企業が壁を乗り越えて、成功するための方法をヤン・カールソンから学ぶ。

従業員にも企業にも、あえてリスクにいどむ勇気が必要である。ビジネスの世界ではそうした跳躍を強制執行と呼ぶ。明確な戦略があれば、それだけ強制執行は容易になる。この時に問われるのは、向うみずに近い勇気と直観力である。勇気や直観力は習得できるものではないが、素質があれば伸ばすことができる。(ヤン・カールソン)


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直感と勇気を信じて、組織を強くしよう!

ヤン・カールソン真実の瞬間を再読しています。瀕死寸前のスカンジナビア航空を救ったヤン・カールソンの顧客志向に基づいた経営術は素晴らしく、本書から多くのことを学べます。洋の東西を問わず、企業が大きくなると積極的に社員が動かなくなります。経営者もベンチャーのようにリスクをとらなくなり、行動を先延ばししてしまうのです。商品やサービスが古くなることで、顧客に見捨てられ、最終的には競合にマーケットを奪われてしまうのです。

残念なことに、目立って直観や勇気、確信に欠ける経営幹部が多い。従来、階層的機構の企業は、経済、財務、その他の分野の高度な専門知識をもつ人材を経営幹部として任用してきた。そのような人々はきわめて聡明であるかもしれないが、意思決定者や実務家としては失格であることが多い。一つの問題に対し10の解決策を案出し、その中か一つを選ぼうとする矢先に、また、5つ新しい解決策を思いつく、といったタイプの人間である。考えることに没頭している間に、機会は失われてしまう。そしてまたまったく新しい問題に直面して、解決策を考えはじめる。彼らが次々と新しい代案を考え出すのは、じつは決断を避けるためではないかとさえ疑いたくなる。

アイデアばかりで行動しない企業は結果を残せません。決断を避ける組織には未来はないのです。スカンジナビア航空も大企業病に罹り、顧客の声を聞かない経営で売り上げを落としていました。

そんな状況下でヤン・カールソンは1981年にスカンジナビア航空のCEOに就任し、赤字で苦しんでいた同社をたったの1年で立て直してしまいます。彼は顧客本位の経営を行うことを決め、顧客の真実の声を聴くことでサービスを改善していきます。サービススタッフが顧客と実際に直接関わる時間はたったの15秒しかないことをヤンは突き止めました。顧客満足度を左右するのは直接スタッフと向き合っているたった15秒に凝縮されています。この真実の瞬間をよくすることを彼は意識し、スカンジナビア航空を顧客本位のエアーラインに変えてしまうのです。

顧客が真に求めているものを見極めれば、経営目標を立て、それを達成する戦略を策定することができる。経営目標は複雑である必要はない。しかし、どんな目標であれ、顧客本位のものでなければならないし、それを戦略と実績を評価する基準にすべきである。

顧客サービスを重視する中で、ヤンは次々に新たな施策を行います。ビジネスマンを意識した経営戦略を作成し、自分や部下の直感を信じてリスクを取り、顧客本位の経営を行うことで、数字を改善していったのです。ビジネスマンを重視すると決めることで団体客ではなく、ビジネスマンの利便性を追求します。メーカーが提案する新型機の購入をやめ、顧客が乗りたい飛行機を開発することにしたのです。乗客がくつろげる機内を作り、ビジネスマンが到着後仕事に専念するための環境を整えました。

高い運賃を払うビジネスマンのための運行スケジュールを組み立て、ニューヨーク・ストックホルムのノンストップ便を運行したり、東京便の時短を行います。ビジネスマンの出張を意識し、彼らの真実の瞬間を聞き出すことで、経営を復活させたのです。ビジネスマンのためにパッケージ客を捨てるというリスクをとったことで、収益を高めることに成功します。

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障害を乗り越えるために、壁をつきやぶろう!

そうした心理的障害を排除するのに有効なモットーがある。「壁を突き破れ」というのがそれだ。目標が達成不可能にみえても、それが確認されるまで投げ出してはならない。眼前に立ちはだかる障壁は、外見ほど強固なものではないかもしれない。石壁ではなく、難なく突き破れる紙に描かれた壁である可能性もある。

多くの人は障害があるとすぐに諦めてしまいます。できない理由を自ら考え、行動を先延ばししてしまうのです。私たちは自分の頭の中で失敗の理由を探し、ハードルをどんどん高くしてしまいます。しかし、ヤン・カールソンが言うように目の前の障壁は意外にたいしたことがないのです。行動を起こし、チャレンジするうちに目の前の壁を崩せるようになります。

考えすぎて、行動しないよりも、アイデアが浮かんだらすぐにアクションを起こしましょう。いくつかのアイデアを試すうちに、自分のスキルが高まったり、応援してくれる人が現れます。経営者や社員が規則に縛られずに積極的に動くことで、壁を乗り越える方法が見つかります。いつもとは違う方法を考え、行動するうちに結果を残せるようになるのです。

その際、上司は部下のやる気を引き出すために内面と外面からサポートすべきです。内面からの安心感は、大きな責任をともなう自負心から生まれますから、リーダーは部下の権限と責任を守る必要があります。職務は保障されているという安心感を現場の従業員が内面から引き出せるようにするのです。外面からの安心感は、企業の上層部が与えるようにしましょう。リーダーと管理者は、リスクに挑み、時には失敗を犯す従業員に、罰ではなく指針を与えるようにすべきです。部下が失敗した場合には、それを教材として利用するのです。上手く行った時には部下を褒めることで組織が強くなります。失敗した従業員を叱責するのではなく、別のアプローチを考えさせることで部下が成長するのです。

まとめ

強い組織を作るためには、部下がチャレンジする環境を整えなければなりません。顧客の「真実の瞬間」から課題を見つけ、それを改善することで売り上げをアップできるのです。顧客の声をしっかりと聞き、課題を解決する際に、アイデアばかりを作るのはやめましょう。良いアイデアが浮かんだらすぐに行動に移し、顧客からフィードバックを得るのです。顧客本位の経営を意識することで、売り上げをアップできるようになるのです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

      

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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