたいが、傾聴研修では物足りなさを感じている方

本書から得られるメリット

・「いい質問」と「面倒な質問」の違いを理解し、相手の思考を前進させる問いかけができます
・「フォーユー」と「フォーミー」の質問を使い分け、対話の深さを根本から変えられます
・安心して話せる場をつくる5つのルールで、相手が本音を話せる環境を設計できます
・会議・クライアントワーク・1on1・面接など、あらゆるビジネスシーンで即実践できます

コミュニケーション力を高めたければ、聞き出す力を身につけよう!

相手の言葉の奥にある、まだ言葉になっていない思いや考えを なんとか引き出そうとします。そこに、一番大事なものが隠れていると知っているからです。 私の仕事における「聞く」という行為は、 相手の話に共感したり、気持ちを受け止めることではありません。 相手が言語化する前の思考をつかまえることです。(荒木俊哉)

ミーティングで社内メンバーに意見を求めても、返ってくるのは表面的な答えばかり。クライアントの要望がぼんやりしていて、提案の方向性がなかなか定まらない。1on1で部下と話しても、事務的なやりとりで終わってしまう――。 こうした悩みの原因は、じつは「聞き方」にあるのかもしれません。

相手の言葉を受け止めるだけでなく、まだ言語化されていない本音や思いを引き出す「聞き出す力」を身につけると、コミュニケーションの質は大きく変わります。

本書は、そのための実践的なメソッドを、シンプルかつ具体的に提示してくれる一冊です。 聞き出せる人が、うまくいく。荒木俊哉氏は、電通のコピーライターとして100以上のプロジェクトを手がけ、Cannes LionsとThe One Showのダブル入賞をはじめ、国内外で20以上のアワードを獲得してきた言葉のプロフェッショナルです。

前著『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』は15万部超のベストセラーとなり、多くのビジネスパーソンに支持されてきました。本書はその「言語化」シリーズの最新刊であり、著者が長年の現場で磨いてきたコミュニケーション術が紹介されています。

荒木氏は、コピーライターの仕事のスタート地点は「書く」ことではなく「聞く」ことにあると断言します。 「書くためにまずは聞く」――これが著者が見つけた真実です。

本書の肝は、「聞き出す」という行為の再定義にあります。ここで言う「聞き出す」は、単なるヒアリングや傾聴ではありません。相手の頭のなかにある、まだ輪郭の定まっていない思いや考えを、対話を通じて一緒に言語化していくこと。つまり、共に言語化するというクリエイティブなプロセスです。

答えは、クライアントのなかにある。 しかし、理路整然と言語化された状態で答えが用意されているケースは、ほとんどありません。 ……そこでコピーライターは、それらのイメージを引っ張り出して言葉で整理していくために、あらゆる角度から、あらゆる聞き方で、「聞く」という行為を繰り返していきます。

クライアントの頭の中には「こうしたい」「こうなったらいい」という断片的なイメージや感覚、過去の経験からくる好みや違和感が確かに存在します。ただ、それらは言葉として整理されておらず、優先順位もついていない。だからこそ、聞かれても「なんとなく」「いい感じに」「もう少し違う」といった、曖昧な表現になって表に出てきます。

ここで必要なのは、クライアントから完成された答えを受け取ることではありません。むしろ、断片のまま散らばっているイメージを、対話の中で拾い集め、輪郭を与え、言葉として並べ直していくことです。

コピーライターはそのために、あらゆる角度から問いを置きます。背景を尋ね、前提を確かめ、具体例を引き出し、言葉の選択に含まれたニュアンスを掘り下げる。同じテーマでも聞き方を変えながら、「聞く」という行為を繰り返していきます。

大事なのは、クライアントが“答えを持っていない”のではなく、“答えが未整理な状態で眠っている”と捉えることです。つまり、「相手は考えていない」のではなく、「考えはあるが、言葉になっていない」。

この前提に立つだけで、問いの設計が大きく変わります。抽象的な希望から問うのではなく、具体的な出来事や判断の基準、過去の成功・失敗の体験などを質問することで、相手の頭の中の解像度を高められます。

聞き出すためには、2つの問いの力が欠かせない!

相手が言葉にできていない思いを想像し、問いかけや相槌によってその思いを掘り起こし、掘り起こした内容を整理しながら話を進めていける。これこそが真に実践的な「仕事的コミュ力」です。

この「仕事的コミュ力」を支える能力は、次の3つに整理できます。
1つ目は、相手の思いを推察する想像力です。
2つ目は、相手の言葉を掘り下げていく質問力です。
3つ目は、話の内容を整理し、筋道を立てる構成力です。

そして著者は、正しいヒアリングによって「この人になら話したい」と思われる関係をつくれれば、相手は自然に心を開いてくれると指摘します。こうした関係を構築できる人こそ、「仕事的コミュ力」が高い人だというわけです。

本書はマインドセットを掲げるだけで終わりません。行動に落とせる形で、技術が体系化されています。

問いの基本は以下の2つを意識することです。
①「いい質問」と「面倒な質問」の違いを知る
まずは質問の質です。著者は、「相手が答えやすく、思考が前に進む問いかけ」をいい質問と位置づけます。逆に、答えづらい抽象質問から入ると、対話は止まりやすくなります。そこで有効なのが、感情や結論を急がず、出来事から聞いていく問いの立て方です。

②「フォーユー」の意識を持つ
もう一つの軸が、「フォーユー」と「フォーミー」です。 自分が知りたい情報を得るためのフォーミー(For Me)ではなく、相手の思考を助けるフォーユー(For You)の問いになっているか。 問いは情報収集ではなく、相手の思考を前に進めるための道具だ、という立て付けです。

・安心して話せる場をつくる5つのルール
テクニック以前に重要なのが心理的安全性です。本音を引き出すには、相手に「この人になら話しても大丈夫だ」と思ってもらう必要があります。本書では、その土台として次の5つが挙げられます。
①相手の発言を100パーセント受け入れる
②会話の中で「でも」を使わない
③共感も納得もできないときは、発言に至ったプロセスを探る
④会話中は相手の片目を見る(メモに意識を奪われず、視線を保てます)
⑤相手の好きなところを一つ見つける

特に「でも」を封印するのは効きます。逆接は、こちらの意図以上に「否定」として伝わりやすいからです。

ここからは深掘りの技術です。著者が強調するのは、相手の中にある未整理の言葉を、対話で引き上げていくための設計です。
・まず出来事から聞いていく(経験の再現)
・必ず追い聞きする(相手のストーリーを聞き出す)
・自分が傷つくことを恐れない(「正直に」をキーワードに問いをデザインする 【例】正直なところ、どうお考えですか?)
・相手が無言になる時間を歓迎する(沈黙は言語化の途中と捉える)
沈黙を「失敗」ではなく「思考が進んでいる時間」と見なせるかどうかが、対話の深さを分けます。 

本書の強みは、理論ではなく「現場で使える形」に落ちていることです。会議、クライアントワーク、1on1、面接、テキストコミュニケーションまで、場面ごとに「聞き出し」の勘所が示されています。

たとえばチャットツールでは、語尾に「…」を付けて打診してみるなど、強く断定しすぎない姿勢が功を奏する場面もあるといいます。

総じて本書は、「聞き出す力」とは単なる情報収集ではなく、相手への敬意と関心を土台に、共に言語化し、信頼をつくるスキルなのだと教えてくれます。

コンサルタント 徳本昌大のView

私はコンサルタントとして多くの経営者やビジネスパーソンと対話する機会がありますが、優れた成果を生み出す人に共通するのは、相手の話をただ「聞く」だけでなく、相手自身がまだ気づいていない課題や可能性を聞き出す力を持っていることです。

荒木氏が本書で提唱する「聞き出す力」は、まさにこの能力に焦点を当てたものであり、コンサルティングの現場でも極めて重要なスキルです。

とりわけ印象的なのは、「フォーユー」と「フォーミー」の質問の区別です。 コンサルティングの場面でも、自分が欲しい情報を引き出すためだけの質問と、相手の思考を整理するために問いかける質問では、そこから生まれる対話の深さがまったく異なります。

本書が傾聴や共感のマニュアルではなく、相手と「共に言語化していく」能動的な行為として聞き出しを捉えている点に深く共感します。

また、5つのルールが「安心して話せる場づくり」として位置づけられている点も見逃せません。「でも」を使わずに受け入れること、沈黙を歓迎することは、心理的安全性を高める具体的な行動指針そのものです。

テクニックの前に場をつくるという順序は、あらゆる対人コミュニケーションにおいて応用できる普遍的な原則だと感じます。 言語化シリーズの集大成ともいえる本書は、相手との関係性を深め、ビジネスの質を変えたいと考えるすべてのリーダーにおすすめの一冊です。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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