菅付雅信氏の物欲なき世界の書評

習慣化

もう欲しいモノは別にないような気がする。(ペトリ・ルーッカイネン)


photo credit: paval hadzinski Birdie Shop | 76. Workshop Birdie Party via photopin (license)

もう欲しいモノは特別ない。それは彼だけの実感ではないだろう。私自身がそうだし、多くの人がそう感じつつあるはずだ。食に関すること以外は、欲しいモノはもっと少なくていい、そう感じている人が多くなっている実感がある。ここではその状態を「物欲レス」と呼ぼう。そう思うようになってくると、いろいろな価値観が揺らいでくる。(菅付雅信)

以前から気になっていた菅付雅信氏の物欲なき世界を読んでみました!
多くの先進国の人たちは、物欲レスの状態に陥っています。
著者の菅付雅信氏は世界の消費の状況を取材し、物欲なき世界の実態を本書にまとめました。
20世紀は物欲の時代で、私もその中を生き抜いてきましたが
21世紀のトレンドは様変わりして、物欲レスにシフトしているようです。
若者たちは車を買わなくなり、モノを所有することに意味を見出さなくなっています。
そういった賢い消費者を相手にマーケターは今何をすべきなのでしょうか?
今日は、本書を参考に、東京の消費について考えてみたいと思います。

アメリカ同様ここ東京において、ライフスタイル消費がブームになっています。
私たちは商品そのものではなく、それにまつわるストーリーを消費しています。
マーケターは今はライフスタイル提案をしなければ、消費者からそっぽを向かれてしまいます。
ライフスタイルが巨大な消費ジャンルになることで、店づくりも変わってきています。

消費を牽引する雑誌業外でも変化が起こっています。
アメリアのトレンドを追い買えるように
日本においてもこの数年ライフスタイルマガジンが急増しています。
蔦屋書店の代官山には内外70のライフスタイルマガジンが置かれ
KINFOLK日本版などが特に人気になっています。
雑誌が売れなくなる中で、ライフスタイルマガジンという新たな商品が売れ始めています。
私たちはモノではなく、ライフスタイルという商品を消費しているのです。
KINFOLKは、写真集のような作りで、広告が一切ない雑誌で
食べ物を中心にライフスタイルを紹介しています。
コンピュータから離れ、友人や隣人たちとの結びつきを大事にすることが
KINFOLKのコンセプトになっています。
雑貨や食器などモノではなく、食事を通して人との関わり方にフォーカスしているのです。
この流れを受け、既存の雑誌もライフスタイル系にシフトしています。
ファッションや食の専門誌では、多くの読者をつかめなくなっているのです。

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このライフスタイル化は雑誌だけにとどまらず、流通業も変えています。
ファッションだけでなく、カフェや雑貨を併設した店の
ライフスタイルショップがどんどん増えているのも
洋服にフォーカスするだけでは生き残れないと経営者が考えているからです。
衣食住を共有する世界観を作りださなければ、消費者から評価されなくなっているのです。
お客様とのコミュニケーションを重視するために、食のイベントを定期的に開催するなど
ファッションだけにこだわらないスタイルでビジネスを展開するショップが増えています。

ネットショップとの競合に打ち勝つためにも、体験が避けては通れないのです。
オーナーの個性、目利き、店員のコミュニケーション能力などがそこには求められています。
所有よりも使用の価値観が高まる中、質の高い生活への欲求が生まれ
その答えがない店では買い物をしなくなっているのかもしれません。
良質な日常生活を謳歌したいと思っている人に新たな人生の価値を提供することが
東京という物欲なき世界で生き残る道かもしれません。
モノを買うことで、その先にどんなハッピーがあるかがわからなければ
新たな消費はおこらないのです。

モノを楽しむハッピーなコミュニティを提示することで
多様化する消費者を取り込めるのかもしれません。
ライフスタイルという価値を提供しなければ、共感が生まれなくなっています。
モノを持っていても幸せを感じられない時代には、人とのつながりという視点が欠かせません。
ハッピーな人たちと楽しい時間を過ごすためにモノを買うという感覚で
私たちは消費を始めているのだとすれば
マーケターが良い生き方を提示できなければ、勝ち目はないのかもしれません。

次回は消費先進都市ポートランドについて考えてみたいと思います。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。

       

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