アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術(五藤隆介)の書評

person writing on brown wooden table near white ceramic mug

アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術
五藤隆介
Kindle

アトミック・シンキングの要約

アトミック・シンキングは、情報を細かく分割し、デジタルノートに保存することで、思考をより活発にする方法です。この手法により、自分の考えや知識を明確に表示して、いつでも手軽に参照できます。また、情報間のリンク作成により、関連する内容を掛け合わせることで新たなアイデアの生成を促進します。

書きながら・考え・理解するアトミック・シンキングとは?

書くことを通じて、今の自分がわかること、わからないことを整理していきます。書いて考えるという行為は、頭の中だけで「考える」ことと違い、自分が書いたものを「見ながら」考えることが出来るようになります。頭の中だけで考えるということと、考えを書き出して「見ながら」考えることの違いは、おそらくみなさんが想像されるよりもはるかに大きなものです。(五藤隆介)

アトミック・シンキングは、「書いて覚えておく」ことではなく「書きながら考える・理解する」ことを重視します。アトミック・シンキングは、日常生活の中で溢れる情報やアイデアを効果的に整理し、新しい発想を導き出すための強力なツールとして位置づけられます。

アトミック・シンキングの真髄は、「書き出して考える」ことの力にあります。単にメモを取ることとは異なり、このアプローチは思考のプロセス自体を強化するものとしています。

私たちの頭の中の「第1の脳」は確かに強力であり、瞬時に複数の情報を処理する能力がありますが、情報過多の時代においては、すべての情報を頼りにしているわけにはいきません。ここで「第2の脳」の重要性が高まってきます。

「第2の脳」とは、外部化された知識の保管庫であり、具体的にはデジタルノートやノートブックのようなものを指します。これにより、ワーキングメモリの限界を超えて、多くの情報やアイデアを効果的に組み合わせ、新しい発想や知識を生成することが可能となります。

かつて流行した「第2の脳」の目的は「すべてを覚えておく」ことでしたが、本書で考える「第2の脳」はすべてを覚えておくことが目的ではなく、考える能力を拡張することが目的です。コンピュータ用語でたとえるならば、本書で目指す第2の脳は「記憶の保管庫」としてのストレージではなく「思考の範囲を拡張する」ためのメモリというイメージです。

アトミック・シンキングが推奨するリンク型のデジタルノートは、一つの情報やアイデアが他の情報やアイデアとどのように関連しているのかを視覚的に示すことができます。これにより、従来の一方的なメモ取りから、情報を動的に結びつけ、深層的に理解することが促進されます。

アトミック・シンキングは、現代の情報爆発の中での知識の管理と理解の深化を助ける新しいアプローチです。私たちの思考を外部にストックし、可視化することで、いつでも情報を使えるようになります。リンクが情報と情報の結び付けを強化し、アイデアの生成を促進してくれます。

アトミック・シンキングでアイデアを生み出す方法

どんなにがんばっても今の自分の能力以上のものは書けません。だからこそ、何回も書いて、少しずつ自分の能力を上げていくしかありません。何度も素振りを繰り返してバッティングの上達を目指すように、自分の考えも表現も、何度も繰り返して書いていくことで考えが整理され、よりよい文章としてまとまっていきます。

日常的に文章を書く習慣は、ただのライティングスキルの向上だけでなく、深い思考の強化をもたらします。文章を書く行為は、脳内の情報を整理し、自らの考えを明確にし、そして他者に対して自分の考えを伝えるための道具としての役割を果たします。

実際に、文章を通じて自分の考えを組み立てることで、より論理的かつ明瞭に思考する能力が高まるのです。このスキルは、ビジネスや人間関係においても非常に役立ちます。自分の考えや知識を正確に表現することで、他者とのコミュニケーションもスムーズになるのです。

また、知識を深化させ、そのエッセンスを理解するためには、新しい情報を探求し、それを自身の言葉で表現することが不可欠です。この行為は、情報を頭の中で整理し、それを長期記憶に留める助けとなります。さらに、その過程で意外な気づきや新しい視点を得ることも少なくありません。

アトミック・シンキングは、そうした知識の細分化と統合をサポートする素晴らしい方法論です。まるで情報の荒波に身を投じる際のライフジャケットのように、私たちを支えてくれるツールと言えるでしょう。この手法により、情報を「アトム」として扱い、それぞれの情報を独立した単位として整理・連携することが可能となります。

私自身、日々の読書を通して得た知識やインサイトを、このブログにアーカイブとして残しています。各記事に著者名、書名、そしてキーワードをタグとして割り当てることで、後から容易に関連情報を引き出すことができるようになりました。そして、これらの「アトム」を組み合わせることで、新たなアイデアや視点が生まれくるようになったのです。

考えることと書くことを習慣化し、それをアトミック・シンキングで掛け合わせることは、自分自身の成長や新しい発見の道を開く鍵となります。日常の中で、少しの時間を割いても良いので、自分の思考を整理し、書き出してみましょう。それが、私たちの可能性を広げる第一歩となるのです。本書を活用し、アトミック・シンキングを実践しましょう。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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