勝者の科学 一流になる人とチームの法則(マシュー・サイド)の書評

Muhamad Ali painting

勝者の科学 一流になる人とチームの法則
マシュー・サイド
ディスカヴァー・トゥエンティワン

勝者の科学 一流になる人とチームの法則(マシュー・サイド)の要約

マシュー・サイドはスポーツで成功するためには、圧倒的な努力と優秀なサポートチームが欠かせないと言います。確かに、大きな成功は個人の力だけでは難しく、真の成功には、周囲のサポートと協力が不可欠です。一人で頂点を目指すより、チームで登る方が賢明なのです。この原則は、人生やビジネスにも適用できます。

勝者になるために私たちがスポーツから学べること

スポーツはもっと昔からあり、人間の真髄に関わるものなのだ。(マシュー・サイド)

スポーツジャーナリストとして名を馳せるマシュー・サイドが、成功の本質に迫る画期的な著書を世に送り出しました。本書は、単なる成功哲学の本ではありません。サイドは自身の経験と膨大な取材、そして科学的な研究結果を織り交ぜながら、成功の真髄に迫る壮大な探求の旅に読者を誘います。(マシュー・サイドの関連記事

サイドは若き日、イングランドで卓球チャンピオンの座を射止めた経験を持ちます。しかし、彼はその成功を単なる個人の才能や努力の結果とは考えていません。地元のクラブ「キングフィッシャー」での練習環境、ボランティアによる運営、そして仲間との切磋琢磨—これらの要素が彼の成功を支えた「目に見えない」要因だったと振り返ります。

本書では、努力の重要性が繰り返し強調されます。サイドは、才能は確かに重要だが、それだけでは不十分であり、継続的な努力こそが成功の鍵だと主張します。テニスの4大大会で14度の優勝を誇るピート・サンプラスは平静を保つために1万時間の法則が効果を発揮したと著者のインタビューに答えています。

大事なのは、子どものときの反復練習、身につけた優れたテクニック、すべてのコンディションが整っていること、自信、そして筋肉に刻まれた記憶ですね。つまり1万時間の積み重ねです。(ピート・サンプラス)

練習は単なる時間の量だけでなく、その質にも注目すべきだと説きます。彼らは最高の自分になるためのトレーニングを追求しています。

また、著者の視点は個人の努力にとどまりません。著者は、成功には多くの助けが必要であると説いています。確かに、一人の力だけで大きな成功を掴むことは極めて困難です。周囲のサポートや協力なしには、真の成功は望めないのです。

一流のスポーツ選手の競争においては、優秀な選手が一人いるだけでは、チームの勝利には結びつきません。チーム全体の連携やサポートがあってこそ、初めて勝利という成功を手にすることができるのです。 個人競技においても状況は同じです。アスリートの背後には、常に献身的なコーチやサポーター、そして家族の存在があります。彼らの支えがなければ、トップレベルの成績を残すことは難しいでしょう。

本書が教えてくれるのは、成功するためには孤立を避け、周囲とのつながりや協力関係を築くことの重要性です。一流になるための法則を示すだけでなく、成功には他者との良好な関係性やサポートが欠かせないことを強調しています。 つまり、成功への道のりは決して孤独な旅ではありません。

むしろ、多くの人々との協力や支援の上に成り立つものなのです。優れた個人の力は確かに重要ですが、それだけでは不十分です。周囲との協力関係を築き、支援を受け入れる姿勢が、真の成功への鍵となるのです。

チームメンバーが自由に意見を述べ、失敗を恐れずにリスクを取ることができる環境が、イノベーションと高いパフォーマンスをもたらすという著者の主張は、現代のビジネス環境にも大いに当てはまるでしょう。 

サッカー・ウェールズの監督であったクリス・コールマンは、失敗を恐れるのではなく、失敗を楽しむべきだと言います。積極的に小さな失敗を取り入れることで大きな失敗を防ぎ、同時に学習と改善の機会を増やすというものです。この斬新なアプローチは、従来の「失敗は避けるべきもの」という考え方を覆すものです。

このアプローチは、特に不確実性の高い環境において有効だとされています。起業家は予測が難しい状況下で、小さな失敗を通じて学ぶことで、より大きな失敗を防ぎ、同時にチームや組織の適応力と革新性を高める可能性があります。 

サッカーのペナルティーキックでは、選手のマインドセットが非常に重要だと言われています。実際、パフォーマンスをする際に過度な考えが逆効果になることもあります。試合中に選手が過剰に考え込んでしまうと、緊張が高まり、正確なシュートが打てなくなる可能性があります。そのため、本番の瞬間には選手は冷静な状態を保つことが重要です。

スポーツとイノベーションの関係

ロジャー・フェデラーの美しさ、ラファエル・ナダルの力強さ、ノバク・ジョコビッチの不屈さに心を動かされる。この3人のライバル関係は(最近ではそこにアンディ・マリーも加わったが)、競争がいかにしてイノベーションを生み出すかということに関する、唯一無二の知見を与えてくれる。それは競争者同士が互いを高みへと挑発するなかで生まれる、終わりなき上昇のスパイラルだ。

スポーツは今や、単なる文化現象を超えた新たな時代の幕開けを迎えています。最先端の工学、医学、テクノロジーと密接に結びつき、ビジネスや商業におけるイノベーションを牽引する存在となっています。同時に、それらの分野からも多大な影響を受けており、スポーツと科学の強力な相互作用が顕著になってきています。 この「わずかな差」を追求する姿勢は、人間の可能性に対する私たちの認識を徐々に塗り替えています。

スポーツの世界では、この進化論的な真理が如実に示されます。例えば、テニス界を見ると、フェデラー、ナダル、ジョコビッチという三巨頭の存在が互いを高め合い、想像を超える高みへと押し上げてきました。彼らはプレーすることを報酬にモチベーションを高めながら、選手寿命を伸ばし、私たちを楽しませてくれています。

彼らがコート上で繰り広げられる対決は、競争の一側面に過ぎません。テクノロジー、統計学、トレーニング法、栄養管理、柔軟性、スタミナなど、外からは見えない要素においても、選手たちは互いに競い合っています。世界四大大会は、こうしたさまざまな戦略の頂上決戦といえるでしょう。それは単に個人の技量だけでなく、直近の対戦結果を踏まえて進化を遂げたチーム全体の哲学がぶつかり合う壮大な戦いなのです。

このようなスポーツの進化は、人類の潜在能力を引き出し、私たちの限界に対する認識を常に更新し続けています。スポーツは今や、人間の可能性を探求する最前線として、科学やテクノロジーと共に歩みを進めているのです。

スポーツ選手(あるいはミュージシャンでもいい)が最高のパフォーマンスをしているとき、意識的な心はとても静かで落ち着いていることが多い。その代わりに、何年もの練習によりつくられてきた潜在意識の能力がフルに発揮されているのだ。そこでは膨大な量の情報が処理され、大いに労力が使われているが、すべては意識の及ぼない領域で起こっている。

偉大な人たちの驚異的なパフォーマンスの裏には、意識と潜在意識の絶妙な連携があります。彼らは長年の訓練を通じて、意識的な思考と無意識の反応を高度に統合し、瞬時の状況判断と精密な身体制御を可能にしています。 この能力は、日々の練習と経験の積み重ねによって培われます。

サッカー選手は類稀な状況把握をしながら、プレーを続けています。彼らはアーティストのように空間と時間を認識し、ボールを受け取る前から次の動きを決めているのです。メッシやイニエスタのプレーを見ると彼らの凄みを実感できます。

偉大なスポーツ選手たちは、相手の細かな動きや合図から次の行動を予測する驚くべき能力を持っています。この「先読み」の力は、競技での成功に欠かせない要素です。 選手たちは、相手の姿勢やボディーランゲージの微細な変化を常に観察しています。これにより、相手が実際に動く前にその意図を察知し、適切な対応を準備できます。

この能力は、まるで早期警戒システムのように機能し、選手に時間的な優位性をもたらします。 実際の時間は変わらなくても、相手の動きを予測できることで、選手は心理的に「時間がいくらでもある」ような感覚を得られます。これにより、より効果的な戦略を立て、試合を有利に進めることができるのです。

この「読む」能力は、長年の練習と経験によって磨かれます。優れた選手は、直感的な判断と論理的な分析を組み合わせ、過去の経験や知識を活かしながら、瞬時に的確な予測を行います。 このように、相手の動きを先読みする能力は、スポーツの世界で成功するための重要なスキルです。それは単なる身体能力だけでなく、洞察力、経験、そして瞬時の判断力が結集した結果なのです。

実際、イニエスタはクワイエット・マインドを身につけ、マインドフルな状態を保ちながら、質の高いプレーを行なっていると著者は指摘します。私たち一人一人も、日常生活の中で意識的に行動し、経験を積み重ねることで、自分の能力を高めることができるのです。


信じた時にしか奇跡は起こらない!

信じたときにしか、奇跡は起こらない。

心理学者のシェリー・テイラー博士の研究によると、日常的な課題に直面した際、自分の能力を非現実的なまでに高く評価する人々が、より優れたパフォーマンスを発揮する傾向にあるそうです。言い換えれば、自分は奇跡を起こせると信じている人のほうが、課題をより速く、より効率的に達成できるのです。

この現象の背景には、自己信頼がパフォーマンスを強化するメカニズムがあると考えられています。自分の能力を信じることで、困難な状況でも積極的に取り組む姿勢が生まれ、結果として高い成果につながるのでしょう。 一方で、課題の難しさを現実的に捉える人々は、異なる結果に直面することが多いようです。彼らは同じ課題に取り組む際、より時間がかかり、集中力も持続しにくい傾向にあります。最悪の場合、途中で諦めてしまうこともあるそうです。

このような研究結果は、楽観的な思考の重要性を示唆しています。単に前向きに考えるだけでなく、自分の能力を信じ、高い目標を設定することが、実際の成果につながる可能性があるのです。

UEFAチャンピオンズリーグ決勝、マンチェスター・ユナイテッドFCとFCバイエルン・ミュンヘンの対戦は、サッカーファンの記憶に深く刻まれる劇的な試合となりました。 試合終盤、ユナイテッドは0-1で追いつめられていましたが、驚異的な展開が待っていました。後半ロスタイムに2ゴールを決め、劇的な逆転勝利を収めたのです。 この勝利は偶然ではありませんでした。

ユナイテッドは以前から「諦めない精神」を持っていました。準決勝でのユベントスFCへの逆転勝利、10人で戦い抜いたFAカップ準決勝再試合でのアーセナルFCとの激闘など、困難を乗り越えてきた経験が彼らを強くしていたのです。

アレックス・ファーガソン監督の「諦めるときは死ぬとき」という言葉に象徴されるように、最後まで諦めない姿勢がチームのDNAとなっていました。一部の選手はユースアカデミーの頃からこのマインドセットを身につけていたと言います。

この決勝戦で見せた粘り強さとチームワークは、ユナイテッドの選手たちが持つ「信じる力」を如実に示しました。彼らは自分たちの能力を信じ、チームを信じ、そして奇跡を信じていたのです。「魂のチームワーク」がある組織が奇跡を起こせるのです。

自分の感覚というエビデンスを受け入れることを盲目的に拒否し、表面的な合理性を頑なに無視することで、奇跡が現実になる。これはテクノロジー、民主主義、新大陸の征服、そして文明そのものにも当てはまるのだ。そこで起こったあらゆる奇跡のためには、本質的に常軌を逸した状態、つまり理性ある多数派が袖の下でくすくす笑っているなかで目標に向かって努力し続けようとする意志が必要だった。

私たちは日々、合理的な思考や客観的な証拠に基づいて判断を下すことの重要性を教えられています。しかし、時として自分の感覚や直感を信じ、一見非合理的に見える道を進むことが、驚くべき結果をもたらすことがあります。

歴史を振り返ると、テクノロジーの進歩、民主主義の発展、新大陸の発見など、人類の偉大な成果の多くは、当時の「常識」や「合理性」に反する行動から生まれました。これらの奇跡的な出来事の背後には、周囲の懐疑的な目線や批判にもかかわらず、自らの信念を貫き通した個人や集団の存在がありました。

特にスポーツの世界では、この真理が鮮明に表れます。一見不可能と思われる大逆転や記録更新が私たちを魅了するのは、それらが人間の潜在能力と不屈の精神を体現しているからです。諦めずに努力を続ける選手たちの姿は、私たちに勇気と希望を与えてくれます。

自己肯定感や自己受容の観点から考えると、自分の内なる声に耳を傾けることの重要性が浮かび上がります。社会の期待や既存の枠組みに縛られすぎず、時には直感や感性を大切にすることで、新たな可能性が開かれるかもしれません。 もちろん、これは盲目的に非合理的な行動をとるべきだという意味ではありません。

むしろ、合理的思考と直感的感覚のバランスを取ることが大切です。時には、周囲の反応を気にせず、自分の信念に従って行動する勇気が必要となるでしょう。

奇跡を現実のものとするためには、自分の感覚を信じ、諦めずに努力を続ける姿勢が不可欠だとスポーツは教えてくれます。それは、私たち一人一人の中に眠る可能性を引き出し、予想もしなかった成果をもたらす力となるのです。自分の内なる声に耳を傾け、時には「非合理」と思われる道を選ぶ勇気を持つこと。そこから、新たな発見や革新、そして私たち自身の成長が始まるのかもしれません。

ゾーンに入っている人は見ていて美しく感じる。サンプラスやロジャー・フェデラー、相手の拳を避けて華麗に舞う若きモハメド・アリがそうだ。

スポーツの世界において、個人の力を最大限に引き出す「フロー状態」は広く知られています。しかし、チームスポーツでは、それを超える「集合的なゾーン」という概念が注目されています。 個人のフロー状態は、作業に没頭し、感情が前向きになる状態を指します。

一方、集合的なゾーンは、チーム全体で起こるフロー状態のことです。この状態では、チームメンバーが一体となり、お互いの動きを予測し、完璧に調和します。特にサッカーなどのチームスポーツでは、この集合的なゾーンがチームの力を最大限に引き出し、勝利につながる重要な要素となります。 集合的なゾーンに入ると、選手たちは一つの意識でプレーしているかのように見えます。

しかし、この理想的な状態に到達するのは容易ではありません。そのためには、チームへの協力、メンバーへの共感、継続的な練習が欠かせません。さらに、良好なコミュニケーション、強いリーダーシップ、明確な目標設定も重要な要素です。チームメンバー間の信頼関係を築き、お互いを理解し、助け合いながら共通の目標に向かって進むことが、集合的なゾーンに到達するための鍵となります。

集合的なゾーンに入ることができれば、チームは最高の成績を出せるだけでなく、メンバー全員が成長できるという大きな利点があります。個々の選手の能力を超えた、チーム全体としての力を発揮できるのです。これは、単に個人の力を足し合わせた以上の相乗効果を生み出します。 この概念は、スポーツの世界だけにとどまりません。ビジネスや教育など、様々な組織においても応用可能です。チームとして一体感を持ち、メンバー全員が同じ方向を向いて協力し合う状態を作り出すことで、個人の力の総和以上の成果を生み出すことができます。

集合的なゾーンの重要性は、現代社会においてますます高まっています。複雑化する問題や課題に対して、個人の力だけでは対応しきれない場面が増えているからです。チームとして力を結集し、それぞれの長所を活かしながら、一つの目標に向かって進むことが求められています。

スポーツチームであれ、企業であれ、学校であれ、組織の成功は、この集合的なゾーンをいかに作り出し、維持できるかにかかっていると言えるでしょう。個人の能力を尊重しつつ、チームとしての一体感を醸成することが、これからの時代に求められる重要なスキルとなるのです。

優秀なスポーツ選手のビジョンが世の中に良い影響を及ぼす!

勝つのも大事ですが、自分のスタイルを持ち、 ほかの人の模範となり、尊敬される ことこそが、最も大きな恩恵なのです。(ヨハン・クライフ)

スポーツ界や経営の世界において、真のリーダーシップの本質は、単なる利益追求を超えた崇高な理念にあります。彼らが掲げる壮大なビジョンは、人々の心に火をつけ、社会に変革をもたらす原動力となるのです。

たとえば、ヨハン・クライフは、単に勝利を追求するだけでなく、美しいサッカーを通じて人々に喜びと感動を与えることを目指しました。彼の「トータルフットボール」の哲学は、サッカーの概念を根本から変え、今なお世界中のサッカーファンを魅了し続けています。

同様に、ビジネス界においても、真のビジョナリーは金銭的な成功以上のものを追求します。アップルのスティーブ・ジョブズは、テクノロジーを通じて人々の生活を豊かにし、世界を変えるという壮大な夢を持っていました。

彼がペプシの取締役だったジョン・スカリーを引き抜く時に 、「生砂糖水を売り続けたいか、それとも私と一緒に世界を変えたいか」と述べたエピソードは、彼の理念が単なる利益追求を超えたものであることを如実に物語っています。

こうしたリーダーたちの姿勢は、周囲の人々に強い影響を与えます。彼らの情熱と信念は、チームメンバーやファン、さらには社会全体を巻き込み、大きなムーブメントを生み出すのです。それは、単なる仕事や趣味を超えた、人生の意義や社会貢献への強い意識を呼び覚まします。 しかし、重要なのは、こうした高邁な理念を掲げつつも、現実的な経営面を疎かにしないことです。

真に優れたリーダーは、夢を追求しながらも、組織の健全な運営や公正な報酬体系の維持にも細心の注意を払います。この両立こそが、持続可能な成功と社会的影響力を生み出す鍵となるのです。 結局のところ、人々を心から動かし、長期的な成功を収めるのは、金銭的な報酬や短期的な利益ではありません。それは、より大きな目的、社会への貢献、そして人々の生活を豊かにするという崇高な理念なのです。

このような「パーパス」を持つリーダーたちは、結果として大きな経済的成功も収めることが多いのですが、それはあくまでも副産物に過ぎません。 真のリーダーシップとは、人々の心に火をつけ、共に大きな目標に向かって進むことを促す力です。それは、単なる指示や管理を超えた、人々の情熱と創造性を引き出し、社会に真の変革をもたらす力なのです。

人間の活動のなかで、スポーツほど正確に人間の本能をドラマ化するものはない。そこで表現される本能とは、勝利の追求、他人との比較、世界に挑む勇気、挑戦のなかで自分自身をより深く知りたいという思いである。

本書はスポーツを通して人間性の本質を探求する試みとして捉えることができます。著者のマシュー・サイドは、スポーツが人間の根源的な要素(ヒロイズム、ドラマ性、競争、、心理、倫理、卓越性の追求)を映し出す鏡であると論じています。スポーツは、単なる競技だけでなく、人間の深層心理や道徳にも影響を与える重要な要素であることを示唆しています。

作品には多様な英雄たちが登場し、彼らの強靭さと脆弱さが描写されています。完璧な人物は存在しませんが、彼らは自己鍛錬と社会への発信を通じて、時代を形作る役割を果たしました。スポーツが人間の成長や社会への貢献にどのような影響を与えるかを深く考察することが重要です。

著者はモハメド・アリを真の勝者として評価しています。アリはボクシングのみならず、ベトナム戦争での徴兵拒否など社会的メッセージを発信し、体制に立ち向かう姿勢を示しました。また、70年代にグローバルブランドになることで、スポーツとビジネスを繋げる役割を担いました。

彼の勇敢でイノベーティブな行動は、若い世代に勇気と希望を与え、変革のムーブメントのきっかけとなったのです。

彼は良心を持ったスポーツマンであり、さまざまな場面で自身を明に暗に失望させたアメリ力社会の不正義を正したいと考えていた人物だった。彼の人生からは、現代アメリカ史で最も変化に富んだ時代における精神の複雑さのみならず、小さな町に生まれた少年が大きな困難にもかかわらず「世界を揺るがした」物語の片鱗をうかがい知れる。アリは完壁な人間ではなく、欠点もあったが、勇敢で、とても美しかった。間違いなく、彼こそが真の勝者である。

著者の視点は、スポーツを単なる娯楽以上のものとして捉え、人間社会の縮図として分析します。同時に、スポーツの政治利用やドーピング問題など、ネガティブな側面にも目を向けることで、スポーツと人間社会の関係性をより多角的に分析しています。こうしたバランスの取れたアプローチにより、スポーツを通じて人間の本質に迫る著者の探求は、より説得力を増しています。

スポーツジャーナリストとしての専門性を基盤としつつ、人文科学的な視点を取り入れた著者のアプローチは、現代における知的冒険の一つの形を示していると言えるでしょう。読者は本書を通じて、スポーツの新たな見方を獲得すると同時に、人間社会や自己の本質についての洞察を得ることができるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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