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Think right 誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法
著者:ロルフ・ドベリ
出版社:サンマーク出版
本書の要約
投資(時間、労力、資材、資金など)のサンクコスト(埋没費用)が多くなればなるほど、プロジェクトを続けたいという欲求が高まります。しかし、その投資はもはや回収できないのですから、事態を合理的に判断し、そこから撤退する勇気を持ちましょう。
サンクコストのワナとは?
「サンクコスト(sunk cost)」とは、もはや回収できない費用のことを言う。「埋没費用」とも呼ばれている。(ロルフ・ドベリ)
物事をやめるタイミングはとても難しく、多くの人が判断ミスを起こします。映画がつまらなかった場合に、賢い人はすぐに支払ったコストを気にせず、すぐに映画館を出て、他のことに時間を使います。彼らは支払ったお金はもう取り戻せないと合理的に判断し、別の行動をスタートします。しかし、大抵の人は支払ったお金を取り戻そうと考え、その映画を見続けます。もはや回収できないコスト(サンクコスト)に支配されることで、私たちは自分の可能性を閉ざしているのです。
私は、最近、動画サービスのサブスクリプションモデルでこの失敗をしました。ほとんど動画を見ないにも関わらず、いつかはそれを見るだろうと考え、毎月会費を支払い続けていたのです。しかし、冷静に考えてみるとその動画サービスを見る時間は私にはなく、本を一冊購入した方がよいと考え、サービスを退会しました。
経営者もこのサンクコストのワナにはまります。特に多大な投資をした場合には、そのお金を取り戻さなければという気持ちが働き、撤退をより困難にしてしまいます。今、やめてしまったら、全てが無駄になると考えることで、貴重なお金と人材が浪費されてしまうのです。
著者のロルフ・ドベリの友人は、浮気性の女性との交際に苦労していました。彼女は浮気をくり返し、彼が現場を押さえるたびに、彼女は謝罪し、元の関係に戻ります。彼は時間とお金、エネルギーを使ったことを理由に彼女と別れられなくなっています。新たな投資をした方が幸せになるにもかかわらず、彼は過去に囚われ、判断を間違えているのです。
サンクコストのワナにはまらないためにどうする?
投資(時間、労力、資材、資金など)が多くなればなるほど、つまり「サンクコスト」が大きくなればなるほど、プロジェクトを続けたいという欲求が高まるのだ。
多くの人はこの泥沼から抜け出せません。投資した額が多ければ多いほど、人はそれに執着します。それまでにつぎこまれた資金がもはや何の意味もなさないときでさえ、多大な出費をしたことがそのプロジェクトを継続させてしまうのです。
株に投資する人も、「サンクコストのワナ」の犠牲者になりがちです。投資家は、失った金額が大きくなればなるほど、ますますその株を手放そうとしなくなります。 持ち株を売却するタイミングを、購入価格をもとに決定することで、損失を大きくしてしまうのです。私もよくこのワナにはまりましたが、最近では、購入価格を意識しないようにしています。手持ちの株の価格がどう動くかを考え、ポートフォリオを見直すことで、結果を出せるようになりました。
プライベートでもビジネスでも、ひとつひとつの決定は、常に不安定な状況で下される。頭で思い描いていることは、実現するかもしれないし、しないかもしれない。だが、いつだって、その気になれば、自分で選んだ道から外れることができる。
自分がサンクコストのワナにはまってしまったなら、今の自分の状況を書き出してみましょう。今まで支払ったコストは取り戻せないと考え、合理的な判断をするのです。勇気を出して、継続してきたプロジェクトを中断し、その結果を受け入れることで、未来を変えられます。
サンクコストのワナに陥らなためには、事前にルールを決めておくとよいでしょう。撤退する時ややめる時の条件を決めておくことで、大きな痛手を被らなくなります。株価が20%下がったら、他の銘柄に乗り換えると決めることで、損失を大きくせずにすみます。
私たちはすでに投資してしまった投資やエネルギーを重視します。「もったいないから」という理由によって、私たちは判断を間違えてしまいます。しかし、ふくれあがった費用や損失を無視しなければ、私たちは失敗を重ねてしまいます。これまでに何をどれだけ費やしていようが、現在の状況と今後の見通しだけに目を向けるべきです。「サンクコスト」を気にするのをやめ、新たなことにチャレンジした方が、結果を出せるのです。
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