アイデアは交差点から生まれるの書評 頭の中にピーターズ・カフェを作り出せ! #習慣化

アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方(フランス・ヨハンソン著)は、最近読んだ書籍で最も面白い一冊でした。
成功は“ランダム”にやってくる!の著者の作品ですから、即買いしたのですが
この選択は間違っていませんでした。

この本はアゾーレス諸島の「ピーターズ・カフェ」の説明から始まります。
世界中の船乗りが集まるピーターズ・カフェは、ランダムな会話が飛び交う場で
一つの会話が別の会話に発展するアイデアの連結点だと言われています。

実は<ピーターズ・カフェ>のような場所がもうひとつある。だが、それはアゾーレス諸島ではなく、私たちの頭のなかにある。それは異なる文化、領域、学問が一ヵ所に収敏する場所だ。そこでは既存の概念がぶつかり合い、融合して、最終的にいくつもの新しい画期的なアイデアを生み出す。異なる分野が出会う場所、それを私は「交差点」と呼ぶ。そして、そこで目を見張るような革新が次々と生まれることを「メディチ・エフェクト」と呼ぶ。

15世紀のフィレンツェではメディチ家が幅広い文化人や芸術家を保護することで
多種多様な人が集結し、新しいアイデアを次々に生み出していったのです。
私たちはこの「メディチ・エフェクト」を自ら作り出せるのです。

そのためには、私たちは異なる専門分野や文化が相互に出会う場の
メディチ家の交差点を探さなければなりません。

では、どうやったらその出会いを探せるのでしょうか?

本書アイデアは交差点から生まれるにはそのヒントが満載です。
過去のケーススタディからクリエイティビティをどう生み出すかを
著者のランス・ヨハンソンは徹底的に解明してくれます。

ブラウン大学の脳科学のドナヒュー教授の
つながりに関するケーススタディーは、特に参考になりました。
このプログラムには脳科学以外の多くの研究者が集います。
以下アイデアは交差点から生まれるから引用します。

今日、同大学の脳科学プログラム(責任者はジョン・ドナヒュー)は、認知科学、神経科学、コンピュータ科学、生物学、医学、心理学、精神医学、物理学、数学の研究者で構成されている。ドナヒューもクーパーも、画期的なアイデアを生み出してさらなる発見を可能にするためには、これらの多様な分野が交差する場に踏み込むことが必須だと考えている。「たとえば廊下でたまたま統計学者に出会い、話しているうちに自分が解決できなくて困っていた問題が解決してしまうということがある」と、ドナヒューは言う。いつ興味深いことが起きるかは誰にもわからないが、互いに意見交換しつづけていれば、いつかはその時がくることを研究者たちは知っているのだ。

互いに意見交換できる多様性を私たちは準備しておくべきなのです。
未来のために人的ネットワークを作っておくことが
イノベーションには欠かせません。
また、イノベーションは社会から評価されないと意味がありません。
iPhoneも人々に使われたからこそ、イノベーティブだったのです。

心理学者で創造性に関する研究の第一人者でもあるミハイ・チクセントミハイは、こう言う。「ある思考が新しいかどうかは、何らかの基準に照らさなければわからないし、それが価値あるものかどうかは、社会的評価を得るまで明らかにならない」。したがってある製品がイノベーティブかどうかを見きわめるには、それが実際に人びとの目にふれ、使われ、評価されなければならないのである。

iPhoneが多くのデバイスの組み合わせだったように
イノベーティブなアイデアもある分野と他の分野の概念の結合なのです。
ですから、多様なネットワークが求められ、それこそがピーターズ・カフェなのです。

個人であれ、チームや組織であれ、交差点に踏み込んだ者は、ある分野の概念と別の分野の概念とを関連づけ、結合させる。するとその場はバーチャルな〈ピーターズ・カフェ〉となり、まったく異なるアイデア同士がぶつかり合い、互いを土台にし新たなものを生み出すのだ。

 

特に15章の「交差点に踏み込め」では、この本のエッセンスがまとめられています。
アイデア作成のための以下の3つの行動ルールを忘れないようにしたいものです。
■未来は交差点にある→交差点を目指せ 
■予期せぬことを予期せよ→交差点はいたるところにある 
■交差点にも論理はある→だがそれは必ずしも単純明快ではない 思いきって跳べ 

特にここでのコーニング社のエチェベリアの言葉に惹きつけられました。

コーニングの研究者にはゴッホのような創造性をもって、ミケランジェロのような人生を送ってほしいと思っている。

自分の頭の中で、どう多様性を持ち続け、クリエイティビティを発揮できるのかを
忘れないようにするためにこの言葉を大切にしたいと思います。

また、エチェベリアは著者の質問に以下のように答えています。

未知の領域に踏み込んで新しいものを創造するようにメンバーを励ますのに、どんな言葉をかけるのかと質問すると、こう答えが返ってきた。「自分の心に従いなさいって言いますね。心の命じるままにやりなさい。興味のあること、それをやれば元気が出ることをやりなさいと。なぜって、情熱があってこそ創造性が生まれるんだから」

情熱こそが創造性を生むのであれば、やりたいことをやることが正しいですね。
心の命じるままに、直感的に動くことが大事な理由がよくわかりました。 

誰でも交差点に到達できる以上、メディチ・エフェクトは誰にでも起こすことができる。たしかにオープンな姿勢と、自分の専門以外の分野へ飛び込む積極性をもつ人のほうが有利だし、壁を取り払うことができて、たとえ失敗してもやる気を失わない人のほうに強みがある。けれども、それは誰にでもできることだ。ほとんどの人間は、自らの生い立ちや経歴から生まれる異なるアイデアや概念を結びつけたいと願っている。それなら、積極的にその結びつきを探そうではないか?私はこの本の執筆にあたって、自分の興味のある分野で働きながら、同時にほかの分野への興味を口にする人に数多く出会った。「違う分野をつなぎ合わせ、結びつける方法が見つかれば、何かわくわくするようなこと、新しいことがやれそうな気がする」と彼らは言う。そう、そのとおりなのだ。

違う分野の人間と交流し、アイデアを結びつける工夫が本当に大事ですね。
アイデアは交差点から生まれるから生まれるはお薦めの一冊です。

今日も読んでいただき、ありがとうございます!
  
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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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