堀田秀吾氏の科学的に自分を変える39の方法の書評 片付けを先延ばししない方法


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科学的に自分を変える39の方法
著者: 堀田秀吾
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

 

本書の要約

片付けが苦手な人には、ものをしまえない、捨てられない、溜め込む、他のことに気を取られて片付けすること自体を忘れる、あるいはこれらの組み合わせなどいくつかのタイプがあります。楽しいことと片付けを組み合わせたり、イフ・ゼン・プランニングによって、苦手な片付けを克服できます。

片付けが苦手な人のための科学的アプローチ

片付けが苦手な人には、ものをしまえない、捨てられない、溜め込む、他のことに気を取られて片付けすること自体を忘れる、あるいはこれらの組み合わせなどいくつかのタイプがあるようです。そして、そのタイプによって対処法も異なるようです。(堀田秀吾)

意志の力で自分を変えることはとても難しいことがわかっています。自分のダメなところを改善するためには、科学的なアプローチが必要だと著者はいいます。

デポール大学のフェラーリらの研究によると、「物事をなんでも先延ばしにする傾向にある人は、片付けができない人」であることが明らかになりました。片付けが苦手な人は、捨てること、しまうこと、整理整頓するのが面倒臭いからすぐに行動ができず、その結果、部屋が散らかってしまうのです。彼らはやらない理由をなんやかんやこじつけ、正当化しようとする傾向があるのです。

男女約50人を対象に、ゲーム、パズル、数学の問題などの課題をやらせ、それぞれの課題の前に練習時間も与える実験をフェラーリとタイスは実施しました。普段から先延ばし傾向にある人たちは、特に数学の課題では練習をしない、すなわち面倒臭いことを後回しにする傾向があったのです。ところが、彼らはまったく同じ課題を「楽しい課題」だと言われると、練習に取りかかる率が高くなったそうです。

「楽しいこと」と教えられるだけで、先延ばしがなくなるわけですから、整理整頓だって楽しいものだと考えるようにすればいいわけです。

例えば、自分の好きな音楽を聞きながら、片付けをすれば、先延ばしをなくせます。片付けの習慣化は、楽しいことと組み合わせることをルールにするとよいでしょう。

作業の残り時間を提示されると、脳の意欲、報酬、快感、恐怖などに関わりがあるとされる「側坐核」という部位が活性化されることが理化学研究所の水野氏らの研究で、わかっています。実験では、10~30代の男女17人に、記憶力を試す課題を45分間与えました。課題をやっている最中に25回残り時間を画面に示した場合と、示さない場合とを比べてみると、残り時間を示した場合は側坐核が活性化されたそうです。

そもそも片付けに取りかかることができないのなら、つべこべ言わずにとにかく体を動かし始めることです。人間はやりはじめればエンジンがかかるものなのです。さらに、何分整理整頓するかを決めて。残り時間を確認するとより効果的です。

イフ・ゼン・プランニングで片付けを行おう!

フェラーリらは、片付けができない人のもうひとつの類型として、「溜め込み」をあげています。捨てられずにものをどんどん溜め込んでしまうタイプの人がこれに当たります。統計によると、実に人口の6%はこの問題を抱えているそうです。20人に1人以上がこのタイプですが、「溜め込み」をする人は年齢とともにこの傾向は増加していくことがわかっています。

このタイプの人の片付けない症候群の改善には、「イフ・ゼン・プランニング(if then)」が功を奏しそうです。イフ・ゼン・プランニングは悪い習慣をよい習慣に置き換える方法で、効果があることがわかっています。ニューヨーク大学のゴルウィッツアーは、さまざまな誘惑に打ち勝つためには「イフ・ゼン・プランニング」という方法が有効だと提唱しました。(イフ・ゼン・プランニングの参考記事

これは、「もし(if)〇〇になったら、そのときは(then)△△する」とあらかじめ決めておくものです。たとえば、「仕事中にスマホを見たくなったら、深呼吸を5回」、「お酒を飲みそうになったら、コップ1杯の水を一気飲み」など、抗いがたい誘惑に直面したとき、クールダウンさせることを設定しておきます。私はお酒を飲みたくなったら、炭酸水を飲むことをルールにし、12 年前に断酒することに成功しました。

コンスタンツ大学のアヒトジガーらが94人の学生を対象に行った実験では、「もし私が選んだ ○○(高カロリー食)を食べたくなったら、そのことを忘れる!」と3回唱えるように頼み、1週間後にどれくらい食べたかを尋ねました。結果、イフ・ゼン・プランニングを実践した被験者は消費量が半分近くまで減っていたのです。

また、107人のテニス選手を対象にした実験では、①試合の当日に「試合に勝つために一球入魂でプレーをする」と目標を書いた紙に下線を引かせて署名してもらったグループ、同じ目的を目指すが、②イフ・ゼン・プランニング(たとえば、「集中力が足りない」などネガティブな気持ちが起こったら「落ち着くようにする」のようにどう対処するかを述べる)をするグループ、③何もしないグループに分け、本人に加えてトレーナーやチームメイトにパフォーマンスなどを評価してもらいました。結果、イフ・ゼン・プランニングをしたグループの評価が劇的によかったことがわかりました。

if 夜自宅に帰ったら then 部屋の片付けをする、if 新しいものを買ったら、then  古いものを捨てるなどのルールを決めて、自分の行動をコントロールしましょう。このイフ・ゼン・プランニングによって、片付けを習慣化できるようになります。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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